もくじ
第1回宮崎啓一さんインタビュー 2017-05-16-Tue
第2回インタビューを終えて 2017-05-16-Tue

30歳で独立し、会社をつくって3年目。

「どこで」起業するか?

「どこで」起業するか?

担当・尾崎えり子

第2回 インタビューを終えて

私と宮崎さんでは
規模も経験も年数も全く違うが、
彼の何度も繰り返していた「面白い」という感覚は
私にも少しわかる気がする。

国民の95%が公務員か国営企業に勤める国で
起業家は少なく、
さらに日本人は100名程度。
ライバルは海外企業なのだろう。
そんな中、国内で腰を据えて、
人脈と信頼を築いていたら
チャンスは自然と回ってくる。

オイルマネーを持ち、
国の開発計画がドンドン進む。

チャンスは大きくなるばかり。

ネックは「危険じゃないの?」という点。
そこが参入障壁なのかもしれないが、
だからこそ、乗り越えると面白い世界が待っている。

起業家道にまだ足を踏み入れたばかりの私でも
聞いているだけでワクワクしてくる。

しかし、今すぐクウェートでビジネスできるか?
と聞かれると、できない。

自分が「どこで」起業するか、は
つまり家族が「どこで」生きるか、に直結する。

子ども2人の手を引いて、ワクワクだけで
まだ「危険なんじゃないか」と思っている国に行くのは
私には難しい。

宮崎さんのご家族は
父親が起業の場所としてクウェートを選んだことを
どう思っているのだろうと思い、
息子さんに聞いてみた。

「7歳までクウェートにいましたが、
その頃はクウェートという国にいることは当たり前でした。
日本人が学校に一人だったりしましたが、
それも普通なことでした。
湾岸戦争をきっかけに、日本に戻って来てからも
学校で外国人扱いされた時期もありましたが、
社会人になった今、
人とは圧倒的に違うバックグラウンドに相当救われています。

しかし、父が起業した年齢と同じくらいの年齢になり、
当時のクウェートのような知名度が低い国へ、
家族を連れて起業できるかと言われれば、
すごく勇気がいります。

今でも父は、スーパーマーケットも、床屋も、
仕事場でも日本人一人という状況ですからね。

でも、いずれ中東をベースに
働きたいという気持ちもあります。

起業とは、自分で創業すること、
経営者になることですが、
成功戦略としては、
全く新しいなにかを生み出すことや
既存のやり方を変えるなど色々ありますが、
父親を見ていて「Where」という、
誰もやらない場所で勝負することが
強烈に印象に残っています。
何よりもクウェートは良い国ですし、
父も私も家族もお世話になった第二の故郷だから
仕事で恩返しできればと思っています。」

人と違う場所で生きた経験は
大人になった時の圧倒的な自信につながるのか。

私は子どもの頃「周囲と同じ」ではない自分に悩んだが、
大人になると「周囲と同じ」自分に悩んでいた。

「どこで」起業するかは、
自分のビジネスの成功だけでなく、
家族の強いアイデンティをも作り出す。

宮崎さんは強くクウェートでの起業に
こだわっていたわけではない。
「なんか面白そう」で流れながら
自分の「どこで?」を見つけるのも悪くない。

(おわります)