糸井重里×清水ミチコ対談なにかを「思う」、そして「書く」
担当・高城 つかさ

第5回 わたし、不幸になる気がしないんです
- 清水
-
きょう、わたしが聞きたいと思ったのは、「糸井さん、死にたくないだろうな」ってことなの。
- 糸井
-
ん? 「死にたくない」?
- 清水
-
「死にたくない」。
- 糸井
-
ああ。死にたくないよ、そりゃあ。
- 清水
-
当たり前か(笑)。
- 糸井
-
死んだらしょうがない、とも思うし。
- 清水
-
うん、うん。
でも、ほぼ日って、いつのまにか大会社になっていたわけじゃん。
- 糸井
-
大会社じゃない(笑)。
- 清水
-
それって、すごいサクセスストーリーでもある。
- 糸井
-
ああ、ああ。
- 清水
-
そういう人がいちばん怖いのって、健康じゃなくなることだとか、死ぬことなのかなって。
- 糸井
-
いや、それは怖いわけではなくて、責任があるだけのことだよ。
そんなことを思うだけでも、ストレスだよね、きっと。
- 清水
-
「もうやめたい!」ってならない?
- 糸井
-
やめたいって言っちゃいけないじゃん(笑)。

- 糸井
-
たとえば、わたしがモノマネをやめたいだなんて、思う必要がないわけだよね。でも、清水さんには扶養家族がいる。だから、「倒れちゃいけない」ぐらいのことは、思っているでしょう?
- 清水
-
ああ、そうね(笑)。
本番で倒れちゃいけないとは思うけど、わたしは、糸井さんとはスタンスが違うかも。
- 糸井
-
そうか、うん。
でも、色や形、大きさはちがうけれども、大人に「スタンス」はあるわけで。
子どもだったときには、ないふりをして生きられるわけじゃない。
- 清水
-
そうだね。
- 糸井
-
清水さんは、この先どうする、みたいなことって考えるの?
- 清水
-
基本的には考えないけど、占いに行ったことはある(笑)。
- 糸井
-
自分で考えたくないんだ(笑)。
- 清水
-
そう、頼った(笑)。

- 清水
-
いろいろ言われたけど、わたし、不幸になるような気がしないのよね。
- 糸井
-
ああ。「わたし、運悪くないし」みたいな。
それがすべてかもしれない。
- 清水
-
うん、そうね。
- 糸井
-
おれ、孫ができたじゃない。
孫をみていると、もうね、うらやましいの。
- 清水
-
ああ、楽観性が?
- 糸井
-
そう、楽観性。
- 清水
-
子どもって、とくにそうなんですよね。
- 糸井
-
ひとりでは生きていけないのに、いっさい心配しないで、フャーッって(笑)。
- 清水
-
そうね(笑)。それで、自分でさも大きくなりましたって顔するからねえ。
- 糸井
-
うん、うん。
それがないと、やっぱり生き物ってダメなんだろうなって、思った。

- 清水
-
そうね。
- 糸井
-
たとえば、ものすごく考える子どもがいて、「将来勤めたいのは~」って言いだしたら「不幸になるぞ」って思わない?(笑)
- 清水
-
うん(笑)。
いまの子、頭いいからねえ。心配なところあるよね。
- 糸井
-
それよりは、なんとかなるような顔してニコニコしている方がね。
- 清水
-
そうね。うまくいくのは、だいたいそういう人が多いからね。
- 糸井
-
そうですよ。ぼくは、考えすぎるほうでさ。
2人いるんですよ、考えすぎるわたしと、何も考えないわたしが。
さあ本番だっていうと、考えすぎるわたしから、何も考えないわたしへバトンが渡される(笑)。
- 清水
-
へぇ~。
- 糸井
-
おかげで、なんとかなった(笑)。わかるでしょう?
- 清水
-
ほう、たしかに(笑)。

- 清水
-
いやあ、いい対談になりましたね。
- 糸井
-
おもしろかった。
- 清水
-
うん、おもしろかった。あっという間。
- 糸井
-
あれ、写真を撮るんですか。
- ほぼ日
-
はい。下に行って。
ありがとうございました。
