ジョージ ネクタイ、、傘‥‥。
いますぐ必要じゃないものが
並んでいるわね。

── ん? 必要なものだと思うんですが。

ジョージ だってわざわざここで買う必要ある?
いくらでも代用がきくのよ。
けれどもここじゃないと手に入らない、
そういうものがあるから魅力なの。
傘なんて、ごらんなさい。
雨が降ったら使いたくない素敵さよ!

── これを使える紳士になりたいですね。

ジョージ あーこのステッキすごく良い感じ!
これで、ぼくのダーリンを
誘惑しようとする男を殴るの。
「パーン! パーン! パーン!」って
おしおきみたいにっ!
‥‥絶対、100円傘で殴りたくないっ。



── 内田裕也さんが持ってるみたいな
どくろ付きの杖もありますよ。

ジョージ 何か不祥事を起こして
あやまりたくなったときはこれを買うわ。
これを刀のように目の前に置いて土下座するのよ!





── 不祥事はおやめくださいね。
でもたしかに、革小物とは、
ちょっと違うテンションになるコーナーですよね。



ジョージ こっちには夏のお帽子がたくさん!
夏にボルサリーノ(Borsalino)
ステキよね。形がすごくきれい。
ボルサリーノだけは形がすぐわかるね。
ボクはこれに合うシルクのベストをもってるから、
その季節にかぶると合うんだろうな!
あら、リボンがネクタイでできてる!
これ面白ーい。

彼がいつもつけているネクタイに合わせて
このボルサリーノを買ってあげるなんてどう?
少々、お値段高うございますけど、
男性が女性にプレゼントをする額からすると
そんなに高くはないわよ?
これを買ってあげれば、
エルメスは無理かもしれないけど
グッチ、エトロ
セリーヌあたりもいけるかもよ?
三倍返しが期待できるわよっ。



伊勢丹の人 わかってくださる男性だと
プレゼントする女性としても
うれしゅうございますね。

ジョージ 分かってくれなかったら即刻お別れよっ!
あら? ここのニットのコーナー、素敵。



── ジョン・スメドレー(JOHN SMEDLEY)
ありますね。

ジョージ もともと肌着屋さんだから、
ジョン・スメドレーの肌着って
すっごいいいの!
でも、人前で脱げない肌着が多いのよ。
テローンとした。
下手すると植木等になっちゃうの。

── ダボシャツにステテコみたいな?

ジョージ 身体のどこもしめないの。
しめない、だけど、
身体にずっと寄り添っていてくれるのよ。
しめつけないけど、ずっといる!
理想の恋人かもよ。
うーん、この売り場はあらためてみるとステキ。

ね、伊勢丹に、例えば、
有名なお客さまがいらっしゃったとき、
何か特別な対応ってされるんですか?

伊勢丹 他のお客さまと同じように対応します。

ジョージ あら、素敵!
自分の好きな「うわーっ!」という人でも?

伊勢丹 はい、仕事モードで対応いたします。

ジョージ ジュード・ロウでも?

伊勢丹 ふふふ、はい、そうですね。
しっかりと。
皆様プライベートで
いらっしゃいますので。

ジョージ ボクだったら私はあなたを知りません風で
横にぴったりくっついて
「いらっしゃいませーっ」なんてね。
そうよ、ジュード・ロウは、すごいのよ。
ちょっとくらいヘンテコリンな服でも着こなすわ。
ボクだったら場外馬券場に見えちゃう服もOKよ!
ジョージ・クルーニーは‥‥全部は似合わない。
でも、ブリオーニ(Brioni)
ジャケットは似合うだろうな。
しかも、Tシャツにあわせちゃって!
そうやって考えたら、
ものすごいお金持ちも普通のひとも
等しく同じようにいられるのね。
ステキ!



── 担当の方がついて
売り場を縦断して
買い物をしているお客さまを
見たことがありますよ。

伊勢丹の人 ストアアテンドサービスと申しまして、
全館でのお買い物のお手伝いをする担当があります。
WEBやお電話でご予約をしていただければ。
たとえば結婚式に出られるとき
服や雑貨、靴などをトータルで
揃えたい方であるとか、
ギフトであるとか、
時間が限られている方など様々に、
御利用いただいています。
事前にご要望をうかがうことで、
いくつか商品をご提案できるよう準備して、
お待ちしておりますよ。

── そんなサービスがあったんですね!

ジョージ そういえば伊勢丹さんは
売り場同士で連絡をとりあってくれるのよね。
タキシードを作ったとき、
礼服のフロアに行って、上下を
パターンオーダー的にあつらえてもらって、
そこからシャツの売り場の
だれそれさんに連絡をしてもらって、
シャツとカマーベルトを買って、
服飾小物、蝶ネクタイ、オペラパンプス、
売り場縦断で面倒を見ていただいたの。

── さて、どの階に行きましょうか?



ジョージ いちばん上まで行きましょう!
このエレベータは注意よ。鏡があるから。
たまに気合いを入れないでここにくると、
自分が映ってギョッとするの。
すごい格好してる! って。

── 近所のスーパーみたいに?

ジョージ そう。サンダル気分で!

