もくじ
第1回感動課、誕生。 2016-12-06-Tue
第2回僕のとこに、突風がやってきた。 2016-12-06-Tue
第3回「喜ばせたい」思いだけは純粋。 2016-12-06-Tue
第4回名脇役でいたいねん。 2016-12-06-Tue
第5回(番外編)副社長から見た、福西さん。 2016-12-06-Tue

去年の春に京都からやってきて、東京のIT企業ではたらいている、まだ社会人2年目の若者です。「サイボウズ式」というメディアの編集に携わっています。

職場に感動を。

職場に感動を。

担当・あかし

第3回 「喜ばせたい」思いだけは純粋。

福西
感動課の話が来て、めっちゃ嬉しいと同時に、
最初はほんまに戸惑ったんやで。
明石
そうなんですか?
福西
だって、職業に名前ないやろ。仕事内容も具体的にない。
何より、サイボウズの次に転職しよーって思ったとき、
できひんやん。
なんの職種で受けたらええの? って。
明石
それは、たしかに。
福西
周りからは、「いいですね」って言われるねんけど。
ほんまにいいと思ってるんやったら、
転職サイトの職種のチェックボックスに
人事総務の隣に「感動課」を入れてくれってね、
そういう話なんですよ(笑)。

明石
(笑)。
感動課の話を引き受けたのは、どうしてなんですか?
福西
副社長が、「もし感動課やってみてあかんかったら、
僕も頭下げてお願いするから、元の部署に戻ろ。」
って言ってくれて。それで決心ついたかな。
明石
副社長が…!
福西
そうやねん。
その後押しもあって…。
明石
社内で、転職したわけですね。
福西
うん。僕、社内で転職するんやって。
考えてみれば、僕人見知りやし、イチから関係作るの苦手やし、
社内で転職できるのはいいなって思って。
しかも、めっちゃやりたいことやったし。
明石
今までになかった仕事を、
一から作るってどんな感じだったんでしょう?
福西
うーん。一言でいえば、大変やった。
最初の頃は、「実際には何をやったらええんやろ」っていう。
明石
最初にされた仕事はなんだったんですか?
福西
なんやろ…
最初はサイボウズ・オブザイヤー(社内の年間MVPを
決めるイベント。社員が「ありがとう」を伝えたい人に
コメント付きで投票し、一番多かった人が選ばれる)の
コメントを、MVPの受賞者だけじゃなく、
一人一人に全部配ったことやと思う。
明石
今では毎年恒例ですよね。
福西
それまでは、MVPをとった人しか、自分へのコメントって
分からへんかったわけよ。
けど、MVPじゃなくても、自分宛に何個かコメントは
ぜったい届いてるのよ。
それって、1つでも2つでも、めっちゃ嬉しいやん。
やから、そのコメントをMVPとか関係なしに全員に配ったら
めっちゃ嬉しいやろなーと思って、配ってみてん。
それが初めの仕事かな。
そしたら、めっちゃみんな喜んでくれて。
明石
私も去年コメントが届いたとき、すごく嬉しかったです。
(↓こんな感じで、福西さんからメッセージが届きます)

