もくじ
第1回アマチュアによるお菓子作りの大会って? 2017-11-07-Tue
第2回見続けられる心地よさ 2017-11-07-Tue
第3回やさしく、おもしろい「競い合い」 2017-11-07-Tue

めずらしい名字、手書き文字、言語学やコメディーに興味があります。
お菓子づくりも好きです。

やさしさのある競い合い

やさしさのある競い合い

担当・ぬふぃー

第2回 見続けられる心地よさ

見始めたきっかけは、たまたまぺらっと
めくった日本のフリーペーパーのテレビ欄に
「アマチュアによるお菓子づくり対決」
とざっくりと書かれていたから。まあ、お菓子作り
好きだし、どんなものか見てみようかなー。
そんな軽い気持ちで、午後8時すぎに、
テレビの前に座って見始めました。

正直、わたしが見始めたときにはすでに
2、3週目に入ってて、だれがだれだかよくわからず、
キッチンタイマーがやたらあちこちで
ぴぴぴぴっ、ぴぴぴぴっ、と鳴ってるし、
最初はあまり状況をつかめないまま観ていました。
それでも、魅力は感じたのです。
1時間経った頃には「来週も絶対見る!」
と強く思ったのでした。

番組のコンセプトに興味を示したとしても、
それだけでははまって見続けなかったと思います。
心地よくなければ1時間もじっとして
観ていません。そして、あんまり視聴者の人数
で番組の善し悪しを判断するのはよくないけれども、
ときには1400万人越えるイギリス人が
毎週のように見入るのも、わけがあるように感じます。

まずは画的なところ。小動物が顔をだすような
自然に囲まれた中、白いテントがあります。
そのなかにはパステル調でまとめられた作業台や、
キッチン用具が集まっていて、まわりの棚には
ケーキスタンドや、バンティングで
飾り付けられている。
かといって、過度に女の子っぽかったり、
目がちかちかしそうなほどカラフルなわけではなく、
見ていてちょっと気分が上がる程度
におさえられています。

その感じがイギリスのおうちっぽいのです。
レシピ本などに登場するイギリスのちょっとした
ボウルなどのキッチン道具が気に入っていた
わたしとしては、おうち感のあるセットは
観ていてたのしいものでした。

そして、出場者1人1人の個性をちゃんと
引き出されていること。わたしが初めて観た回が
終わるころには、誰が誰だか把握で
きていたのは、ここだと思います。初回では必ず普段何を
しているかの紹介があり、出場者と審査員や司会の方との
やりとりでその人の性格がよくわかるように作られてます。

なので出場者とも接点を感じたり、共感することができ、
距離が近いのです。ともだちになった気分にさえなります。
あ、ともだち感覚はわたしが勝手に、です。
それだけ自然体な姿が画面越しに伝わってくるのです。
そして、勝手に「ともだち」ということもあり、
趣味をここまで極められるなんて・・・・と尊敬する
目で画面を見ていることがほんとうに多い。

そういう意味でいうと、わたしは5〜6週目が好みの回。
人数も半分に減り、よりひとりひとりへ当てる時間が
増えるからです。かといって最初から5人にしぼるのとは
また違います。それまでに勝ち抜いてきたからこそ
ついた自信が垣間見れたり、テレビに慣れてきたからこそ
自分らしくたちふるまえるようになったりと、
成長を感じるところに良さがあります。なので、
12人から始まる今の体制が、1番出場者の魅力が
出ていると感じます。

番組の中での緊張の強弱も見やすさのポイント。
最初のほうはみんなゆったりとして談笑しながら
作っているけど、途中でちょっとした失敗をしてしまったり、
残り時間が少なくなるとテントの中の緊迫した空気が
画面越しに伝わってきます。審査員の言葉に
どきどきしたあと、ふとテントの外をかけめぐってる
リスを見せてきたりと、バランスを取りながら
観ていくことができます。

あとは、いい意味で届きそうで届かなくて、完璧では
ないかもしれないけれどすごいものを作るところ。
出場者がつくるお菓子は、どれも美味しそうなのだけれど、
お店にありそうな「商品」ではないのです。
ちょっとこげちゃったり、ひびが入ったりと、
完璧なわけではない。でも人間味があって、いいのです。

そして、何より発想が柔軟。

例えば、ある人は両親が働いてたパブ(日本でいう居酒屋)
をビスケットとスポンジ生地で表現しました。
カーペットの食べこぼしによるべたべた感をスポンジに
シロップをしみ込ませて表現したり、凝ったものでした。

また、別のひとはライオンの顔をパンで表現。顔の細かいパーツ
によって色や生地のふくらみ具合を考慮して、
デザイン図も書いて作り上げました。できあがったものは
すっごくリアルなライオンで、パンに対しては
特に厳しいポールも、「こんなのみたことない」
と言っていました。

これらは発想としては、小学校の図工の授業でやった
工作と似ています。出来上がった作品全部が全部
洗練されているわけではありません。でも、そのとき
「表現したい!」と思ったものを具現化しているのです。
でも、もちろん制作行程を知っているから
ということもあるものの、
「こどもっぽい」とけなすことはなく、素直に「こんなことが
できるなんてすごい!」が大多数の感想。このスタンスが
いい意味で気を張りすぎずに見られる理由
なのかも知れません。

実際、この番組の姉妹番組で、プロによる対決が
放送されていました。もちろん出来上がるものは圧巻で、
なかなかお店でもみられないようなきれいなもの
ばかりでした。もはや作品のスケールが違いすぎて、
「芸術」ということばのほうがしっくりくるくらいです。

でも、3人によるチーム制なうえに、
回ごとに登場するチームが変わり、準決勝でようやく
もう1回最初の方にみたチームが見られるというもの
だったせいか、あまり選手に親近感が湧くことなく
終わってしまいました。あと、あまりにも完璧すぎて
近づけない感じがあり、あまりはまることは
ありませんでした。

完璧すぎないからこそ生まれる親近感にほっとし、
ともだちを応援するような感覚で観られたから、
心地よく、毎週テレビの前で今か今かと
始まるのを待っていたのでした。

(つづきます)

第3回 やさしく、おもしろい「競い合い」