もくじ
第1回言葉もそよぐ 2019-02-26-Tue
第2回地球を感じる遊び 2019-02-26-Tue
第3回記憶のしおり 2019-02-26-Tue

地方紙記者、地域情報誌の編集を経て、今年1月からウェブ系の編集者に。
言葉の支点を変えて、社会をちょっと明るくしたいと思っている。

わたしの好きなもの</br>風

わたしの好きなもの

担当・なみなみ

第2回 地球を感じる遊び

申し遅れましたが、
わたしは、なみなみと申します。
2カ月前に上京しました。

以前は富山の新聞社で記者をしていて、
今はウェブ媒体の編集者をしています。

東京で暮らしてすぐに気づきました。
富山って風がよく通る土地だったんだなぁ、と。

通勤中に見ていた、風がムクドリの群れをぶわっと飛ばしたり
稲穂をふぁさ〜っと翻弄したりしていた光景が懐かしい。

富山の風の印象は、気まぐれでやんちゃ。
時々、やんちゃなんて表現では収まらない
魔王的な怖さを感じることもありましたが。

冬の始まりに起こる雷「ぶりおこし」のときは、
吹きすさぶ風がこの世の終わりを告げるようだったなあ…

あ、ちょっとずれちゃった。戻ります。
わたしが好きなのは、気ままに吹く風です。

どうして気ままに吹く風に惹かれるのか。
記憶をたどっていくと、ありました。
あれがきっかけだろうな、ということが。

それは保育園児だった頃のある昼下がり。

強い風が吹いていて、小雨も混ざっていた気がします。
何か思いついたらしい母が
ニコニコしながら聞いてきました。

「お出かけする?」

どう考えても公園からみんなが退散するような天気なのに。
でも、わたしはすぐに「うん!」と返事。
いつも独自の遊びを考えているような母だったので、
わくわくしながら。

雨合羽を着て長靴を履き終えたら準備万端。
「はい、これ。外に出たら広げるんだよ」
と言って渡されたのは、家庭用の大きなごみ袋。

外に出て広げると、
一瞬でごみ袋は巨大な風船のようになりました。

袋の端を必死で握って、吹き飛ばされないよう踏ん張って。
それでも、体はよろよろ。
なんだか巨人に手をひっぱられて回されているみたい。
予想ができない動きに目を回しながら、
けらけら笑い続けてしまう。
そんな様子を見ていた母がうれしそうに言う。

「どう!?風、すごく感じるでしょう!」

これは、「風を増幅させる遊び」なんだそうです。
なぜ風を増幅させたいと思ったのか。
大人になってから聞いてみました。

「自然現象に興味を持ってもらいたかったから。
風はどこから来るのか、どうして起こるのかって
不思議に思ったでしょう?」

確かに、家に帰って来てから
図鑑を見た気がするようなしないような。
そういえば科学的に説明すると、風って何だろう?

調べてみました。
風は「地球上の大気の流れ」のことらしいです。

大気の流れを作るのは太陽からの熱で、
雲や自転なんかの影響から温度分布は不均一。
気圧が高いところから低いところへ移動する大気の流れが
風の正体みたいです。へ〜。
※参考文献「風と雲のことば辞典」(講談社学術文庫)

そんな風を増幅させる面白さにハマったわたしは、
小学校に毎日傘を持って登校していました。
同級生に今でも笑われますが、
「どんなに晴れていても傘を持っていた」そうです。

当時のわたしにとって傘は、
雨を避けるためのものではなく、
風を受けるための道具だったのです。

(つづきます)

第3回 記憶のしおり