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第5回 ひとり遊びは、どこまでがおもしろいか。


青木 漫画家でもアーティストでも、ある程度、
自分のやっている行為を受けとめて、
ポジティブに発表しながら
成長していくじゃないですか。

ところが、安居くんは、
誰にも見せずにやり続けてきた。
こういう人って、
世界でも珍しいんじゃないかなぁと思いまして。

まぁ、単純に言うと、
安居くんはこのカミロボをすごい好きで作っていて、
ぼくはこれをプロデュースすることを
たのしいなと思ってやっている──
ということに尽きるんです。



ただ、それをうまく仕事に還元できると、
おたがいがラクでいいなと思って、
キャラクターライセンスに持っていってしまって。
安居 人間のできることは、プラモデルにはできない。
逆に、人間は間接を
無限に動かすことができないのに、
プラモデルは腕がどこまでも折れる。

そういうところは、
腕をめりこませることで調整したり。
プロレスの技をかけるから、
痛そうなところで
「ギギッ」と止まる必要があったんです。

試合、ものすごいハードなんです。
こんな感じで、ほんとに
相手を痛めつけながら試合をやるんで
(ガシッ! ダーン!とカミロボを叩きつける)
いい試合の後には、絶対に壊れちゃう。
ほぼ日 やり慣れてますね(笑)。
安居 それを修理したり。
作ったばかりの新人って、
関節の動きがすごいぎこちないんです。

二年ぐらい使うと、紙が痛んできて、
けっこういい感じになってくるんですね。

動きがよくなると、プロレスの試合の中でも、
割と上のほうの試合で使ってもらえるようになる。

新人はプロレスがヘタくそだから、
前座で使うとか……すべてが
リアルなんです、ぼくの中では(笑)。
スターに育てようと思って作ったやつの
動きが悪くても、それは修正できなかったりするし。
青木 ひとり遊びとは言いながら、
安居くんが試合をしているのを見てると、
おもしろいんです。

去年、おととしと、
年末の仕事が落ち着いたときに
事務所に来てもらって、
試合を組ませたことがあるんです。

別室で、カメラを三台ぐらい置いて
そこで安居くんひとりに試合をしてもらう。

集中してやってもらうには、
そのほうがいいかなと思って。
そうすると、みんな壊れちゃうんです。
手がもげちゃったり、
おなかがはずれちゃったりとか。
それぐらいはげしい試合をやる。

こちらを勝たせようと思っていても、
もちろん手が取れちゃったりしたら
負けじゃないですか。
そういうアクシデントで、
こっちが勝つんだろうなと思っていたのが
一気に敗退したりする。

安居 青木さんたちの前でやる、って、
そこまでさらけ出せるまで、
そうとう時間かかりました(笑)。

いちばん恥ずかしいところは、
ずいぶん隠していたんです。

だけど、「これで毎晩遊んでる」って、
ものすごい恥ずかしいところまで
告白しちゃったら、
青木さんの方のリアクションも変わってきて。

こっちが恥ずかしいことを
言えば言うほどおもしろがってもらえるというか、
恥ずかしいのに、
告白してしまった気持ちよさも、
実はあったりして……(笑)。
青木 ただ、そのカミングアウトも、
どの度合いが最適なのかが、
まだ見えていないんです。

このカミロボの世界でプロレスをやっている、
一体ずつの人格づけもできている、
そこまではわかるんです。

ただ、こいつの兄弟はこうなっているとか、
あいつは人を殺したことがあるとか、
きっと、まだまだ、奥深いところまで、
安居くんの中では展開があるはずなんです。

ただ、それって、
どこまで聞くとおもしろいのかは、わからない。
ある一線を越えると、
急に引いてしまうものかもしれない(笑)。

このロボが引退して居酒屋をやってて、
そこに来た違うロボが愚痴を言うとか……
どこまで来たら、
おもしろくなくなるのか?

それは、これから
やってくるところなんだと思います。

でも、かなり深いところまでは、
意外と聞いていられるんじゃないか、
と思っているんです。
ぼくだけじゃなくて、誰でも、
ちょっと、自分の空想や妄想に
通じるところがあるでしょうから。


みんな、安居くんのような妄想があること自体は、
認識することができる。
そこがおもしろいと思うんです。
何かを作っている人はみんなそうだろうけど、
カタチになっている以上に、ほんとはみんな、
いろいろ考えていたり思っていたりするんですよね。


(※「ほぼ日」でのカミロボの紹介は、
  いったん、ここまでにいたします。
  ひとり遊びが生んだ不思議な立体の行方は、
  もしかしたら、今後もご紹介するかもしれません。
  街角やテレビで見かける日だって、近いのかも?
  カミロボにまた会える日を、
  どうぞ、たのしみにしていてくださいね!)

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