もくじ
第1回料理の仕事をはじめるまで 2016-12-06-Tue
第2回食事と向き合うことは自分自身と向き合うこと 2016-12-06-Tue
第3回食を通して伝えたい大切なこと 2016-12-06-Tue

現在大学3年生。長期休みごとにアメリカへ飛んでしまうほどアメリカが好きです。世界中にいる友達を訪ねて世界一周することがひそかな野望。

将来に悩む大学生が、憧れの大人に会いに行ったら。〜フードスタイリスト・江口恵子さんのお話〜

将来に悩む大学生が、憧れの大人に会いに行ったら。〜フードスタイリスト・江口恵子さんのお話〜

担当・今田もこ

第2回 食事と向き合うことは自分自身と向き合うこと

きちんとした食事をとっている時は明るい気分でいられるけれど、食事をおろそかにしてしまっている時はどこか気分も塞ぎがち。食と心と体は深く関係しているようです。

江口さん:料理教室に来る生徒さんの中に、初めのうちは少し情緒不安定だったり暗い表情をしていたのが、通い続けることでだんだん表情が明るく変わった方もいます。自分で料理をすることで、心をリセット出来るんですね。野菜を包丁でみじん切りしている時なんて頭は無の状態だから、料理をしながら自然とメディテーションしているんです。

料理を通して人を救える。食事と向き合うことは自分自身と向き合うことだと、江口さんは言います。

江口さん:食べたものでしか体は出来ていませんから、きちんとした食事をとっていれば体調が良くなって、心も安定します。それに、自分に今何が必要なのか考えて食べるものを決めるということは、セルフコントロールが出来ているということ。今週は野菜をあまり食べていないから、今夜は野菜をたくさん摂ろうだとか、お腹の調子が悪いから消化の良いものを食べようだとか、自分の体に気を遣う、自分を可愛がれる自己肯定力が大切です。自分を可愛がれない人は他人を愛することも出来ないと思いますから。

自分の心と体を大切にして、自分を可愛がる時間をつくる。それだけで、自分にOKが出て満足感に繋がるのだと。

江口さん:自分のために丁寧にお茶を淹れてみるだとか、ドリップコーヒーを淹れてみるだとか、そんな簡単なものでもいいんです。”自分のために”やるだけで全然違いますよ。

(疲れた時には、旬の素材を使ったスープで胃腸を休めて栄養補給をするのが江口流)

毎日仕事でも家庭でも料理をしていて、献立に悩むことはないのですか?

江口さん:むしろ食べるものが追いつかない感じです(笑)元々食いしん坊なので、食べたいものはすぐひらめきます。献立を前もって立てることはしていません。その日に食べたいものを作ります。悩んだ時は、旬のものを意識したり、その日の体調を考えて組み合わせを考えるといいですよ。

食にいつでも真剣に向き合っている江口さん、食材を選ぶ際にはかなりのこだわりがあるのでは?

江口さん:一時期はストイックにオーガニックにこだわっていましたが、逆にストイックのバランスの悪さに気がつきました。オーガニックにストイックだった時は確かに体は健康だったけど、神経質になりすぎて心は健康でなかったかもしれません。今はジャンクフードでも、「今、これが食べたい!」と思ったら食べますし、自分の食べたいものに素直になって「おいしい!」を楽しむようになりましたから、心は前よりも元気だと思います。

いつも厳しく決め事を守るのではなく、自分の気持ちに素直になって、たまにはジャンクフードを口にしたっていい。その柔軟さが心の余裕にもなるのでしょう。
普段からなるべく良いものを選ぶけれど、今ではオーガニックを選んでも、あえてオーガニックでない野菜を引き合いに出すことはしません。

江口さん:そもそもスーパーで並んでいる野菜も、オーガニックの野菜も、同じ自然の恵みです。農家の方の努力と想いが同じくらいあって、水と太陽の光と大地の恵みであることに変わりありません。それを良い悪いの天秤にかけてしまうのは、自然に対しておこがましいというか。そう思って、選ばない人にあえて口を出すことはしていません。

良いものを選ぶコツは、自分の気持ちに素直になること。自分の気持ちに従って行動し、良いものを食べ続けていると、お店で野菜を選ぶ際不思議と直感で良いものを手に取っているのだそう。

江口さん:自分の気持ちに常に素直でいれば、直感が冴えてくるから無意識に良いものを選べるようになるんです。自分に嘘ばっかりついていると、その感覚が鈍ってきてしまいます。足りないものがあってスーパーやコンビニに駆け込む時も、その中で一番のものを選びます。どんなことでも、常に今の状況の中で一番は何か?を考えて行動するようにしています。

たとえあまり良くない状況であっても、今ある状況で出来るベストは何かを考えて行動する姿勢は、どんな場面でも活かせそうです。

第3回 食を通して伝えたい大切なこと