伊勢丹の人 こちらのフロアは、おもにカジュアルな
アイテムを揃えたフロアです。

ジョージ あら、ニシモトがいない?!

── (西本、売り場にかけより)
こ、この長靴は?!





ジョージ やだ、あの人、すっかり自分の世界。
見て、5センチくらい浮いてるわよ?
買いたいのね。買わせてやりましょ!

── 雨の日に子供を連れて歩くのに、
こういう長靴がほしかったんですよ!
この何年も、探していたんです。
ちょっとオシャレで、ほかにはなさそうで、
でもちゃんと使える機能的な長靴!
わーっ!! ここにあったーっ!!

ジョージ 探していたものが見つかった時の
アドレナリン恐っ!
どれどれ。あら、アニエスbと、
エーグル(AIGLE)のコラボの
レインブーツなのね。かわいい!

売り場の人 こちら、本日入荷したものなんですよ。

ジョージ 裏返すと「ROCK N' ROLL is NOT DEAD!」
って書いてあるわ。
これは買うでしょ?



── サイズ26.5ありますか?

ジョージ もう財布出してる‥‥。

売り場の人 ございます。御用意いたします。

ジョージ 今日入荷したばかりってことは
もしかしたら一人目の客かもよ?

売り場の人 いえ、すでに朝から3足。
本館では婦人物を販売しているのですが、
そちらでは4足売れたと聞いております。
ジョージ あらま、開店してから数時間よ?!
でも、わかるかも。
たしかにほしいレインブーツって、
探すと、ないのよ。
おっきい赤いゴムがいいわね。


── うれしいです。
ああ、妻になんて言い訳しよう‥‥
でもうれしい。



ジョージ すごいことよ、
お金使って売ってもらって、
こんなに喜べるんだから!
人というものは買い物をするとき
こんなに幸せな表情になるものなのねえ。
このフロアは、こういうカジュアルだけど
おしゃれなものが多いわね。

伊勢丹の人 コンテンポラリーカジュアルと
呼んでおります。





ジョージ トゥモローランド(TOMORROWLAND)
ポール・スミス(Paul Smith)‥‥
なるほど。
ディフィージョン・ラインも多いわ。
バーバリーのブラックレーベル、
カルバン・クラインのCK。
こうして見ていると、くびまき、多いわねー。
W浅野の時代が戻ってくるのかしら!

伊勢丹の人 「くびまき」は今シーズン人気で、
紳士物も婦人物も、いろいろなショップで
展開しているんですよ。



ジョージ ボリュームを上にあげたいのかしら。
中尾彬じゃないけど。
さて、5階におりましょうか。



伊勢丹の人 こちら、インターナショナルブランドや
フォーマルウェアのフロアです。

── すごいですね。
オーダーメイドもこのフロアなんですね。



ジョージ 前はよくこちらのゼニアさんで買いました。
何度、生地見本を持って、
自然光だとどう見えるの?! って、
下に降りて外に出て確かめたものよ。

いいものって、取り寄せてもらえばいいのに、
大量の品揃えの中から探そうとすると
面倒くさくなるの。
だから、ちょうどこの小さな空間、
デパートの一区切りって、
凝縮されているでしょう?
そのブランドの全部があるわけではないけれど、
ここに来て買い物したい人たちに
ちょうどいいものがセレクトされてる。
セレクトショップの集合体としての
デパートメントストア、というのが
ラグジュアリーブランドでは、
あり得ると思うの。

1階で話した、ブリオーニや
キートンもここにある。
ブリオーニって、もともとシャツメーカーだけど、
007のジェームス・ボンド
実はブリオーニを着ているいう話があってね。
ピアーズ・ブロスナンからなんだけど。
だからイタリア人が作る英国、
みたいな感じなのよー。
イタリアの実業家はブリオーニを着て、
イタリアの伊達男はキートンを着る。



ジョージ こういうのを着てかっこいいと、いいわよね。
ミラネーゼがジャケット袖を外して着ても、
フーテンの寅さんにならない。
これを着て浅草の男の人にも
大阪のおじちゃんにもならないのは、
かっこいいと思うもん。
これを着て場外馬券場ぽくならないのは、
大切なことよね。
ほら、さわってごらんなさい?







