もくじ
第1回求む!福岡の醤油〈事前準備編〉 2019-03-19-Tue
第2回がめ煮のつくり方〈調理編〉 2019-03-19-Tue
第3回祖母と私とレシピの思い出〈食後編〉 2019-03-19-Tue

旅行が趣味。美術館めぐりに興味がある今日このごろです。

思い出の「がめ煮」をつくる

思い出の「がめ煮」をつくる

担当・平塚 朱里

第3回 祖母と私とレシピの思い出〈食後編〉

私は大学入学を機に、
地元福岡から上京した。

同じ県内に住む料理上手の祖母に、
初めて料理を習ったのが、上京する直前のこと。
その時に習ったのが、今回作った「がめ煮」、
そして「かぼちゃの煮物」「大学芋」だった。

一人暮らしだからといって、少量作るのは効率が悪い。
けれども、沢山作っても、一度で食べきるのは難しい。

煮物は数日、日持ちがするので、多めにつくれる。
なおかつ、野菜も沢山取れるというのが、
祖母がこの3品を選んだ理由だった。

先日、その失くしたと思った懐かしいレシピを、
偶然、片付けの最中に発見した。
大学卒業を機に引っ越した際に紛失していたので、
実に10年ぶりの再会だ。

今回、3品の中で「がめ煮」を作ろうと思ったのは、
がめ煮が福岡の郷土料理で、
名前にインパクトがあるのが理由の一つだった。

けれども、一番の理由は、
がめ煮が最も思い出深かったからだ。

がめ煮は、我が家では正月料理の位置付けで、
祖母も母も、日常的に作ることはなかった。
けれども、野菜がたっぷりで、
今回使った人参、いんげん、さといも以外にも、
ごぼうやれんこん、たけのこなど、
季節の野菜で好きなようにアレンジができると、
祖母は料理をしながら教えてくれた。

一人暮らしの私を気にかけて、
正月料理としてではなく、
日常的に食べられるようにと教えてくれた。
そんな祖母のやさしさが思い出に残り、
懐かしく、作りたくなったのだ。

祖母の料理はいつも美味しい。
遊びに行き、
「おばあちゃんの料理が食べたい」とリクエストすると、
「せっかく遊びに来たとに、
こんな田舎料理で、ほんとによかったと?」と
嬉しそうに返しながら、料理を作ってくれる。

福岡に帰るのは、今では年に1回程度。
いつも祖母の料理を食べるばかりだったが、
今度会う時は、もう一度祖母に、料理を習おう。