福西
やろ。
そのあとも、これやったら嬉しいやろなーとか、
毎週1時間くらい副社長と「感動」についてミーティングして。
明石
そうやって、少しずつ仕事が形になっていったんですね。
福西
うん。
結婚式ってさ、何回行っても泣くやん。
両親に手紙読むとか、絶対あるってわかってるけど、
読まれたら泣くやん。
ってなると、感動には「鉄板」があるわけやんか。
やから、感動課にも「鉄板の仕事」を作ろうと思ってん。
明石
鉄板の、仕事。
福西
うん。
で、そういうことを考えてたとき、
新人研修の打ち上げで、チューターが研修中の写真をまとめた
スライドショーにBGMをつけたような動画を流してて、
みんなめっちゃ泣いてるのに気づいてん。
「あ、これ、鉄板やな」って。
明石
そこから、新人研修の最後に
動画を流すようになったんですか。
福西
そう、そう。
それまで新人研修って、何やってるかさえ知らんかったから、
同行させてもらうように頼んで。
明石
なるほど。
福西
なんかね、僕の仕事って、
自分でゼロから始めたことって少ないのよ。
コメントを配るのも、新人研修の動画も、
誰かがやってたものを引き継いだだけやし。
でも、ふだん会社にいると、コメントとか、動画みたいな、
感動に繋がる「これええな」っていう出来事が通りすぎるのよ。
そういう感動のタネみたいなものを、気にするようにしてて、
気にしはじめたら、あ、これも感動や、あれも感動やって。
その気づきを、仕事に落とし込んでいった。
明石
もともと社内に散らばっていた感動のタネが、
福西さんの具体的な仕事になっていったんですね。
福西
うん。
でね、1年くらい経った時に思ったのは、
「飽きられたら怖い」ってこと。
明石
飽き、ですか。
福西
同じことばっかりしてて、飽きられたらどうしようって。
明石
ふむ。
福西
でもよく考えると、新入社員ってね、新規顧客なのよ。
明石
新規顧客?(笑)
福西
うん、感動課のサービス対象としての、新規顧客(笑)。
また同じことやってるやんって、周りの社員からは
思われるかもしらんけど、新入社員からしたら初めてやん。
結婚式場のスタッフさんとかもね、
定番の手紙とか動画とか、何回もやってたら
飽きられるんちゃうかって思うこともあると思うねんけど、
やられる方は初めてで、やっぱり嬉しいのよ。
明石
それは、そうかもしれないですね。
福西
だから、理論上「飽き」はきいひんわけ。
しかも、毎年少しずつ「経験」が積み上げられるからさ、
僕は腕あげた状態で立ち向かえるわけよ。
こりゃええわいって思って。
明石
毎年、パワーアップして、立ち向かう(笑)。
福西
それにね、新人から何年かって、
自分が「感動させられたい」なのよ。
ライバルがサプライズの対象とかになってたら、
「あの子はとりあげられて羨ましいなあ」って思って、
次は自分が! って頑張ったりする。
でも、どこかのポイントで「自分が日の目を見たい」から
「自分が関わった人が日の目を見てほしい」っていうのに
変わる年ってあるんやろなって思ってて。
上司は、基本は自分の部下が賞取るとか、
そういうのが嬉しいやん。
明石
たしかに…!
福西
やから、新人って最初は感動させられる側やけど、そのあとに
いい具合に変わっていくもんやと思うねん。
明石
なんだか…親みたいですね。
愛情を与える親、みたいな。
福西
うん。
怒ってくれる母親のような愛情は、
同じ部署の先輩とかがいるからさ。
たまーに、「なんでそんなオモチャ買ってんのよ」って
いうような、甘やかすお父さんがいても
いいんちゃうかなっていうのは、なんとなく思うね。

明石
福西さんは、お父さん側なんですね。
福西
かもね。
その父親の愛情は、「これ観たら喜ぶんやろうな」とか、
「喜ばせたいな」っていう僕の思いからスタートしてて。
今回のこのインタビューも、
感動課の話載せてくれんのは嬉しいけど、
それよりも、会社の外で自分の勉強も兼ねて
学ぼうとしてるやん。
そこをいいなって、純粋に思うのよ。
僕、性格は多少ひねくれてますけど
根本的な気持ちは純粋なのよ。
明石
喜んでる顔が見たい、が一番。
福西
うん。
その純粋な気持ちがね、飽きてきてルーティン化しちゃったら
もう感動課は終わりやなって思うねんけど。
そこはね、変わらへんのよ。
明石
そこが福西さんの「変わらない部分」なんですね。
福西
やろうな。もう、頑張ってる人とか前向きな人を見ると、
「前向きかよ、おい!」って、ジワーってくるねん。
そういうところは、感動課やるにあたって、
大切にしていたいなあ。
第4回 名脇役でいたいねん。