糸井
「ドコノコ」のプロジェクトがはじまって、
まず考えたのは、
犬猫の居場所をどうやって登録するか、
ということなんです。
自分の住所を公開したくないという人は
いっぱいいますから。
石田
はい。
糸井
考えているうちに、
以前から気になっていた
「全国避難所ガイド」というアプリの存在を
思い出しました。
震災をきっかけに作られたアプリなんですが、
たとえば、ゆり子さんがロケで地方へ行って、
現地で何かの災害が起きたとします。
でも、その地域の避難所がどこにあるかなんて
わからないですよね。
そのときに、そのアプリで、
今自分のいるところを検索すれば、
近くにある避難所が出てくるんです。
その仕組みを思い出して、
「あ、これらの全国にある避難所を
犬や猫の登録に紐付けたらいいんだ!」
と思ったんです。
石田
じゃあ、自宅近くの避難所を登録するんですか?
糸井
そうなんです。
避難所って、都会は特にそうなんですけど、
ひとつの地域に何ヶ所もあるんですよ。
石田
へぇ。
糸井
だから、あえて少し離れた避難所を
選んで登録することもできるんです。
石田
えっ、そうなんですか。
糸井
そうなんです。
すぐ近くの避難所にも登録できるし、
少し離れたところでも登録できる。
だいたいの範囲で犬や猫を
みんな登録すればいいんじゃないかなって。
石田
ざっくりとした範囲で、
「この地域にこの子たちがいますよ」
という感じですね。
糸井
そういうことですね。
そもそもは、
「この犬や猫は誰が面倒を見ているか」
というのを、
はっきりさせることが目的でしたから。
石田
なるほど、素晴らしい。
今ちょっと感動しました。
糸井
本当ですか(笑)?
石田
はい。
「犬猫たちの住民票を作りたい」って、
糸井さんがおっしゃっているのを何かで読んで、
「あぁ、そんな発想はなかったなぁ」と思ったんです。
私、犬や猫が迷子になったという
貼り紙を見るだけで、
気になってしょうがないんですよ。
ちょっと似た子を見つけると、
すぐ追いかけて行くし(笑)。
糸井
(笑)
石田
糸井さんのその方法だと、
自分の子がもし脱走したり、
地震とかで行方不明になったときにも
近くの人がみんなで探し出せる
システムができますよね。
糸井
そうですね。
でも、実際は迷子って、
そんなに山ほどいるわけじゃないから、
それを機能の中心にしすぎると、
楽しく使えないんですよね。
だから、普段は犬猫のアルバムを作って
見せあいっこできるようなものがいいなと
思ったんです。
たとえば、ゆり子さんと映画で共演した人に、
「ゆり子さんの犬って、どんな子?」
って訊かれることがありますよね。
ゆり子さんの場合は、
はなちゃんの連載をしていたから
「こんな子だよ」って
そのページを見せればいいんだけど‥‥。
石田
ええ、ええ。
糸井
でも、そのページの写真に、
たまたま犬が写ってなかったり、
「もっといい写真があったんだけどなぁ」
ってなったり。
石田
はい(笑)。
すごい時間かかります。
糸井
かかりますよね。
だから、自分の犬や猫の写真を
「ブック」にして、
いっぺんに見られるツールを作ったんです。
石田
あぁ、なるほど。
自分の子のページを
みんなが見れるんですか?
糸井
そうです。
たとえば、ぼくの例で言えば、
こういう3つの「ブック」を作ってます。
1つはブイヨンのブックです。
(ゆり子さんに見せながら)
▲「ブイヨン」のブック。
スクロールすると、これまで投稿された
たくさんのブイヨンの写真が出てきます。
石田
へえ。
糸井
もう1つのブックは
「どこかであったこ」です。
▲「どこかであったこ」のブック。
石田
(笑)かわいい。
糸井
それから、もう1つは、
犬や猫にまつわる本の写真を投稿しています。
石田
いいですね。
▲「犬や猫の本だとか」のブック。
糸井
で、誰かがこの写真を見て、
「いいね」と思ったらハートをつけたり、
ちょっとコメントを書いたりできます。
そして、投稿されたすべての写真は、
全部「ひろば」という場所に表示されます。
▲ここが「ひろば」です。
糸井
「ひろば」を見ていて、
いいなと思った子がいたら、
「フォローする」というボタンを押すと、
今度は「タイムライン」という場所で
その子ばっかり集まった写真が見られます。
石田
ほぉ。すごい。
ものすごく、おもしろいですね。
糸井
それから「エリア」というボタンを押すと、
今いる場所を中心とした地図が出てきて、
「このあたりにいるこ」たちが出てきます。
たとえば犬猫がいなくなったときに、
「迷子掲示板を作る」を押して情報を登録すると、
近くにいる人たちにアラートが
送られるようにできています。
▲迷子のアラートはこんな風に出ます。
石田
あぁ、なるほど。
糸井
6月5日に「ドコノコ」の
ダウンロードが開始されて、今日で6日目です。
まだまだなんですけど、
すでに結構な人数の人がいます。
石田
どのくらいですか?
糸井
ええと、たぶん3万5千人くらいかなぁ。
野球場1つ分くらいです。
(※7月23日現在、5万人を超えました。)
石田
へえ! すごい。
糸井
でも、住民登録という目的からすると、
全然足りないんで、
これからもたぶんずっと、
「入ってください」って言い続けますよ。
石田
あの、私も登録したいです。
「ドコノコ」に、うちの家族たちを。
糸井
はい。まかせてください。
今、うちの担当者が教えます。
※よかったらみなさんもぜひ登録してくださいね。
こちらのページに簡単な登録の方法があります。
Androidユーザーの方は、
7月28日より登録していただけます。
(つづきます)
2016-7-27-WED

イラストレーション:大橋歩

撮影:小川拓洋