- 糸井
- 仕事嫌いなのにこんなにいろいろ手出して、
人から見たら、「よくがんばってるな」って思われるぐらい
仕事してるって、なんなんでしょうね(笑) - 古賀
-
いや、ほんとにそれがわかんないんですけど。
例えば僕、仮に三連休とかがあったとしても、
やっぱり1日半ぐらいで、
仕事のことを考えちゃうんですよね。
でもね、ワーカホリックなのかっていうと、
ちょっと違うんですよ。子供の頃にドラクエとか
スーパーマリオにはまってたのと、あまり変わらなくて。ドラクエにも、おもしろさと辛さと、両方あるんです。
スライムとばっかり戦ってるとき、
こんなところ速く抜けて、
早く竜王行きたいのに、って思ってたときの
感覚に近いんですよね。やっていく1個1個はほんとにめんどくさくて、
スライムと戦うような日々なんですけど。
目の前に何か課題があったら解かずにはいられない、
みたいな感じが近いのかなあ…。

- 糸井
- それはいま、
小さい組織をつくってから思ったことですか、
それとも前から同じですか。 - 古賀
- そうですね、前から同じですけど……
でも、前はもっと露骨な、
「出世欲」みたいなものがあったんですよね。 - 糸井
- ひとりのほうがね。
- 古賀
- そうなんです。
「ライターの中で一番になりたい」とか… - 糸井
- 永ちゃんですよね。
- 古賀
-
そうですね(笑)。
「あいつには負けたくない」とか、
そういうチンケな欲はすごくあって。でも今は、同じ立場同士で、
同じ場所だけ見て、競争して、消耗するのは、
なんだかもったいないという気持ちがあって。
それよりも、外に目を向けた時のおもしろさを、
今ようやく知りつつある感じですね。 - 糸井
- その意味でも、古賀さんは、
会社をつくってよかったですね。 - 古賀
- そうですね、ほんとに、はい。

- 糸井
- 組織をつくると、喜んだ話が聞こえてくるというのが、
でかいですよね。 - 古賀
- そうですね。
- 糸井
- アルプスとかヒマラヤとかが、
見える場所に立ったことあります? - 古賀
- いや、ないです。
- 糸井
- ないですか。
もし立ったら、「大きいなー」って、
思うじゃないですか(笑) - 古賀
- (笑)
あ、ナイアガラの滝で思いました(笑) - 糸井
- それで、「来てよかったなー」って、
思うじゃないですか。

- 古賀
- 思います、思います、はい。
- 糸井
- だれかがもしナイアガラの方に行くんだったら、
絶対行ったほうがいいよ、と思うじゃない。
あれなんですよね。 - 古賀
- あれ。
- 糸井
-
「ヒマラヤを見たことがないんです」って子がいたら、
古賀さんが、
「じゃあ、少し儲かったから、連れていってあげるよ」
って言って、ヒマラヤが見えるとこに行って、
「な?」って言うと、
その子が「ほんとだあ」って言うじゃないですか。
その、「ほんとだ」が、
じぶんのこと以上にうれしいですよね。この間あったじゃない、それ。
ヒットしたんだよね?

- 古賀
- はいはい、はい。
うちの会社の子の書いた本が10万部いって。はい。 - 糸井
- あれですよ。
- 古賀
- そうですね、あれは気持ちいいですね。
自分のこと以上に、うれしかったですね。 - 糸井
- それはうれしいと思いますよ。
- 糸井
- ぼくは、主役は自分じゃないんだけど、
自分が苗を植えた、みたいな仕事が増えてるんですね。 - 古賀
- そうですね。
- 糸井
- そうすると、
その実った米やら果物やらを食べてよろこぶ人がいる。
その循環そのものをつくるようになって、
「おもしろさ」が、
「飽きないおもしろさ」になったんですよ。 - 古賀
- それは、最初から、
その喜びを得ようと思ってはじめたことじゃないですよね。 - 糸井
-
もともとはね。
解決したい問題があるからやってるけど、
でも、問題がなくても、やりたいんじゃないかなぁ。ぼくが時計職人で、老人でさ、
近所の中学生が「時計壊れちゃったんだ」って言ったら、
「おじさんは昔、時計職人だったんだよ。貸してごらん」
って言いたいでしょ。
そんなことのような気がする。
1回だけ、「どうだ」って言わせて! みたいな(笑) - 古賀
- (笑)
そうですね、はい、わかります。 - 糸井
-
あと、昔からよく言ってるんだけど、
お通夜の席でね、みんなが楽しそうに集まってるでしょ。もう本人がいないんだから集まらなくてもいいのに、
「あの人のまわりには楽しい人がいるから、
あの人が死んだときに集まる人は、
きっとみんな楽しい人だろう」って思われたら、
どのぐらいぼくの人生が楽しかったか、
わかるじゃないですか。

- 古賀
- そうですね、うん。
- 糸井
- そこは、ずっと思ってることですね。
家族だけで小さくやりますっていうお葬式もいいけど、
誰がきても、誰がいてもいいよってお葬式を、
すごく望んでるんですよね。
それにかこつけて遊んでほしいというか。 - 古賀
- そうかそうか。
結婚式は「俺と奥さんが主役の場」ですけど、
お通夜とかお葬式は、
「もう俺はいないし、主役じゃないけど
君達は楽しんでくれ」という場ですよね。
そのふたつは、全然違いますよね。 - 糸井
- ぼくは、お葬式用の写真を、
絶えず更新してますからね。 - 古賀
- (笑)
そうなんですか。 - 糸井
-
うん。いまね、候補が2枚あって、
今日死ぬと、そのどっちかになるんです。
じぶんのお葬式を、ものすごく楽しみにしていて、
その未来にむかって、
今日を生きてるんですよ、たぶん。それはなんか、いいものですよ、なかなか(笑)。
ぼくは、ちょっと自信があるな。
みんながこう、遊びに集まってくれるって。でもね、古賀さんは、ぼくの歳になるまで
まだいっぱい時間がありますから。 - 古賀
- 楽しみです。
- 糸井
- うん、楽しみにされるおじさんでいたいですよね。
