言いまつがいとか、聞きまつがいのたぐいの話で恐縮です。
夏の帰省の際、義父が運転していた車での移動中
なにかのきっかけで、
子供がイタズラをしそうな場所に鬼の絵を描いて置いている
という話になりました。

車中で声が通りにくいということもあったのですが、
子供が近づく場所にウニを置いているのか？
余計に危なくないか？　と義父が鬼とウニを聞き間違って
心配するも、そのことにこちらも気がつかず
鬼の絵を置くと子供が怖がるので
近寄らなくなるんですと返答するとしばしの沈黙、
そして車は赤信号。
信号が青になり、車も義父もゆっくり走り出し
東北旅行中食べたウニは殻から食べてとても美味しかった、
ウニは殻から食べるに限ると徐々にスピードアップ。
そこでようやく鬼とウニを聞き違えていることに気がつき、
ここで修正するのも一方通行行き止まり
もはや後戻りはできないと判断し、
ウニの話にシフトチェンジ。
自分のウニ知識をフルスロットル全開で
違和感のあるコーナーを攻め込み、なんとか切り抜け、
安全運転法定速度で大成功。

義理の父親と義理の息子という関係上お互い気を使い合い、
おかしいと思いつつも訂正できなかっただけの
よくあるありふれたお話ですが、そのやりとりを何も言わず
後ろの席で聞いていた妻の心の内を想像しつつ
移りゆく車窓を眺めながら、脳内に柔らかな空気が流れる
しみじみ心地のよい家族の時間となりました。

一見トゲのような沈黙する時間の中に
義父の優しさが美味しいウニのようにつまっていた。
（上手にまとめたつもりです）