忘れないうちに書いておかなくっちゃ。 ほぼ日リニューアル物語

第7回 社内プレゼンから意外な展開へ
苦労のすえにたどりついた
新しい「ほぼ日」のトップページ。
そのラフデザインを、
社内にお披露目する日が
いよいよやってきました!

ときに2007年3月7日、
大会議室に集まった全員のスタッフ。
特等席にはもちろん糸井重里。

ベイちゃんがプロジェクターのスイッチを入れます。
リニューアルチームのリーダー的存在、
永田がプレゼンテーターをつとめます。

「え〜〜〜、長らく取り組んできた
 新しい『ほぼ日』のデザインですが‥‥
 まぁ、ともかく、ご覧ください」

方々から「ちゃんとしゃべれ」の
ツッコミが入るなか、
いよいよそのデザインが
壁に映し出されます!




機能や動きなど、
ひととおりの説明が終わり、
糸井重里がこう言います。

「これでいいでしょう。
 これ以外に、なにがあるのだ」

「わーい! やったぁ〜!!!」

心の底からホッとするリニューアルチーム。
思わず全員でハイタッチ‥‥
しようと思ったらその前に。
糸井がとんでもない提案を
いともあっさりとつけ足したのです。

「じゃあさぁ、これ、
 1日だけ、見せちゃおうよ」

「ええええええーーーーー!!」

えっとですね、イトイさん、
今回お見せしたのは、
あくまでもラフデザインでして、
まだまだ決まってないことも、
実際に機能するかどうかわからないことも、
システム的に準備が必要なことも、
多々ありまして・・・・。
と、まあ、チームのメンバーは
ひっくりかえるぐらいびっくりしたんですが
そのときの心境を永田に語ってもらいましょうか。

あれは、まいったー。
糸井重里の発想にはたびたび驚かされますが、
本当に、予想だにしてなかったことでした。
なにか、ものをつくっているときって、
それが苦労したものであればあるほど、
つくってる側は、完全につくりあげて、
『じゃじゃーん! どうです!』って
大げさにお披露目したくなっちゃうんです。
だから、このときも、チーム全員が
『6月6日に、これをお披露目だ!』
っていうことしか頭になかったんですね。
それを『1回見せちゃおう』だなんて。
しかも、その場であっさりと。
まあ、いまにして思えば、正式リニューアルのまえに
テスト期間を設けるのは当然だし、
実際、それをやってものすごく助かったんですけど、
あのときは完全にそこまで頭が回ってなかった。
だから、もう、全員でひっくり返りました。
板尾のヨメ風に言うと、
『ソノ発想ハ、ナカッタワ』という感じです。

というわけで、チームはそれから大あわて。
「1日テスト」の日に向けて細かい調整と
「デザイン」以外のホームを構成する要素、
「ルール」と「システム」の準備が
まさに急ピッチで進められます。

そして、3月29日。
記憶に新しい方もいらっしゃるかと思いますが、
糸井重里の提案により、
新しいデザインの「ほぼ日」が
1日だけテストで登場することになったのです。



いまだから、言えるんですけど、
その日は、ほんっとうに緊張する一日でした。

「新しいデザイン見やすい!
 下にぐーっとスクロールしなくても
 一目瞭然で、いい!」

このようなメールがたくさん届くいっぽうで
テストをしてみてはじめてわかったことも。
たとえば、「今日のダーリン」が
ロールカーテンのように降りてくる仕様は
プログラムを仕込んであるのですが
ブラウザによっては、
「今日のダーリン」が降りてこない、とか、
横幅は800ピクセルを超えると
横スクロールが必要になり、
面倒だと感じる人が多い、などなど‥‥。

社内のテストだけでは、
気がつかなかったであろうことを
みなさんからのメールで
たくさん教えていただいたんです。

しかも、届くメールのほとんどは、
たとえそれがマイナス点の指摘であろうとも
「クレーム」や「苦情」といったニュアンスではなく、
「リニューアルに役立つなら意見しますよ」という
暖かい文面のものばかりでした。

このときの印象を、
ページ作成の実作業に携わった3人に聞いてみましょう。

テストの日は、
メールを送ってもらえるのは嬉しい!
でも見たくない!という、
全く落ち着かない感じでした。

あるメールでは「よし!」と思い、
あるメールで「あ〜、、。」と思う。

喜怒哀楽をグラフにすると、
きっとものすごい日でしたね。

「見やすい」をそのままに、
「見にくい」をどうするか。
たくさんのメールが、この問題への
真剣具合を底上げしてくれたように思います。
感謝!!

テストページへの意見が続々と届くので、
本当に一日中メールを読んでいました。

このようなテストに対してメールを出すときは
ネガティブなことのほうが言いやすいと思うのですが、
以前よりもよくなった!というメールも
たくさんいただけて
この方向性でよかったと、
気持ちが前向きになったのを覚えています。

いまテストページを見ると、
正直なところ、イケてないなぁと思います。
みなさんが意見をくださって
横幅や文字の大きさなどの微調整を重ねた結果、
いまの姿になったわけで、
意見をくださった方々に
あらためて感謝したいです。

入社してから、まだそんなに
時間の経ってないころだったので
とにかく送られてくる
メールの数にびっくりしました。
しかも、みなさんちゃんと
チェックしてくれているんですよね。
なかには「痛いとこつかれたなぁ」
という鋭い指摘もあったり。
これだけ多くの人が、見てくれているんだなあと
ふんどしを締め直しましたよ。
実際に、ふんどしは締めてませんけどね。

というわけで、大きな意義を感じつつ、
新しいページのテストは終わったのでした。

じつはこのテスト、当初は1回だけの予定でした。
でも、ページの仕様を最終決定する際に
読者のみなさんの声がほんとうに役に立ちまして
5月10日に2回目のテストを実施することにしたのです。

トップページのデザインに関するメールは
この2回のテストで、じつに約1000件を超え
チームのメンバーはもちろんのこと、
糸井重里も、他の乗組員も、
食い入るようにメールを読み込んだのでした。
ほんとうにほんとうに
たくさんのメールをありがとうございました。

そして、ついに、2007年6月6日、
新しいデザインの
「ほぼ日刊イトイ新聞」がスタートする日が
やってきます。

(つづく)



2007-09-25-TUE