2003年公開。
田辺聖子の原作小説を犬童一心監督が映画化。
コピーは「忘れたい、愛おしい、忘れられない。」※公式サイトはこちら。
ジョゼという下半身が不自由な女の子・ジョゼ(池脇千鶴)と
普通の大学生・恒夫(妻夫木聡)が知り合い、恋をする話。
それまで乳母車に乗せられての散歩をする以外は
外の世界を知らなかったジョゼを連れ出していく。
先に結末を言ってしまうと、二人は別れることになります。
恒夫も決して遊びだったわけではないのはわかるのですが、
障害者であるジョゼと付き合う重さを背負いきれず、
本人いわく「逃げた」のです。
この作品で印象的なシーンはいろいろありますが、
今回ご紹介したいのは、
二人でラブホテルに行き、海モチーフの
貝殻ベッドに寝転がっているときのセリフ。
「いつかあんたがいなくなったら、
迷子の貝殻みたいに一人ぼっちで、
海の底をコロコロ転がり続けることになるんやろう。
でもまあ、それもまたよしや」
恒夫に会うまではずっと一人だったけど、二人でいることを
知ってしまった自分はもう元の何も知らなかった
時には戻れない、でもそれでもいい。ということです。
ジョゼはいつか別れが来るのを予感していたけど、
それも含めて受け入れる覚悟をしていた。
失恋したことのある人はわかると思うのですが、
この失恋して「何も知らなかった時には戻れない」のって
かなりしんどくて、それを失恋する前からわかっていて
「それもまたよし」と言えるなんて、
ジョゼはつらいことがわかっていても知る方、経験する方を
選ぶんだな、とその後の結末を知っていると余計にグッときます。