もくじ
第1回漫画編集者の「4つの仕事」 2017-05-16-Tue
第2回一番になろうとは思わない 2017-05-16-Tue
第3回すべては面白い漫画をつくるために 2017-05-16-Tue
第4回誰かが成長する瞬間 2017-05-16-Tue

本が好きです。
あと歩いている時は、
だいたいラジオを聴いています。

「面白い」のために全力をつくす。</br>漫画編集者・大熊八甲インタビュー

「面白い」のために全力をつくす。
漫画編集者・大熊八甲インタビュー

担当・藤村

第4回 誰かが成長する瞬間

――
最近はどんなお仕事に
取り組まれてるんですか?
大熊
最新の仕事は、4月に第1巻が出た、
『明日ちゃんのセーラー服』でしょうか。
となりのヤングジャンプという
WEB漫画サイトで連載している作品なんですが、
コミックス発売の少し前に、
週刊ヤングジャンプ本誌に出張読切を掲載したら
SNSですごく話題になったんですよ。
それで発売前に重版が入って。

――
発売前に重版というのは珍しいですよね。
大熊
あまりないですね。
それで発売になって売り切れが続出して、
またすぐ重版が入りました。
――
すごいですね。
僕も好きな漫画ですが、どんな漫画か、
大熊さんの口から改めて紹介していただけますか?
大熊
「田舎の純粋な女子中学生の成長を見守る楽しみ」を
を描いた漫画です。
――
成長を見守る?
大熊
田舎に住んでいる明日ちゃんという女の子が、
中学校に入学するところから物語は始まります。
彼女が住んでいるところは田舎すぎて、
小学校のときに同学年の友達がいなかったんです。
だから彼女にとっては
「初めてのクラスメイト」や、「初めての給食」がある。
その瞬間を鮮やかに描いています。
 
特に大きな出来事が起こるわけではないのですが、
美しい田舎の風景や、誰かが成長する瞬間を
眺める喜びがあると思います。
――
『明日ちゃん』のテーマは
どのように生まれたんですか?
大熊
やはり作家さんの中にあるものから連想しました。
博さんとやりたいことを話したときに、
彼がやりたいことは、
女の子の細やかな仕草と成長を描くことだと気付いたので、
このテーマにしました。
 
あと、昔『けいおん!』という
漫画が出てきたとき、
すごいなって思ったんです。
男が不在で、女の子だけの楽しい世界を描いていて、
あの空間をずっと眺めていたい、
って思った人が多かったと思うんですよね。
その気持ちよさ。
気持ちよさも、面白さだと思うんです。
 
作者の博さんの過去作品を読ませていただいて、
女性を描くのが本当にうまくて。
なので舞台を女子校にして、
男性がほとんど出てこない世界を描いていただこうと。
そういう世界の中で、
誰かの成長を見守る気持ちよさ、
を本作では見せたいと思いました。

大熊
忙しさに追われる現代だからこそ、
このゆっくりとした田舎の感じは
とても気持ちよく感じられると思います。
 
初めての制服、友達との初めてのおでかけ‥‥
かつて自分が経験した数多くの「初めて」、
そのわくわくした感じを、
明日ちゃんの姿を通して追体験してもらえたらうれしいです。
明日ちゃんの成長を見守っていただけたらと。
――
これからの展開が楽しみです。
大熊
あと、いま新連載を2本準備しています。
――
えっ、また新しい連載を始めるんですか?
今でさえ、かなり担当もってますよね。
大熊
はい、かなりキャパオーバーです(笑)
――
お身体にはくれぐれも気を付けてくださいね。
これからも面白い漫画、楽しみにしています!
 
(おしまい)