浅生鴨×糸井重里 「隠れること」と「表すこと」

第2回 目立たないように、生きてきた。
- 糸井
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見た目とか国籍がどうだとかっていう話は、幼少期からずっと続いてきたんですか?
- 浅生
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ずーっとですね。ぼく、高校出るまではずっと神戸で生まれ育って、高校出てから東京にやってきたんですけど。
- 糸井
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神戸時代、中学とか高校では、みんなと溶け込んでたんですか?
- 浅生
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表面上は。
- 糸井
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ちょうど校内暴力時代だったとかで。
- 浅生
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はい、ほんとにすごい時代ですよ。中学校の先生が……これ言うとみんなビックリするんですけど……ヌンチャク持ってるんですよ。

- 糸井
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ヌンチャクって、またちょっとそれ、脚色……(笑)。
- 浅生
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してないんですよ(笑)。バレーボールに、灯油をかけて火を付けて投げるみたいなことをやってる中学もありましたから(笑)。
- 糸井
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まるで西部劇ですね。その中で、あなたは何の役なんですか?
- 浅生
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「うまく立ち回る」。
- 糸井
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何をやったんですか。
- 浅生
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強そうな悪い奴がいたら、そいつの近くにいるけど積極的には関わらない。腰巾着までいかないポジションを確保っていう。
- 糸井
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戦国時代のドラマに出てきそうな。
- 浅生
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かと言って、真っ向から対抗するとやられるので、真っ向から対抗はしない。
- 糸井
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強かったんですか?

- 浅生
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いや、ぼくは中学の頃とかヒョロヒョロのちっちゃい感じです。ターゲットになるとイジメられるから、とにかくターゲットにはされないように立ち回るっていう。
- 糸井
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でもさ、頭ではわかってても、ターゲットにするかどうかは相手が決めることだから、なかなかうまくいかないでしょ?
- 浅生
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はい。でも、相手が得することを提供してあげれば喜ぶわけですよね。その子が思いもしないことで褒めてあげれば、つまり喧嘩が強いやつに「喧嘩強いね」っていうのはみんなが言ってますけど、「キミ、字、キレイね」って言うと、「おっ」ってなるじゃないですか。
- 糸井
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すっごいね、それ。

- 浅生
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そうやってポジションを磨いた(笑)。
- 糸井
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「字、キレイ」で。
- 浅生
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ものすごい嫌な人間みたい(笑)。
- 糸井
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いやいや(笑)。ま、西部劇だからね。
- 浅生
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生き残らなきゃいけないので。