── うわ、なんですかこの感触、この軽さ!
スポーツウェアみたいに軽いジャケットですね。
お値段は‥‥フガッ!



ジョージ 鼻が鳴ったわね。フフフ。
でもこれ着たら、タクシーにも乗れないし、
椅子にも座っちゃダメよ。
しわが、ついちゃうから。

── いったいどういう時に着るんですか。

ジョージ 着て、歩いてどっかに行くの。
ずっと立ってるの。
そして、帰るの。

── ピンク色のジャケットもありますよ。
いったいどんな人が着るんだろう‥‥。



ジョージ こういう色はね、
みんな着ようとしないだけで、
似合うのよ?
みんなオシャレしないんだもん!
ほら、こんなふうなエトロの紳士物。
パーティによばれると
エトロでシャツを買うの。
うんと目立つから、一回しか着れないの。
あ、フェラガモ(Salvatore Ferragamo)だ!

フェラガモの靴もってらっしゃる?
華奢で革が薄くて‥‥。

伊勢丹の人 以前、もっておりました。
脚がきれいにみえますよね。

ジョージ そう。華奢だけど好きだったな。
ネクタイも素敵。
さてこのまま4階に降りましょうか。

伊勢丹の人 4階は、ビジネスウェアのフロアなんです。

ジョージ ふむ‥‥。上のフロアは、英国があり、
イタリアがあり、アメリカがあり、と、
そんなふうに分かれていたんだけれど、
こちらは、日本って感じがするわ。
どういうのかしら、
上のフロアはビジネスマン
こちらはサラリーマン
上は給料を払ってそうで、
下は給料をもらってそう。

それぞれ、用がなければ行きません、
という殿方もいらっしゃると思うんだけれど、
行ってみるのもいいと思うのよ。
上のフロアで、
自分のボスの気持ちになってみようかなとか、
そういうことね。

 














































■エーグル
フランスにもアウトドアがあるんだぁ‥‥、ってはじめてであったときにはちょっと意外に思ったのネ。おフランス的にオサレなアウトドア屋さん。山を登ったり、秘境冒険には向いてない。わざわざ訪ねるアウトドアじゃなくて、おうちの裏庭にちょっとしたアウトドアがある生活をしている人たちの必需品。しかも街からそんな遠くなくって、お庭仕事をした後にちょちょいのちょいとお買い物にいく、そんなときにピッタリなんじゃないかと思う。そんな生活‥‥、うらやましいなぁ。







































■ レインブーツ
エルメスのゴム引きのレインブーツっていうのが売りだされたコトがあってネ。買ったは、買った。だって滅多に手に入らないっていうんですもの。でもそれを履いてみたらばちょっと長いの。長いっていうか、ボクの膝から下がちょっとだけ短かっただけなんだけど(笑)。しかもふくらはぎが太いから、こすれて痛いの‥‥。それからしばらく、雨が降ると憂鬱だった。履かなきゃいいってだけなんだけど、それじゃぁ、負けたみたいな気がしてだからしばらく雨のお出かけが嫌いだったの、若気の至り。

■ 男の買い物の、妻への言い訳
誰にも相談しないで買い物をする。オンナは得意でオトコは苦手。それを買った理由を聞かれたときの言い訳を考えはじめると、自分で決めるコトがどんどん怖くなり誰かに決めてもらわなくちゃいけなくなっちゃう。うーん、哀しい。オンナの人は言い訳上手。だって究極の言い訳フレーズを知っているから。「だって、あなたのために買ったんだもの」。オトコの人もどんどん言えばいいのよね‥‥、だって、お前のためなんだから。キューッとするわ‥‥、愛を試す一言だもの。
































■ トゥモローランド
「おしゃれな街着」がたんと揃っているお店。気取りがなくって着心地よさげで、最先端なモードがほどよく薄まっている。だから着やすい。今ってこんなモードが流行ってるのね‥‥、って売り場に来ると勉強できたりするのもステキ。そういえば、ディズニーランドにあるトゥモローランド。長い間、行ってないわぁ‥‥、おデブなときに最大積載量オーバーでスペースマウンテンを止めたコトがあったのよ。詳しい話は、いつかまたぁ。

