もくじ
第1回自分たちの手で建物を。 2016-06-28-Tue
第2回モザイクタイルをどう見せる? 2016-06-28-Tue
第3回町のこれからのために。 2016-06-28-Tue
第4回はじまりのお話 2016-06-28-Tue
第5回素敵な夜の会 2016-06-28-Tue
第6回アイデンティティを持つ 2016-06-28-Tue

岐阜県生まれ。建築、料理と気ままな旅が好きです。暮らしを考え、提案する仕事をしてきました。今は、次どこへ行こうか模索中です。

ミュージアムができるまで。

担当・ecoromo

第5回 素敵な夜の会

各務
でもそうやって、アポ取って、
東大まで会いに行ったんだよ。
――
そこ頃は、モザイクタイルの収集はまだ?
各務
ちょうどね、始めた頃だったんだ。
平成5年くらいから始めとるからね、
もう23年前かな。
その頃に建築の本とかも読んだりしたわけよ。
――
今思うと、スゴイ瞬間ですね。
運命の出会いみたいな(笑)
各務
それで先生の空いてるスケジュール見て、
講演行きましょうってなって、
笠原町に来てくれることになったわけ。
ここの横に公民館あるでしょ?
あそこの会議室でやることになったわけよ。
だけど、誰も「藤森照信」の名前知らないのよ(笑)
――
(笑)当時は、また今ほど有名になる前だったんですね。
各務
いや、僕も知らなかったけど、
『タンポポハウス』っていう先生の自宅ができた頃かな。
――
なるほど。
各務
とにかく、人集めが大変だったんだよ。
知り合いに片っ端から電話して、何とか人は集まってさ。
講演が終わった後に、
「先生ありがとうございました。
ところで、先生は建築もやってらっしゃるんですか?」
って話してて、そこで知ったわけ。
「長野県茅野市の実家の近くに設計した資料館があるよ。」
って。
――
あ、知ってます!
見に行かれました?
各務
行ったよ。カミさんと二人で。
『神長官守矢史料館』を見に茅野へ。
でも、当時は地元の人も知らなくて、
場所もわかりゃせんくて、大変だったよ(笑)
――
今じゃもう、有名ですよね。
各務
ほんと誰も知らなくて、探して探して・・・
ある道路に入ってったら、スって見えたわけ。
「あ、これだ!!」って。
そこで衝撃を受けたよ、オレ。
これだ!!って、その時から決めちゃってた。
――
そうなんですね、
その時からミュージアムを依頼したいと?
各務
そう。
その後、岐阜県からも先生の講演会を依頼されたりして、
オレもいろいろ協力したよ。
それから何回か、やったんだ。
――
講演会以外にもされたんですか?
各務
ちょうどそこ頃、
「路上観察学会」ってグループを作ってらして。
赤瀬川原平さんや南伸坊さんなんかとね、
5人ぐらいでやってらしてね。
多治見市で活動してるクラフト団体から、
陶器祭りに合わせて「路上観察学会」の皆さまを
呼んでほしいって頼まれて。
――
各務さんに?
各務
そうなんだよ。
で、実は予算もあんまりなかったもんだから、
2泊3日で来てもらったんだけど、
うち一日は、オレの家に来てもらったんだよ(笑)
――
え、それはすごいですね!
各務
そうだよ。
でも、すごく楽しかった。
あぁ、日本の文化人はこういう会話をするんだなって。
とにかく面白かったし、楽しかった。
――
すごく魅力的な会ですね!。
ぜひその場に居合わせてみたかったです(笑)
各務
率直なんだよ、会話が。
みんな、行きの新幹線で、
藤森先生から今日の行き先と目的を
初めて聞いたって言ってたし(笑)
田舎のお金持ちの道楽で呼ばれたのかなぁ
とか思って来てみたら、そうでもないね!
って言われて(笑)
すごい面白かったよ!
――
楽しそうですね、その会話(笑)
各務
もうね、5人もいるもんだから、
みんなで一つの話題について話すんじゃなくて、
それぞれ勝手に話したりもしてて。
覚えてるのが、
オレの親戚にピンホール写真を撮る写真家がいてねって
話を持ち出したら、
有名な坂本竜馬の写真は、
きっとそれだったんだろうって話になって。
あの写真がなんでそういう姿勢になっただとか、
どうして肘を付いているのかとか、
何分あの姿勢をしていたかとか、
そういう話を延々と続けていくわけ。
もう永遠と(笑)
――
次から次から話題が
生まれていっちゃうんですね(笑)
各務
そう。
どこかの企業がどーだとか、
あそこは危ないとか、
そういう世の中の話じゃないわけ。
だから、すごく面白かったんだ。
――
素敵な夜だったんですね。

(つづきます)

第6回 アイデンティティを持つ