GO!なひと/vol.02 ミロコマチコさん GO!なひと/vol.02 ミロコマチコさん
「GO!なひと」は、さまざまな地域に
通い続けている人や、
移住した先で活動している人を訪ね、
その土地とのかかわりや、日々の生活について
インタビューする新シリーズです。

第2回は奄美大島で暮らす
ミロコマチコさんにお話をうかがいました。
大阪で育ち、東京生活を経て、
たどりついた奄美での暮らしは、
「島から出たくない」と思うほど
日々が充実しているのだそう。

そんなミロコさんは、ただいま開催中の
第一回 前橋国際芸術祭 2026に参加されており、
作品を展示されている白井屋ホテルさんで
お会いしました。

聞き手はほぼ日のやすなです。
ほぼ日GO!とは、
ほぼ日が、日本全国の地域の方々と
幅広くて自由なコンテンツを作り、
更新していく場所です。



文・藤田亜紗美
第5回 自分の町を誇りに思えるような場所に
──
「舟こぎ競争」のお話がありましたけど、
お祭りに参加することで、
地域の皆さんと集まる機会も
たくさんありますよね。
そういう場所で、島の未来についても
お話をされているんですか?
ミロコ
そうですね。
「子どもたちが帰ってきたいと思うところにしたいね」
「こうなってほしくないよね」
という話はよくしています。
でももちろん、
「子孫も親戚も土地がいらないんだったら、
生きているうちに整理しなきゃ」
と考えることも当然です。
どうすればいいのか、答えはまだ出ないんですけど、
「穏やかな暮らしが続いてほしい」という気持ちは
多くの人に共通していることだと思います。
写真
──
ミロコさんや皆さんが積み重ねていることが、
違う地域での学びにもなりそうですね。
ミロコ
やっぱり自分の住む町を
誇りに思えるような場所にしていきたい。
昔から住む人たちは、自然が豊かなことが
当たり前だと思っているけど、
あっという間に変わっちゃうことも
いっぱいあると思うんです。
特にいかにこの自然が大事か、
ということをみんなで知りたいなと思って、
身近な植物の観察会を開催したりしています。
本当に亀の歩みなんですけど、一歩ずつ。
──
ミロコさんも率先して動かれていて。
ミロコ
昔はこんな生きものがいたのに
いなくなったとか、
海はサンゴがいっぱいだったのに
なくなったとか、そんな話をたくさん聞くから、
「なんでいなくなったのかな」とか、
「どうやったら戻ってくるかな」とか、
「ここに大きな建物ができたら、
もしかしたら渡り鳥が来なくなるかもしれない」とか、
そういうふうに想像して、伝え合っていくことで、
小さな自分たちの暮らしを守ることが、
町を守ることになっていったらいいなと思うし、
それが今、私にできることかなと思ってます。
写真
──
Webサイトを拝見して、
本当にいろんなお仕事をやられていて、
その量の多さにも驚いたんですけども、
「伝えたい」みたいなエネルギーって、
島に行かれてから生まれたものなのか、
それとも、もともとミロコさんが
持っているものなんでしょうか?
ミロコ
いやあ、仕事もそんなに
たくさんはないですよ(笑)。
わりとのんびりしてます。
すぐ楽しい方に走っていっちゃうし。
でも、仕事の意味が変わってきたかもしれない。
自分のために描いていたし、
今ももちろん自分のために描くんですけど、
「私にできることで恩返ししたい」
という気持ちも大きくなってきたから、
集落の法被づくりとか、
そういうことに興味がわいてきて、
「あ、なんかはじめての気持ち!」って。
──
とってもすてきです。
ミロコ
今までは、グッズをつくることとか
そんなに興味がなかったんですけど、
身につけるものとか、日々の暮らしの中に、
絵があるのはいいなと思えたんです。
「絵は高価で買えないけど、
あなたの絵のTシャツがあったらうれしいわ」
って身近にいるみんなが喜んでくれる、
ということが大きな喜びになりました。
なので、どんどん、
「生活の中に絵がある」みたいなことを
やりたいなと思っています。
写真
──
大切にしたいことが
身近に増えていっているような
感じなんですね。
ミロコ
はい。地域のコミュニティがあることで、
つくったものが人に届いていることを
実感しやすくなった気がします。
以前は、大きなお店とかに
私のグッズが置いてあっても、
誰が買ってくれているかまでは見えなかったので。
展覧会に来てくれるお客さんが、
「あなたの絵のバッグ、持ってるんです」
「わあ、ありがとうございます」
みたいなやりとりはあったんですけどね。
今はもっと身近で、
島には、特に私の住んでる地域には
お店があんまりないので、
うちにみんな買いに来るんですよ(笑)。
──
家に?
ミロコ
「ちょっと今から友達に会うから、
あなたのハンカチをプレゼントしたいわ」
って買いに来てくれたり。
買ってくれる人も、贈られる人も
知っているからすごくうれしいし、
