- 古賀
- 吉本隆明さんだったり、あるいは矢沢永吉さんだったりって、
糸井さんの中でのヒーローみたいな人達がいて、
その出版のお手伝いとかをされてきたわけじゃないですか。 - 糸井
- そうですね。
- 古賀
- その時の糸井さんの気持ちっていうのは、
俺が前に出るというよりも、
やっぱりこの人の言葉を聞いてくれ
みたいな感じなんですよね。 - 糸井
- 僕は、とっても驚いたよとか、
僕はとってもいいなと思ったよとか、
間接話法で僕の本になるんですよね。
だから自分を前に出す必要は全くなくて。
美味しいリンゴ売ってる八百屋はいい八百屋で、
そういう八百屋から買ってくれる人がいたら、
またいいリンゴ売れるじゃないですか。
それとか、
「リンゴあんまり買ってもらえないから、
めんどくさい作り方するのやめようと思うんだよね」
っていうお爺さんとかに、「まあまあ待て待て」って。
「俺が売るから、ちょっと作ってよ」って(笑)。
その商売ですよね。 - 古賀
- そうですね、うんうん。
- 糸井
- 古賀さんそういえば、そういう仕事してますね(笑)。
- 古賀
- そうですね(笑)。
糸井さんが、例えば『成りあがり』とか、
ああいうものでやったことが、たぶん今『ほぼ日』で
毎日のようにできてるんじゃないのかなと思うんです。
こんな面白い人がいるから対談して紹介したいなとか、
TOBICHIでその人の展覧会を開いてとか、そういう… - 糸井
- 場所作り。
- 古賀
- 場所を作って、その人達を紹介していく…
それは僕が今やりたいこととかと、
すごく重なる部分があって。
『ほぼ日』では毎日「今日のダーリン」という
大きなコンテンツはあるんですけど、
糸井さんが、俺が俺がって
前に出てる場所ではないじゃないですか。
それよりも、こんな面白い人がいてねっていう
場所になってて。その姿勢というのは、実は
『成りあがり』の頃から一貫してるのかなという…?

- 糸井
- 「あなたには目立ちたいってことはないんですか?」
って聞かれたら、「ものすごくありますよ」って
答えると思うんですよ。
で、それはどういう種類のもの? となると、
「いや…いいかも。要らないものかも」(笑)って。
浅いところでは目立ちたがりですよ、僕、たぶん。
でも、ちょっとだけ掘るだけで、
急にどうでもよくなるというか。 - 古賀
- それは、それこそ30ぐらいの時に、
目立って痛い目に遭ったりした経験があるから…? - 糸井
- じゃないですね。「たかが」っていうのが、
ものすごく見えた感じがするからですね。
たとえば、誰しも一番目立ちたがりだったのって
高校生の時とかじゃないですか。 - 古賀
- はいはい(笑)。
- 糸井
- たぶん性欲の代わりに表現欲が出てるくらいな。
- 古賀
- そうですね。
- 糸井
- その時期って、何をしてでも目立ちたいわけで。
みんな俺をもっと見ないかなって、そう思ってるのを
服装に表現してみたり(笑)。自然にあることですよね。
やがてそれを残しながらも、嬉しいのは何かって
近くにいる人にモテちゃうことの方だったりね。
だから彼女がいるっていうのが一番理想ですよね。
極端な話、彼女さえいれば何も要らないみたいな。
恋愛至上主義に近いんですよ、若い時って。 - 古賀
- はいはい。
- 糸井
- でも仕事をするようになって、アイドルみたいに
ワーワーなんてモテちゃったとしても、
それは近くに寄せちゃいけないんですよね。 - 古賀
- なるほど。
- 糸井
- ファンに手を付けることになるんですよね。
とっても上手くいったとしても、ね。
アイドルなんて、全部OKですよっていうお客さんが
目の前の会場を埋め尽くしてるはずじゃないですか。
でもそこに突っ込んでいったら、後で大変ですよね。 - 古賀
- そうですね。
- 糸井
- それは、商品に手を付けるっていうか、
そういうことだから禁じられたことでもあるし。
つまり、距離なんですよ。
それより、たまたま誰かの送別会で隣にいた女の子に、
「私送ってって欲しいんだけど」って言われたら、
もうバリバリに鼻の下伸ばしますよね(笑)。 - 古賀
- (笑)
そうですね、うんうん。 - 糸井
- いずれ、みんなわかっちゃうんじゃないですかね。
まだ足んないんだよって僕、あんま思わないんですよ。
大体足りたって思うんです。
僕みたいな加減でそんなに目立とうとしなくても、
1つの面白い世界はやれるんだなっていうのは、
若い人達が僕を見た時に、「ああ、あれくらいがいいな」
って気づくと思うんですよね。
「たかが」というかそのくらいの方が楽しいんだって。 - 古賀
- 遠くでモテても。
- 糸井
- そうなんです、
- 古賀
- でも遠くの5万人とか50万人にモテてるオレ
っていうのを喜ぶ人も確実にいますよね。 - 糸井
- それはものすごく面白いゲームだし、
僕の中にもそれはなくはないんだけど。
何人読んでくれてるとか。まさしく100万人とかね。
それは「ええー?」っていう嬉しさがあるじゃないですか。

- 糸井
- 古賀さん、ヒマラヤとかさ、
ああいうのが見える場所に立ったことあります?
<つづきます>
