もくじ
第1回手仕事好きな母、箱をつくる 2017-12-05-Tue
第2回箱をつくりはじめた理由 2017-12-05-Tue
第3回なんでも知りたい、つくりたい 2017-12-05-Tue

とや さとる・1989年生まれのデザイナー。テレビ、音楽、インターネットが好きです。

なんでも知りたい、つくりたい。</br>手仕事好きの母。

なんでも知りたい、つくりたい。
手仕事好きの母。

担当・戸谷 慧

第2回 箱をつくりはじめた理由

ある土曜日の午後。
帰省した私は母に、Facebookに投稿していた
箱のことについて、聞いてみました。

前からFacebookに載せている
箱の話を聞きたいんだけど。
箱って、あんた(笑)。
あれは、カルトナージュっていう、
れっきとした作品なんだよ。
カルトナージュ?
そう。フランスの伝統工芸なんだよ。
へぇ‥‥。
ただの箱じゃないんだね。
そうだよ。
厚紙を切ってボンドで布を貼り付けて組み立てていくの。
紙を貼り合わせて強くしたり、
フタの開くところは曲がるように薄い紙を使ってね。
はぁ~。紙でできてたんだ。
手が込んでるんだね。

そもそも、なんで
箱‥‥カルトナージュを始めようと思ったの?
この刺繍の生地があるでしょ。
これが、エンブレースって言って‥‥
えんぶれーす‥‥?
うん。エンブレースっていうのは、
生地を織りながら刺繍をしていく機械があって、
デザイナーの先生が描いたスケッチをもとに
こういうレースを刺繍していくんだよ。
へぇ~。綺麗だね。

この生地を使った洋服のブランドが、
デパートに入っててね。
最初はこの刺繍の生地が好きで
よく行ってたんだけど、
洋服なんかだと、なかなか手が出なくて。
うん。
そしたらある日、
生地の端切れを使って手芸をする
ワークショップをお店で開いてて。
たまたま通りかかったときに
誘われたのが始まり。
はじめは偶然だったんだね。
そう。
はじめに誘われたのは、
バッグとかを作る、ふつうの手芸教室で、
2回だけ行ったんだけど。
そういうのは、たくさん作ってきたし、
ある程度、習わなくても作れるじゃない。
そうだね、よく作ってたもんね。
それで、その教室のなかに、
カルトナージュのコースを見つけてね。
洋裁とかはできちゃうけど、
箱を作るのはしたことがなかったから。
新しいことに挑戦したかったんだ。
そう。カルトナージュは知ってたんだけど、
どうやって作るんだろうと思っていて。
それで、習い始めたの。
 
この素敵な生地で、
何か作りたいっていう想いもあったから。
そしたら、面白くなっちゃって、もう2年通ってる。
たくさん作ってるのは、どうしてるの?
まぁ、家で使ったりとか、
お金払うから作ってって
友達からメッセージがきたりとか。
売ったりもしてるんだね、知らなかった。
まぁでも、それで儲けようとは思わないけどね。
自分が楽しみで作って、
それで人が喜んでくれたら、幸せだから。
見返りはあんまり、いらない。

(つづきます)

第3回 なんでも知りたい、つくりたい