またつくりたくなる、みたいな気持ちですね。
写真
──
「のんびりしている」とおっしゃった、
そういう暮らしの中に、
しっかりと生み出されるものがあることが、
今のお話で想像できた気がします。
ミロコ
そうですね。臨機応変にやれることが大事です。
この島では、計画的には何も進まないんですよ。
人もそうやって突然来るし、
「ちょっとこれ手伝って」みたいなことも多いし。
「忙しいのんびり」というか。
──
ああ。
ミロコ
同じ忙しさでも、都会にいたときの、
「今すぐ返事ください」とか、
「絵が描けたらバイク便飛ばすんで!」とか、
そんなふうに息つく暇がなかった感じとは違って、
急に飛び込んでくる
「生活」のことを中心にしながら、
その隙間で絵を描いている、
みたいな感じで、
「ちょっと来て」って呼ばれたら行けちゃう
「のんびり」があります(笑)。
「仕事中だから無理です」とはならないし、
「今できることは、今しかない」
と思っちゃって、生活のほうが優先される。
──
すごく豊かだなっていう感じがします。
ミロコ
そう思います。
写真
▲飼っているヤギのムムとモモ
──
最初に「島の方たちは忙しい」と
おっしゃいましたけど、
ミロコさんも、まさにそのリズムで
過ごされているんですね。
最後におうかがいしたいんですけど、
この次に楽しみな島の行事はありますか?
ミロコ
秋のお祭りですね。
「種下ろし」といって、
お米の収穫をお祝いして、
来年の豊作を祈願するお祭りなんですけど、
実際は、うちの地域では
現在では稲作がほぼ行われていません。
私はその歌と踊りが大好きで、
ひとりではできないことなので、
みんなで覚えていく必要があるんですけど、
若い人たちには、その楽しさが
なかなか伝わらなくて、むずかしいんですね。
それはなんでかな、と思ったら、
やっぱり「田んぼ」を
やってないからじゃないか、と思って。
──
なるほど。
ミロコ
それで、2年くらい前から私も、
田んぼをまだやっている他の地域に
お手伝いに行って、ちょっとずつ覚えて、
来年の3月の種まきからは、
できれば自分の集落でやりたいんです。
いろんな行事があるんですけど、
稲作とつながっている行事が多いんですよ。
稲作はみんなでやる作業が多いし、
収穫できたら、
やっぱり「イェーッ!」ってなるし(笑)。
写真
──
そこは大事ですね(笑)。
ミロコ
「穫れたーっ! うれしい」って。
昔はもっと大変な作業だっただろうし、
収穫次第で生きていけるかどうかに
直結していたから、
労をねぎらう気持ちが大きかっただろうし、
そのときばかりは羽目を外して、
踊って歌って‥‥みたいな感じだったと思います。
なので、田んぼをはじめたら、
みんなも、もっと歌や踊りを
楽しむかなあと思ってます。
まぁ、それも亀の歩みなんですけど(笑)。
──
いいですね。
ミロコ
そのお祭りは、1軒ずつ全部の家を回って、
お庭で踊って歌って、飲んで、食べて、
「ここの豊作も願いました。
じゃあ、次のお家へ行こう」
というふうに、本来は三日三晩、
やるものだったんです。
でも、現代はそこまで回れないから(笑)、
「今年はこの8軒ね」って決めて、
踊って歌って、
「来年もいい年になりますように」
っていうのを夜中までやるんです。
それが10月の後半くらいにあるので、
それを楽しみに、今は準備中です。
──
みんなで歌って踊って‥‥をやりたくなる
環境をつくるということですね。
それも、島のもともとの流れに沿って。
ミロコ
そうなんですよ。いつになるやら(笑)。
──
今度はその続きを聞かせていただけたら
うれしいです。
今日はありがとうございました。
ミロコ
ありがとうございました。
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(おわります)
2026-11-08-SUN
「第一回 前橋国際芸術祭 2026」で、
ミロコマチコさんの
アートイルミネーション・
インスタレーション作品を展示中です。
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「空気に根をおろす」
芸術祭のテーマである「めぶく。」に合わせ、
白井屋ホテルの「グリーンタワー」全体に
ミロコマチコさんのつくる
色とりどりの「空想の種」が根をおろしています。
<展示期間>
2026年9月19日(土)~ 2027年1月12日(火)
<展示場所>
白井屋ホテル 屋外 
グリーンタワー

(住所:群馬県前橋市本町2-2-15)
<点灯時間>
毎日 17:00 ~ 23:00
※昼夜共にお楽しみいただけます。
期間限定企画として、白井屋ホテルの客室内に
ミロコマチコさんの作品が飾られた
「ミロコマチコルーム」が登場するほか、
限定コラボクッキー缶の販売も!
くわしくは白井屋ホテルさんの
Webサイトをご確認ください。