- 私
- 今、家事はどう分担をしているの?
- 父
-
朝ごはんと晩ごはんを作るのと、食材の買い出しと
掃除機をかけるのはお父さん。
洗濯はお母さんの方が多いかな。
「干すよー」って号令がかかって一緒に干し始めるんだけど、
いつの間にかお母さんがどっか行っちゃって
一人で干すことも結構あるけど(笑)。
- 私
-
お母さんはお父さんがいつからご飯作るように
なったか覚えてる?
- 母
-
そうやね。お父さんが定年退職して、
再雇用された4年前から、作るようになったと思うよ。
最初は私がメニュー考えて食材を買いに行ってもらってたの。
朝4時、5時に起きて仕事しようと思ったらお父さんも
起きてきて話しかけたり「ご飯まだ?」って言われたりして、
邪魔でかなわないの(笑)。
それから早起きやめて普通に朝ごはん作っていたけど、
夜中まで仕事することもあったから、起きれなくなっちゃって。
そしたら作ってくれるようになったから。
でもお父さんね、最初から協力的だったわけじゃないもん。
私の年収みて、家事しなきゃなと思ったんだと思うよ。
- 父
-
いやいや!金額じゃなくて自分に余裕があったから。
建設的に考えて俺かなって。
- 私
- へえ、年収は関係ない?
- 父
-
うん。でも、もし自分が民間企業で働いとったら、
違ったかもしれんね。
奥さんが稼いだから今月は俺の方が稼ぐぞって張り合った
かもしれんけど。
公務員やからね、出世はできたとしても給料は
どうしようもないから。
- 母
-
ほんとに?5年くらい前かなぁ、
私の年収額を言ったときに、
「え!」って顔したことあったよ。
それまで、今月のノルマ超えられるかどうかでヒーヒー言っ
とったんに、コンスタントに売り上げがあがるようになって、
お父さんと年収同じくらいになったの。
そしたら、「あんた一人で生きていくんか!」みたいな
こと言って、面白くなさそうな顔しとったもん。
たぶん年収が同じになって意識変わったんやと思うよ。
- 父
- うーん…ほんと別にそんなこと思っとらんけどなぁ。

- 私
- お父さんは、急にご飯作りをはじめた訳でしょ。大変じゃなかった?
- 父
-
絶対しなきゃと思ったら大変だから、
そうは思わないようにしたね。
面倒くさい日は結構外食もしたよ。
近くの中華料理屋とかファミレスとか。
そんな日があってもいいんじゃねえのって。
- 私
- たしか、最初はお母さんがメニュー考えてたよね?
- 母
-
そうそう。前の晩に冷蔵庫の中を見て献立を考えて、
お父さんに買ってくる食材のリストとレシピ本を渡してたと思う。
- 私
-
そういえば最初の頃は、お父さんが独自のアレンジを
加えているのか微妙な料理も多かったよね(笑)。
野菜が異様に細かい野菜炒めとか、
ニンジンが主役みたいなチャーハンとか。
- 父
-
え、そうやったっけ?
料理は化学実験だと思っとるから。
ちゃんとレシピの通りに作れば
それなりのものができると思うよ。
学生時代は毎日自炊もしとったし。
家から下宿先に何冊も料理の本を持って行って、
野菜炒めとかおでん、炊き込みごはんをよく作ったかな。
お母さんはだんだん、献立と食材リストを考えるのが
面倒になってきたらしく、
半年くらいで食材の宅配サービスを使うことになったね。
- 私
- いつの間にか、朝ごはんまでお父さんが作っていたよね。
- 父
-
うん。お母さんが夜中まで仕事して、
朝なかなか起きられなくなったからね。
疲れて眠っているのを起こすのはかわいそうやろう。
自分は起きられるし、朝ご飯食べたいから
「じゃあ、俺が作ろうかな」って。
ただそれだけのことやよ。
- 私
-
昔、お母さんがパートで働きに出るとき、
お父さんは「家のことちゃんとするなら働きに出ていいよ」って
言ったんだよね?
- 父
-
子育てをしながら仕事もするのは大変じゃない?と思って
言ったんやと思うよ。お母さんに無理させたくなかった。
でも、子どもの大学の学費を考えたら、
自分の給料だけじゃ足りない現実もわかってたからなぁ。
- 母
-
私は子どもが3歳になるまでは働きに出ないって
決めていて、結婚する時に「子どもが3歳になるまで家にいる」
って言ったの。
家事も全部をするとは言ってなかったんだけど(笑)、
結局料理も掃除もお弁当作りもやったよ。
(つづきます)
