- 糸井
-
それからさ、写真を撮られるときに
「笑ってください」って言われるでしょ?
- 清水
- 言われる、すごく。笑ってるのに。
- 糸井
- 笑えますか?
- 清水
-
笑ってるのに、
いや、本当に「笑ってください」って言われるから、
そんなに笑い顔って難しいものかなと思う、毎回。
- 糸井
-
ね? で、役者の人たちは
役者のノウハウでやってますよね。
- 清水
- 歯を見せると、あの人たちは気が済む。
- 糸井
- それはね(笑)、アメリカ人用。
- 清水
- アメリカ人用、ざっくり(笑)。
- 糸井
- アメリカ人は、口の表現で決めるから。
- 清水
- え、本当?
- 糸井
-
うん。目が笑ってなくても、
歯を出してれば笑ってるという。
顔文字がそうですよね。こうなってますよね。
- 清水
- ああ、本当だ。

- 糸井
-
ああ、あと役割としてさ、
多少偉ぶってくれないと困るんですよねって
場面に呼ばれることはないですか。
- 清水
- あ、審査員とかね? うんうん。
- 糸井
- それとか、新人が集まってる場所とか。
- 清水
- ああ、そうですね、あるある。
- 糸井
-
そのときは、役目として何かこう、
しますよね、当然ね。
- 清水
-
うん、そうですね。
やっぱりちょっと偉そうなほうが、
その場合いいんですよね、おさまりが。
- 糸井
-
おさまり、おさまり。
で、それを経験していくと、そういう人に
どんどんなっていっちゃうじゃないですか、
けっこう大勢の方々が(笑)。
- 清水
-
そう、こんな面倒くさいことあるかねっていう
思いになりますよね。糸井さんもそう、やっぱり?
- 糸井
-
うん。だって俺、大体どこ行っても今、
年上になってるしさ。
- 清水
- ああ、そうかそうか。
- 糸井
-
うん、そんなんだったり、まあ、とにかく、
おだてれば機嫌がいいだろうって思う場所に
行くことはあるよね。
- 清水
- あれショックですよね。
- 糸井
-
あるよね。で、清水さんとかもなってないのは、
なんでかなっていうのは、
一つはさ、なんない理由っていうのの一つは
やっぱり失われるものが大き過ぎるからだよね。
- 清水
- ああ、そうかもね、うん。
- 糸井
-
そうなっちゃったらこれできない、
あれできないが、あるよね。

- 清水
-
うん。しかも、モノマネしてる人間が(笑)
「ちょっとつかみがね」とか言われたら、
本当腹立つと思う。
- 糸井
-
でも、モノマネ界は、
ちょっとなっちゃってるじゃないですか、
みんな(笑)。
- 清水
- ノーコメント(笑)。
- 糸井
-
ぼくだけの台詞で(笑)
やっぱり、だから、
つらかった人ほど、なりがちな。
- 清水
- あ、そうかな。
- 糸井
-
うん。やっぱりそうしないと、
守るものの大きさもあるから
やんなきゃいけないのかもしれないけど、
誰でもいい気にはなれるじゃない?
28、9だって。
- 清水
- うんうん。
- 糸井
-
それを何回も機会があったろうに、
逃げてきた人はちゃんと逃げてるし。
- 清水
-
ああ、そうね。
でも、気がつかずになってたかもしれないけどね。
- 糸井
-
ああ、なるほど。こういうとこなんだよ、
清水ミチコの面白さは。
-
実はなってたんだ。
証拠写真はここにあります。
- 清水
- しまったー、自白した(笑)。

- 糸井
- あ、なってる!(笑)
- 清水
- 歯見せて笑ってる(笑)。
- 糸井
-
(笑)。
でも、奪われるもののほうが多いよっていうのは、
ちょっとなんかね、気づくね。
- 清水
- うん。
- 糸井
- 大損ですよね。
- 清水
-
そうね、うん。あとやっぱりほら、
自分を客観的に見てナンボの商売だから、私たちは。
- 糸井
-
ああ、そうかそうか。
「こう見えてるよ」が仕事だからだ。
- 清水
- そうそう。それもあると思う。
- 糸井
-
そうだ、そうだ。なるほどね。
「こう見えてるよ」っていうの、
実はプロデュースの原点だね。
- 清水
- あ、そうね、うん。
- 糸井
-
「モノマネがプロデュースの原点です」
ほら、終わった(いい感じに)。
- 清水
- やめてよ、ちょっと。軽薄(笑)。
- 糸井
- 「やめてよ、軽薄」までで(笑)。
- 清水
- 「やめてよ、軽薄」まで(笑)。
- 糸井
- いや、面白かった。
- 清水
- 面白かった。あっという間。
(おわり)