■ポール・スミス
ヨーロッパ大陸の人に比べて、ずんぐりむっくりしている英国の人たちの、体にピッタリ。うつくしくみせてくれる服を作ってくれるメゾン。だから一時期、着ていたコトがあるんだけれど、あと5センチだけ。足が長けりゃよかったのに‥‥、って断念しました。
時計とか革小物。そうそう、丈夫でポップでモダンな旅行かばんのラインが実はかなりの優れもの。リモアに飽きたらコレかもね‥‥、って思えるステキでござります。

■ディフィージョン・ライン
ディフィージョンラインを、高級ブランドの廉価版‥‥、って考えて不用意に手を出すと、手痛い目にあうと思うの。カジュアルにできているモノもある。けれど、よりデザイナーの個性が発揮されてるモノもかなり多くて、着こなすのが難しかったりするコトがある。デザイナーの遊び心に付き合う余裕や元気がないと、負けちゃうことがあると思うの。数あるディフュージョンラインの中で、個人的に好きなのはマーク・バイ・マークジェイコブス。それからエンポリオ・アルマーニかなぁ‥‥。エンポリオはジョルジオより好きかもしれない、最近、買っていないけど‥‥。

■W浅野
浅野内匠頭を演じる浅野忠信‥‥、じゃないのよね(笑)。浅野ゆう子に浅野温子。トレンディードラマの女王たちって言われてらっしゃった。自分に素直に前向きに、時代の流れを追い風にしてたのしく生きていけばいいのよ‥‥、って、今の女子的ムードを産んだ人じゃないかといまだに思う。当時、1980年台後半のお二人の出るドラマを見ると、ちょっと酸っぱく恥ずかしく、こんな時代にボクも生きていたんだなぁ‥‥、って懐かしかったりいたします。

■フォーマルウェア
アメリカの大学にいた頃、みんな汚い格好してるの。毎日おんなじジーンズにTシャツ、ヨレヨレジャケットで、なのにパーティーってなると一転。タキシードとかモーニングを着てくるのよね。ココぞというときのフォーマルウェアを持ってれば、普段はどんな格好しててもいいじゃない‥‥、って、それが彼らのオシャレの気持ち。なるほどねぇって思っていたけれど、タキシードなんてまだ持ってない。どうしようか? って悩んでいたら、最高のフォーマルウェアは民族衣装。和服を着ればいいじゃないか‥‥、と。それで送ってもらった紋付袴。誰より立派に見えました。

■オーダーメイド
order made‥‥、日本でしか通じぬ英語。「言うとおりに作ればいいんだ」ってニュアンスがどうにも嫌い。テーラーメイドよね‥‥、正しく。仕立て屋さんに作ってもらう。機械が作るのじゃないんだよ‥‥、ってコトね。まず仕立て屋さんに自分の体を知ってもらうことからはじまる。右肩が下がってらっしゃいますが、カバンを右肩におかけになったりされますか? って、生活習慣までひと目でわかるプロの仕立て人の作る服が快適でないはずがない。よいものを作ってもらったり売ってもらったりするために、必要なのは自分のコトを知ってもらうことなんだって、スーツを一着オーダーすると分かったりするの、お勉強よ。

■ セレクトショップ
ものすごくお金を持っているとするじゃない。そんなあなたが、「ここにあるモノを、全部頂戴!」って言って後悔しない。それがセレクトショップってモノじゃないかと思うのネ。何一つ、仲間はずれになるものがなく、そこに置かれているものがすべて仲良さそうに佇んでいる。セレクトショップの最高クラスが、エルメスだってボクは思うの。
いつかエルメスだけで事足りる、ココロと財布の余裕がほしいもの‥‥。最大規模のセレクトショップが多分、伊勢丹だと思う。

■男のラグジュアリーブランド
銀座であって、青山でない。ロンドンであって、パリじゃない。ドイツであってイタリアではない、一度買ったら一生モノのモノがオトコのラグジュアリー。オンナのためのラグジュアリーはすぐに時代遅れになっちゃうのにね。

