蝶ネクタイをつけていると、ご機嫌に見える。
そもそも不機嫌な人が蝶ネクタイを選ばない
というのがあるけれど、
少なくとも蝶ネクタイをつけている限り、
いろんなことを笑い飛ばしやすくなる気がする。
例えば目的地とは反対方向の電車に
乗ってしまったとき。
普通、反対方向の電車に乗ってしまった人は、
「ああ、しまった」と思う。
僕も間違えるたびに
「ああ、しまった」と思っている。
ここで想像してみてほしい。
「ああ、しまった」と思っている人が、
蝶ネクタイをしていたら、
どこかコミカルに見えはしないだろうか。
日常生活での蝶ネクタイは、
ポップで大人っぽくて、
そして、滑稽なのだ。
初対面の人に言われる
「どうして蝶ネクタイをつけているんですか」
という問いかけも、正しく表記するなら
「どうして蝶ネクタイをつけているんですか(笑)」
になる。
この(笑)という反応こそが、
蝶ネクタイの醍醐味なんじゃないかなと思う。
滑稽であることは、楽しいのだ。

僕は、スーパーマンになりたい。
どんな難問でも次々に解決していくような
完全無欠のヒーローに憧れている。
でも現実はそんなうまくはいかない。
電車を乗り間違えるし、
約束を忘れるし、
怒られることも多い。
ミスが多く、悩みは尽きない、ただの庶民だ。
だからこそ「蝶ネクタイ」なのである。
僕は世界を守るにはあまりにも無力すぎるけれど、
楽しく、背筋を伸ばして、ご機嫌であることなら、
なんとかできる。
そして、そういう生き方で救える世界も
きっとどこかにはあると思う。
蝶ネクタイをつけて、今日も僕は生きる。
ポップで、大人っぽく、そして滑稽に。
(おわります。読んでいただきありがとうございました。)