ある土曜日の午後。
帰省した私は母に、Facebookに投稿していた
箱のことについて、聞いてみました。
- 私
-
前からFacebookに載せている
箱の話を聞きたいんだけど。
- 母
-
箱って、あんた(笑)。
あれは、カルトナージュっていう、
れっきとした作品なんだよ。
- 私
- カルトナージュ?
- 母
- そう。フランスの伝統工芸なんだよ。
- 私
-
へぇ‥‥。
ただの箱じゃないんだね。
- 母
-
そうだよ。
厚紙を切ってボンドで布を貼り付けて組み立てていくの。
紙を貼り合わせて強くしたり、
フタの開くところは曲がるように薄い紙を使ってね。
- 私
-
はぁ~。紙でできてたんだ。
手が込んでるんだね。

- 私
-
そもそも、なんで
箱‥‥カルトナージュを始めようと思ったの?
- 母
-
この刺繍の生地があるでしょ。
これが、エンブレースって言って‥‥
- 私
- えんぶれーす‥‥?
- 母
-
うん。エンブレースっていうのは、
生地を織りながら刺繍をしていく機械があって、
デザイナーの先生が描いたスケッチをもとに
こういうレースを刺繍していくんだよ。
- 私
- へぇ~。綺麗だね。

- 母
-
この生地を使った洋服のブランドが、
デパートに入っててね。
最初はこの刺繍の生地が好きで
よく行ってたんだけど、
洋服なんかだと、なかなか手が出なくて。
- 私
- うん。
- 母
-
そしたらある日、
生地の端切れを使って手芸をする
ワークショップをお店で開いてて。
たまたま通りかかったときに
誘われたのが始まり。
- 私
- はじめは偶然だったんだね。
- 母
-
そう。
はじめに誘われたのは、
バッグとかを作る、ふつうの手芸教室で、
2回だけ行ったんだけど。
そういうのは、たくさん作ってきたし、
ある程度、習わなくても作れるじゃない。
- 私
- そうだね、よく作ってたもんね。
- 母
-
それで、その教室のなかに、
カルトナージュのコースを見つけてね。
洋裁とかはできちゃうけど、
箱を作るのはしたことがなかったから。
- 私
- 新しいことに挑戦したかったんだ。
- 母
-
そう。カルトナージュは知ってたんだけど、
どうやって作るんだろうと思っていて。
それで、習い始めたの。
この素敵な生地で、
何か作りたいっていう想いもあったから。
そしたら、面白くなっちゃって、もう2年通ってる。
- 私
- たくさん作ってるのは、どうしてるの?
- 母
-
まぁ、家で使ったりとか、
お金払うから作ってって
友達からメッセージがきたりとか。
- 私
- 売ったりもしてるんだね、知らなかった。
- 母
-
まぁでも、それで儲けようとは思わないけどね。
自分が楽しみで作って、
それで人が喜んでくれたら、幸せだから。
見返りはあんまり、いらない。

(つづきます)
