もくじ
第1回aikoとインターネット 2019-02-26-Tue
第2回aikoとはじめてのライブ 2019-02-26-Tue
第3回aikoと仕事とわたしの夢 2019-02-26-Tue

88年生まれ。渋谷でライター・編集の仕事をしています。aikoのことが大好きです。

私の好きなもの</br>aikoのある生活

私の好きなもの
aikoのある生活

担当・フクオヨウコ

第2回 aikoとはじめてのライブ

16歳のとき、はじめてaikoのライブに行った。

aikoを好きになって2年弱が過ぎたころのことで、
チケットを取った約半年前から、
ライブ当日を本当に楽しみにしていた。

ライブは18時の開演だったけれど、
グッズの先行販売の時間に間に合うように、
午前中のうちに、会場のある広島に新幹線で向かった。

今日、いよいよaikoに会える。

その事実を噛みしめてはドキドキしていたはずなのに、
新幹線を降りて、広島駅の改札を出たとき、
わたしの心に広がったのは、
ライブの待ち遠しさからくる胸の高鳴りとは
まったく別の感情だった。

どうしよう、わたし、死ぬほどださい。

広島の街を歩く、わたしと同世代の女の子たちは、
自分とは比べものにならないほどお洒落で、あかぬけていた。
一方のわたしといえば、初夏の季節をまったく無視した、
朱色のトップスと深緑のロングスカートという、
全体的にもっさりとした格好だった。

自分がお洒落ではない自覚はあったけれど、
そのことを心の底から恥ずかしいと思ったのは、
このときがはじめてだった。
平日は制服で過ごし、休日は数少ない手持ちの服を、
適当に組み合わせてやりすごしてきた
昨日までの自分を恨んだ。

こんな格好で、aikoに会いたくない。

1番乗りした会場で、早々にグッズの購入を済ませ、
その足でわたしはパルコに向かった。

ティーンズ向けのカジュアルブランドが並ぶフロアでも、
ほとんどの服は高くて手が出せなかったけれど、
その中から自分でも買えそうなもの、
かわいいと思えるものを探し出しては、試着を繰り返した。

薄いイエローのカーディガンに白色のブラウス、
ライトブルーのジーンズからスニーカー用の靴下まで、
最終的に、わたしは全身の洋服を買い替えた。

その時のコーディネートがお洒落だったかといえば、
まったくそんなことはないと思うけれど、
当時のわたしとしては精一杯に考えぬいた、
“aikoに会っても恥ずかしくないファッション”だった。

その日のライブのことは、今でもしっかり覚えている。

会場の灯りが消えると同時に、客席から湧き上がる歓声。
aikoの歌声が聴こえてきた瞬間、涙があふれた。
公演中、ステージの端にaikoが走ってきたとき、
思わず手を伸ばしたら、
aikoの方からタッチしてくれて、また号泣。

aikoは本当に、驚くほど歌がうまくて、かわいくて、おもしろい。
そして、めちゃくちゃお洒落だった。

aikoのライブに行く度に、
テレビや雑誌でaikoの姿を目にする度に、
aikoのファッションセンスの高さには感動してしまう。

柄×柄の難易度の高いコーデも完璧だし、
甘めのワンピースに合わせたスニーカーも、
スニーカーから覗く差し色の靴下も、
カラフルに彩られた指先も、何から何まで本当にかわいい。

aikoのことが好き、と誰かに話をしたときに
「確かにaiko然としているよね」
「ファッションがaikoっぽくてかわいいね」
と、ときどき言ってもらえるようになったけれど、
それはわたしにとって最高の誉め言葉。

aikoみたいにお洒落になりたい。

これは、はじめてaikoのライブに行ったあの日から
今日にいたるまで、変わらないわたしの切実な願望だ。

第3回 aikoと仕事とわたしの夢