GO!なひと/vol.02 ミロコマチコさん GO!なひと/vol.02 ミロコマチコさん
「GO!なひと」は、さまざまな地域に
通い続けている人や、
移住した先で活動している人を訪ね、
その土地とのかかわりや、日々の生活について
インタビューする新シリーズです。

第2回は奄美大島で暮らす
ミロコマチコさんにお話をうかがいました。
大阪で育ち、東京生活を経て、
たどりついた奄美での暮らしは、
「島から出たくない」と思うほど
日々が充実しているのだそう。

そんなミロコさんは、ただいま開催中の
第一回 前橋国際芸術祭 2026に参加されており、
作品を展示されている白井屋ホテルさんで
お会いしました。

聞き手はほぼ日のやすなです。
ほぼ日GO!とは、
ほぼ日が、日本全国の地域の方々と
幅広くて自由なコンテンツを作り、
更新していく場所です。



文・藤田亜紗美
第4回 土地ごとの「生きる知恵」がおもしろい
写真
──
ミロコさんは釣りもされるんですよね?
ミロコ
釣りは‥‥したいんですけど、
他にやりたいことが多すぎて、
最近はなかなかできていないんです。
でも、お魚はよくもらいます。
シイラのようなでっかい魚をいただいたら
食べきれないので、それをさばいて、
みんなにおすそわけして‥‥と思ったら、
またすぐにいただいて(笑)。
小さな頃から釣ってる人たちの経験には、
ちょっとかじったくらいでは敵いません。
野菜も果物もみんな作ってるし、
「何か足りないものはないかな」って考えたら、
ハーブはスーパーにもあんまり売ってないので、
バジルやレモンバームなどをつくって
友達にあげたりしてますね。
──
ハーブ、いいですね。
ミロコ
初心者でも簡単に育てられますしね。
あとは、フルーツも、
ドラゴンフルーツとか、パッションフルーツとか、
グァバとか、東京時代はなじみがなかったものを
山のようにいただくから、
それをガブガブ食べる、みたいな(笑)。
いっぱいあると、いろんな方法で楽しまないと
飽きちゃうから、
「これはヨーグルトに入れよう」とか、
「これはトマトと和えてもおいしいかも」とか、
そういうことを考えるのがすごく楽しいです。
写真
──
本にも、とにかく常に
食べものの話が出てきて、
なんて楽しそうなんだろうと思いました。
ミロコ
食べものって、すごく大事だと思うんです。
今、集落の中で、ちょっとした
イベントを企画しているんですけど、
それには絶対食べものをつけたくて。
植物の観察会をするときも、
その後に必ず、豚汁とおにぎりを
みんなで食べる時間をつくっています。
──
他の地域のお仕事でも、
ジビエの缶をつくられたり、
クラフトジンのラベルをつくられたりとか、
食べることにつながるお仕事を
いろいろなさってますよね。
島での生活で
「食べること」の意味をより感じられたことで、
伝えたいこともあるのかなと。
ミロコ
うーん、あまり意識していなかったけど、
たしかに食べものの仕事が増えてきましたね。
自分からやりたいって考えたことは
なかったんですけど、
自然と声をかけてもらうことが多くて、
自分の絵の食べものができるって
とても嬉しいことに気づきました。
あと、お酒が好きなのはバレてる。
写真
──
(笑)。
ミロコ
お酒のお仕事のおかげで、
またさらに食べものを楽しめています。
「このジンや日本酒には、このごはんが合いますよ」
って教えてもらえるし、
お酒とか食べものって、
その地方特有のものがあるから、
土地のものをたくさん味わえる機会が増えて、
また体が喜ぶことが
自然と行われていますね。
──
平松洋子さんの著書
『肉とすっぽん 日本ソウルミート紀行』(文藝春秋)の
イラストも担当されてますよね。
とってもすてきで、
きっと、これはこういうことを
体感として知っておられる方が
描いた絵なんだな、ということを
すごく感じました。
ミロコ
ありがとうございます。
「そこにある食べもの」って、
そのこと自体がすごいなと思いますよね。
──
そこにある?
ミロコ
魚とかもそこにいて、
そこにあるものを餌にして釣る、とか。
──
ああー。
ミロコ
それを食べて暮らしているというのは、
本能でうれしい、みたいな感じがありますね。
──
本能でうれしい。
写真
ミロコ
奄美では、ヤギもイノシシも
さばける人がたくさんいるんですけど、
「はい、イノシシあげる!」
って言われて、家に帰って中を開けたら、
イノシシの半身があって。
「わあ、すごい。さっきまで生きていた
この子を食べるんだ!」という感じで。
やっぱりスーパーで売っているものだけを
食べていたときは、
生きてる姿を想像できていなかったので、
感覚がまったく違いますね。
──
すごくわかる気がします。



