「誕生日が来るのが、全然うれしくない。むしろ嫌。」
この思いが初めて心をよぎったのは、忘れもしない2017年4月3日。
4月になったというのにインフルエンザにかかり、
一人暮らしの部屋で熱に浮かされながら寝込んでいた日でした。
熱は40度近くあるし、体中が痛いし、フラフラして立ち上がれない。
苦しくて情けなくて寂しくて、心細くて心細くてそりゃもうとっても心細くて。
しかもお医者さんから「20代だと異常行動をとってしまう可能性があるから気をつけてね、飛び降りたりしないように」とか言われたりして。
わたし:「え‥‥それって‥‥どう気をつければいいんですか‥‥?」
お医者さん:「一人なの?お家には」
わたし:「はい」
お医者さん:「近所に頼れる人は?」
わたし:「いません」
お医者さん:「隣に住んでる人とか知らないの?」
わたし:「しりません」
お医者さん:「困ったねぇ(笑)」
いや、困ったねぇじゃねぇし。
あぁもうやだ、何もかも捨てて実家の福岡に帰りたい。
大きなテレビでお母さんとジャニーズのDVDを見ながら、安くて美味しいチリワインが飲みたい。
犬とか飼って、休みの日は海辺をドライブしよう。友達もいるし。
そうしよう、それがいい‥‥。
家で1人、本当に泣きながらスマホで飛行機を検索し始め、
カレンダーで日付を選ぶところまで進んだとき、
「あ、そういえばもうすぐ誕生日だ」ということに気が付きました。
私の誕生日。4月22日。
え、うそ。あと20日くらいじゃん。
20日なんてもう一瞬じゃん。
わたしもうすぐ、いよいよ本格的に「アラサー」になるんだ‥‥。
独身、一人暮らし、彼氏なし、友達少なめ、休みの日は基本的に引きこもり。
特に可愛くも美人でもないし、スタイルがいいわけでもないし、
ネガティブだし、すぐ泣くし、暗いし、びびりだし。
あぁ、めでたいことなんて何もない!
誕生日が来たとて。こんな私に誕生日が来たとて。
しかもよく見ると、4月22日は土曜日。
土曜日って!彼氏もいないアラサー女の誕生日が土曜日って!
せめて平日なら、仕事してるだけで時間がすぎるのに。
会社で優しい同僚たちに「おめでとう~」とか言われて、「あっそういえば今日誕生日でしたね」って顔しながら粛々と仕事をして、家に帰ってビール飲んで寝ればあっという間に1日終わるのに。
よりにもよって土曜日。予定なんてありません。暇です。1人です。
誘えば一緒にご飯くらいは食べてくれる優しい友達もいるだろうけど、さすがに誕生日当日に自分から誰かを誘うなんて、そんなおこがましいことできない。
もし仮に、おしゃれなダイニングバーで食事をした後にサプライズで誕生日プレートなんて用意してくれてしまったらもう、申し訳なくて消えてなくなりたくなってしまう。
突然お店の照明が落ちて、店員さんが花火がバチバチなっているプレートを運んできて、「渚さんお誕生日おめでとうございまーす!」なんて言われてしまったらもう、恥ずかしくて穴という穴に入りたい。なんにもおめでたいことなんて無いんですよ。
逆に、誕生日であることなんて気づかれず、普通の居酒屋で愚痴とか言い合いながらご飯を食べたとしても、それはそれで寂しい。(勝手)
‥‥‥‥‥はぁ。
ちょっと暗くなりすぎた。落ち着こう。
きっとこんなネガティブな感情、そう長くは続かない。
インフルエンザで体が弱ってるから心も弱ってるんだ。
一旦飛行機のチケットを取るのはやめて、誕生日のことも忘れて、寝よう。
きっとインフルエンザが治る頃には、誕生日のことなんてどうでもよくなっているはず‥‥。
(つづきます)