気持ちのいい正直さ【清水ミチコ×糸井重里】
担当・山野靖暁

第4回 こんなんでも大丈夫ですよって。
- 糸井
-
清水さんは、先どうするみたいなこと考えるの?
- 清水
-
先どうするは考えないけど、
占いの人のとこ行ったときがあって(笑)。
- 糸井
-
自分で考えたくないんだ(笑)。
- 清水
-
人に頼った(笑)。そしたら、なんか車椅子に乗って
演芸やってるって。

- 糸井
-
ああ。でも、
それを拍手で迎える人がいる限りはOKですよね。
- 清水
-
そうかもね。
- 糸井
-
だから、関係なんだと思うよ。
自分としては嫌だって言っても、
そんなに喜んでくれるんだったら、
車椅子の両側に龍をつけてね。
- 清水
-
凄みが(笑)。
- 糸井
-
雷様みたく、雷鳴と共に登場。
- 清水
-
笑えないです(笑)。
- 糸井
-
(笑)。「さあ、笑え!」、ドワワワァー!
- 清水
-
ここだ(笑)。ドラが鳴るっていう、すごい。
- 糸井
-
あ、じゃ、
考えたくないのはあるんだね。
- 清水
-
うん、そうですね。
でも、私、不幸になるような気がしない。
- 糸井
-
ああ。それがすべてだと思うね。
その「運悪くないし」みたいなね。
- 清水
-
うん、そうね。
- 糸井
-
そうなんです。まあ、清水さんのサクセスストーリーを
順番に語っていくような企画にはならなかったけれども(笑)。
- 清水
-
やり直して、これ(笑)。

- 糸井
-
だけどさ、俺、3年か4年前に、
武道館の最初やったぐらいのときに、
ああ、清水さんもボスになったんだと思ったよ。
- 清水
-
え、本当?
- 糸井
-
うん。つまり、立候補しないのに
ボスになった人って一番いいなと思ったよ。
- 清水
-
ああ、武道館?うーん。
- 糸井
-
何ていうんだろう、利害関係なく集まってんじゃん。
- 清水
-
ああ、そうそう。よくわかりますね(笑)。
- 糸井
-
別に清水プロダクションに入ったわけでも
何でもないのに集まってて、で、なんとなく、
「こうやったほうがいいかな」って言えば、
「そうじゃない?」って言うやつがいたとかさ、
みたいになってるでしょ。
- 清水
-
うん、えらいもんで、そうですね(笑)。
- 糸井
-
その場所に立つのって、なかなか大変なことでさ。
- 清水
-
目指したらね、きっと大変だと思う。
- 糸井
-
目指したら大変なのに。
- 清水
-
うん、運もよかった。
- 糸井
-
で、世話をしてきた覚えもないじゃないですか、人の。
- 清水
-
うん。あんまりだな(笑)。
- 糸井
-
改めてお聞きしますが(笑)、
何か「私は人の世話をしてきたんですよ」って思う?
- 清水
-
ああ、してない。でも、若い頃は思ったの。
私も永六輔さんみたいになって、新人のライブを見に行って、
「こうしたほうがいいよ」とか背中を押してあげるような
おばさんになれたらいいなと思ったけど、
-
やっぱり自分には自分の明日みたいな、
今日で一杯一杯なのよね。だから人の背中を押せる人は
大したものなんだなと思った、この年になったら。
- 糸井
-
つまり、してないって。
- 清水
-
してなーい。
これからもしなーい(笑)。
- 糸井
-
(笑)。でも、
「こんなんでもいいんだよね」は見せてるよね。
- 清水
-
うん、そうだね。
こんなんでも大丈夫ですよって(笑)。
- 糸井
-
というのは見せてるね。
それから、あんまり、ツッパってないよね。

- 糸井
-
そういえば、このあいだ
芦田愛菜ちゃんと話をしてるときに、
ふっと思ったことなんだけど、
質問なんか何でもよくてさ。
- 清水
-
ああ、本当はね。
- 糸井
-
「好きな花は何ですか」って聞かれたことある?
インタビューで。
- 清水
-
ない(笑)。
- 糸井
-
(笑)
- 清水
-
そういえばないね。
- 糸井
-
うん。だから、
「ぼくなんかインタビューなんかできないですよ。
好きな花とか、好きな色は何ですかとか、
それぐらいしかできないから」って言うけど、
-
聞いてみたら面白いんだ、それは。
と考えるとさ「好きな色は何ですか」だけでもさ、
何とでもなるんだよ。
- 清水
-
そうか、きっかけだけで。
- 糸井
-
こっちの腹次第だよ。
- 清水
-
ほう。いい対談になりましたね(笑)。