すこしお話を戻して、
さきほど「なるべく奄美にいたい」と
おっしゃっていましたけど、
それでも本当にいろんなところを
飛び回ってお仕事をされてますよね。
ご自身のフィールドができたからこそ、
違う地域のお仕事をするときに、
何か感じられることもありますか?
ミロコ
その土地ごとの
「生きる知恵」みたいなものがすごくおもしろくて、
「うちの島ではこうだよ」
「そのやり方はこっちでも使えそう」
みたいな話を交換し合えるのがいいですね。
──
都市部じゃなくて、
その土地の暮らしがある場所で。
ミロコ
そうそう。
お仕事も、そういうものが多い気がします。
写真
──
今後、力を入れて取り組んでいきたいことって、
どんなことがありますか?
ミロコ
今、奄美は過渡期というか、
まあ、いつでも変化はしていくんでしょうけど、
観光地化が進んでいきそうなんですね。
奄美大島が世界自然遺産に認定されたし、
注目されるのはいいことではあるんですけど、
自然豊かであることがいいところなのに、
そこがないがしろにされないかな、
ということを心配しています。
──
奄美大島ではクラウドファンディングの
活動もされていますよね。
ミロコ
はい。無事にファーストゴールの
目標は達成しました。
地方だと、過疎化に悩むことが
多いと思いますし、
奄美大島全体で見ればそうかもしれません。
でも私の住んでいる集落は逆で、人気があって、
住みたいという人はたくさんいるんですよ。
だけど、観光地化が進んで、
土地の値段自体が
すごく上がってしまっているんです。
──
なるほど。
写真
ミロコ
土地の価格は、もちろん都会よりも
はるかに安いけれど、
広さがあるぶん高いので、
住居用の土地としては
なかなか買えないんですよね。
来たい人が多い状況なのに、増えない。
爆発的に住民が増えたらいいわけではなく、
バランスが必要だと思うんですけど、
もったいない状況になっているんです。
──
大手の資本のほうが
入りやすくなっている状況というか。
ミロコ
そうですね。広大な敷地があって高い、
となると、企業や大型ホテルしか買えない、
みたいな感じになっちゃっていますね。
島の良さをどう生かして、
未来につなげていけるか、
ということを考えているんですけど、
そういうことって、
他の地域でも経験されてきたことであるので、
よく参考にさせてもらってます。
場所が違えば、文化も違うけれど、
その土地の良さを引き継ぎながら
時代に合わせてどう変えていくか
という話は参考になるので、
聞きに行ったりしていますね。
写真
(つづきます)
2026-11-07-SAT
「第一回 前橋国際芸術祭 2026」で、
ミロコマチコさんの
アートイルミネーション・
インスタレーション作品を展示中です。
写真
「空気に根をおろす」
芸術祭のテーマである「めぶく。」に合わせ、
白井屋ホテルの「グリーンタワー」全体に
ミロコマチコさんのつくる
色とりどりの「空想の種」が根をおろしています。
<展示期間>
2026年9月19日(土)~ 2027年1月12日(火)
<展示場所>
白井屋ホテル 屋外 
グリーンタワー

(住所:群馬県前橋市本町2-2-15)
<点灯時間>
毎日 17:00 ~ 23:00
※昼夜共にお楽しみいただけます。
期間限定企画として、白井屋ホテルの客室内に
ミロコマチコさんの作品が飾られた
「ミロコマチコルーム」が登場するほか、
限定コラボクッキー缶の販売も!
くわしくは白井屋ホテルさんの
Webサイトをご確認ください。