HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

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生活金魚
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最近のこと02
文:福田利之

ずいぶん前のことですが6月のある日、
本郷の金魚坂を散歩中に見つけた
大きな琺瑯の古い鉢に一目惚れして、
衝動的に鉢と金魚を買って帰りました。
子どもの風呂桶になるぐらいのかなり大きな鉢でしたが、
お気に入りの鉢を手にいれ、
金魚を飼うことに興奮していたのか、
電車でどうやって持って帰ったか記憶があまりなく、
周りの方にはただただ迷惑な状況だったと
今書きながらなつかしく思い出しております。
「でかい鉢がほしい」からの流れではありましたが、
小さくてもお世話をしないと
死んでしまう存在ができるということは、
当時一人暮らしだった生活に
随分張りができていいものでした。

しばらくして大きな地震がやってきます。
そのときたまたま「ほぼ日」で打ち合わせ中で、
ほとんどの電車が止まっていたため、
しばらく会社で待機させてもらうことに。

刻一刻と変わる世の中のつらい状況を
目の当たりにしながら、
少し不謹慎なのかもしれないと思いつつ、
オープンな鉢に水を張って
水草と空気ブクブク装置が入っているだけの
我が家の金魚が外に放り出され息絶えていないかと
想像すると気が気ではありませんでした。

歩いて帰ることも考えつつようやく夜になって
井の頭線が動き帰宅すると、
床は水浸しでしたが幸い生存できる程度に
鉢に水は残っており、
水面をピチャピチャ跳ねる金魚を見たとき、
緊張感のある先行き不安な状況の中で、
ものすごくホッとして一息つけたことを覚えています。

そんな小さな金魚が主役の絵本を6月に出版します。
今回の絵本は作詞家、
小説家の高橋久美子さんのオリジナルのお話で、
まったく僕の金魚話とは関係ありませんが、
同じくシンプルな小さな命のお話だったので、
いろいろ思い出しながら絵を描かせていただきました。
読後の心に金魚の残像が残るような、
金魚嫌いには最悪の絵本に仕上がっておりますが、
そういわずに読んでみてください。

もうすぐ全国各地で開催する絵本の原画展もあります。
本郷生まれの金魚は病気で亡くなり、
大きな鉢も引越しの時に
あっさり手放してしまいましたが、
今度は絵本の中の金魚を育てるつもりで、
死なないように(絶版にならないように)
各地を一緒に旅するのが今から楽しみです。
「私と金魚とでかい鉢」のエピソードからの
告知行為をお許しください。

2017-05-25-THU

福田利之のおしらせ

絵本『赤い金魚と 赤いとうがらし』刊行記念
福田利之 原画展

2017年6月10日(土)~6月25日(日)
13:00~19:00 月曜休
(会期中6/5、6/12、6/19は休)
会場:パールブックショップ&ギャラリー
〒151-0066 東京都渋谷区西原2-26-5
(パドラーズコーヒー横)
*パールブックショップ&ギャラリーの
facebookはこちら

〈福田利之&高橋久美子 トークセッション〉

原画展の会期中、6/11に、
著者ふたりによるトークイベントを開催します。
本作の制作に関するお話はもちろん、
作者・高橋久美子さんによる朗読も予定しています。

日時:2017年6月11日(日)
13:30開場 14:00開演(15:30終了予定)
料金:1000円(1ドリンク付き)

*当日、パールブックショップ&ギャラリーに
ご来場いただけましたら、
会場をご案内いたします。

★ご予約方法:メールで受付します。
millebooks@outlook.jp(ミルブックス) 
*件名を《6/11予約》、
本文に《お名前、予約人数、連絡先電話番号》を
ご記入の上、送信ください。
*メールから4日経っても予約完了の返信がない場合は
お手数ですが、電話03-3311-3503
(ミルブックス)までご連絡ください。

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