伊勢丹 夏は半ズボンで来られるかたも多いですよ。
ぜひそのままどうぞ。
 








■ 杖
今のダーリンとネ、花園神社で永久の愛を誓ったときに、「どんなに歳をとっても、互いに互いの杖になっていたわり合って生きて行きましょうネ」って言って手をギュッとにぎりしめたの。だから一生、杖はいらない。そう思ったんだけど‥‥。伊勢丹に来て気持ちが揺らいだ(笑)。














































































■ そしてボルサリーノ
ご婦人の帽子はかぶるためにある。アスコット競馬場でも晩餐会でも、あるいはウィリアム王子の結婚式で世界中の人の目を釘付けにした素っ頓狂な帽子もすべて、かぶられつづけるためにあるファッションの一部なのね。でも、オトコの帽子は脱ぐためにあるの。ご婦人がいらっしゃったときに敬意を表するために脱ぐ。日除けでもない、薄くなった頭を隠すためでもない、脱いでなおもうつくしい帽子は唯一、ボルサリーノの帽子なのよね‥‥、ボクもいくつか持っている。

■ エトロ
ペイズリー柄ってずっと野暮ったいって思っていたのネ。何、あのゾウリムシみたいなパターンってね。でも、エトロに出会ったとき、なんて上品でうつくしい‥‥、って惚れちゃった。邪魔にならない。いろんなモノに溶けこんで、けれどしっかり自分を主張しているのよね。饒舌なんだけど、心地良い声でだからうるさくない。二丁目のバーとは違ったほがらか性にちょっとコレクションしたことがある。ルームシューズやブランケットは上等な旅にも重宝するの‥‥。

■ セリーヌ
セリーヌって、どことなくお姫様ブランドって感じがするの。なのにステキなバッグな小物が揃ってて、それを自由に選べる女性がうらやましくなる。ルイ・ヴィトンとかグッチとかってメンズ・レディースどちらも充実しているのとは違って思える。だから、セリーヌのバッグなんかをさり気なく、買ってあげられる殿方ってステキかなぁ‥‥、って思ったりする。

■ 三倍返し
二丁目的なプレゼントマナーってどうよ‥‥、って考えてみた。男女の役割がない街だから‥‥。多分、プレゼントされたモノよりちょっとだけ、高いものをお返しするっていうのがマナー。だって何かをプレゼントしてあげよう‥‥、って思って準備をするのって手間もかかるしエネルギーも使うんだもの。その分、多めに返してあげよう。つまり愛する同士にとってのプレゼントって先手必勝。そう考えると、日本のオトコはプレゼント下手。先にどんどんプレゼントするクセをつければ三倍返しなんてルールなんておさらば、バイバイってことになるのに‥‥、カワイソウ。

■ ジョン・スメドレー
見せるためでない、着るための下着。着ていることを忘れてしまう、下着があるんだ‥‥、って初めてココのアンダーウェアーをきたとき思った。これで二丁目には行きたくないなぁ‥‥。「誰かのための自分」用じゃない。「自分のための自分にもどる」ために着るのがジョン・スメドレー。ここのカーディガンやセーターもそう‥‥、だから好き。

■ ジュード・ロウ
ボクがなろうと思ってもなれない人。ああなっちゃったら、多分、ご婦人方にもてもて人生を送れるんだろうけど、ボクが好きな人からもてなくなっちゃいそうで。だから、ステキな人と思うけれどもなろうと思わぬ別の国の人。でも‥‥。何を着ても似合うんだろうなぁ‥‥。ジェントルメンブランドとしてかたくなだったダンヒルだって、今はジュード・ロウをイコンにしている。21世紀のアラン・ドロンなのかもしれない‥‥、どうかしら。



■ ジョージ・クルーニー
色っぽいのよ‥‥。それも下品な色気じゃなくて、とても上等な薫り立つ高貴な色気。何を着ても着崩れ感がただよっていて、着ているよりも脱いでるところをイマジンしちゃう。21世紀のグレゴリー・ペックじゃないかと思ったりする‥‥、どうかしら。ちなみに、ボクのジョージは、彼からもらった。ジョージ・マイケルでもなく、ボーイ・ジョージでもなく、彼から許可を得た訳じゃないから、もらったっていうより、ぶん取った! って感じかしらね。

■ ブリオーニ
ピシッとしてるの‥‥。関西的にいうと「シュッとしてる」って言うのかしら。カシミアやシルクみたいなトロンとなめらかな生地を使いながら、キリッと仕立てる。でもそれを、几帳面に着るのは野暮。プーチンだとかサルコジだとかな感じになっちゃう。上等なモノを着崩してこそ粋。だからジョージ・クルーニー。





























■ タキシード
立食パーティーにタキシードでいって、配膳のボーイさんに間違われなくならない限り、着てはならない大人の装束。肩、胸、背中の男らしさを強調できれば、おおいに結構。似合いすぎてマフィアの正装のようになったら、反省しましょう。笑顔を忘れている証拠だから。




































■ サンダルと半ズボン
サンダルをミュール。半ズボンをショーツと訳せば立派なオシャレ。ゴム草履+バミューダパンツのように見えたら、近所のスーパーに行き先変更いたしましょう。ところでそうそう。ボタンダウンの白いシャツにレジメンタルのネクタイをしめ、グルカショーツにトップサイダーのデッキシューズでヨットの上でシャンパンを抜く、熟年紳士の集団にボストンの夏に会ったことがありました。あぁ、本当に豊かなんだ‥‥、ってちょっとジェラシー。憧れた。




次回はメンズ館の最上階、8階に行きます。
ここがまた面白かったんです!
2012-07-20-FRI