■ジェームス・ボンド
あれほど沢山、人を殺しておきながら、見る人を殺伐とした気持ちにさせないのはそこに正義があるからじゃない。そこにエレガンスがあるからだと思うのね。仕立ての良いスーツを着こなした、本物を知った人のおこなう様々なコトをみるにつけ、優美と残酷は表裏一体。うつくしいって罪なことよねぇ‥‥、って思っていつもショーン・コネリーを見ながら思った。ランボーなんかはタダの殺し屋、乱暴者。

■ピアーズ・ブロスナン
裕福な実業家。腕時計を1個買うのも、会社を1個買うのも同じように悩み、たのしむおちゃめな富豪。そんなムードが一番似合う俳優じゃないか‥‥、って思うのね。彼が主演の「トーマス・クラウン・アフェアー」なんて、優雅の極致。マーズ・アタックのお馬鹿演技は忘れましょ!(笑)

■実業家と伊達男
経営者ってお金を借りるのが上手な人で、実業家ってお金を借りなくても足りている人。そんな違いを感じるわよね。オシャレのことなんか考える暇もないほど一所懸命働かなくちゃいけない人が経営者。オシャレをたのしむように仕事をたのしむ余裕があるのが実業家。そうだとしたら、日本って国には実業家っていないのかもネ‥‥、ちょっとかなしい。実業家のプライベートが伊達男。そうだとしたら、ステキかも。

■ミラネーゼ
街のうつくしさはパリの方が上。料理のおいしさはナポリやフィレンツェがずっと上。住むのだったらロンドンだなぁ‥‥、とかもっとステキな街はヨーロッパにたくさんある。
けれど、そこに住んでいる人がオシャレでみんなキレイな街といえばミラノ以外に思い浮かばない。オトコもオンナもみんなオシャレで、こんな街に生まれて育っていたらば絶対、ボクももっとステキなおじさんになれたかも‥‥、ってちょっと悔しい、ジャポネーゼ。

■浅草の男、大阪のおじちゃん
浅草の男はお芋の煮っころがしが上手だった。大阪のおじちゃんは、串かつを揚げるのがプロはだし。どちらも人懐っこく派手好みで、社交的なんだけどさみしがりやさん。日本の中にあって、どちらの街もどこか不思議とイタリアっぽい。でもイタリア服が似合うかっていうと、それが残念、背中がクルンと丸まってるの。服のオシャレは背中と肩でするものなのに‥‥。

■うんと上等なものを着るというシチュエーション
とても大切だけと、とても大変そうなレセプションがあったの。お客様を500人ほどお呼びして、お辞儀をして握手をして、ご挨拶してお辞儀して、それでずっと立っていて、ご挨拶してお辞儀して握手をするの。5時間ほど。ずっと笑顔でいられた理由は、うんと上等なスーツを着てたから。どうせ、座るとシワになるからずっと立ってるしかないんだよね‥‥、って思うと気持ちがちょっと楽になった。姿勢を正しくしていると心地よくって、ちょっとでも楽にしようとすると体のどこかに違和感感じるように、できているのが上等な服。そしたらそのあと、立ってるコトがたのしくなってあっという間の5時間だった。ココロの相棒なのかもしれないってそのとき思った、助かった。

■フェラガモ
田舎の凸凹道を歩くのには、まるで適していない街の靴。けれどコンクリートとかアスファルトとかのスベスベ道路は滑ってこれまた歩きづらい。適度に引っかかりがあって、足が緊張する道路。フィレンツェの石畳の道を、そぞろ歩きするのにピッタリ。日本に適した道路が少なく、靴の出番は少なくなった。でもネクタイやバッグもステキ‥‥、売り場にいくと気持ちが明るくなるのもステキよね。

■ビジネスマンとサラリーマン
ビジネスをしている人がビジネスマン。サラリーをもらっている人がサラリーマン。主体性を持って働いているか、受動的に働かされているかで境界線がひかれるのよね。小さな違いが大きな違い。




ふだん縁のないフロアだったけど、
路面店じゃ入れないし、
こういう見学はデパートならではでした。
さて次回は、ハイファッションなフロアに突撃!
2012-07-27-FRI