GO!なひと/vol.02 ミロコマチコさん GO!なひと/vol.02 ミロコマチコさん
「GO!なひと」は、さまざまな地域に
通い続けている人や、
移住した先で活動している人を訪ね、
その土地とのかかわりや、日々の生活について
インタビューする新シリーズです。

第2回は奄美大島で暮らす
ミロコマチコさんにお話をうかがいました。
大阪で育ち、東京生活を経て、
たどりついた奄美での暮らしは、
「島から出たくない」と思うほど
日々が充実しているのだそう。

そんなミロコさんは、ただいま開催中の
第一回 前橋国際芸術祭 2026に参加されており、
作品を展示されている白井屋ホテルさんで
お会いしました。

聞き手はほぼ日のやすなです。
ほぼ日GO!とは、
ほぼ日が、日本全国の地域の方々と
幅広くて自由なコンテンツを作り、
更新していく場所です。



文・藤田亜紗美
第3回 食べて、飲んで、爆睡!
写真
──
ミロコさんは、作品を通じて
地域の子どもたちと一緒に過ごす
活動もされていますよね。
ミロコ
そうですね。私のやっていることって、
暮らしにあまり直結していないから、
「できることが少ないな」って
落ち込んでいたときもあったんですよ。
でも、もうちょっと大きな循環で
見てもらえたらと思って、
子どもたちとかかわっています。
「こういう絵を描く仕事もあるんだよ」
「会社に行かなくていいし、楽しいでしょ」
みたいな感じで(笑)。
──
すてきなスタンスですね(笑)。
ミロコ
地域の運動会とか、
「舟こぎ競争」などの行事もたくさんあるので、
子どもたちと応援の旗をつくったり、
色あせた舟の絵を
みんなで塗り直したりしてますね。
そういうことで、私も大きな循環の
サイクルの中に入れたらと思いますし、
ふだん野菜をもらっている
お返しになったらいいなと思っています。
そのほかに集落の法被をつくったり、
Tシャツをつくったりして、
画家のやれることで協力したいなと思っています。
写真
©GRIND JOURNEY
──
島の方たちの協力し合う循環の中に
入って行かれているんですね。
ミロコさんは、いろんな場所で
お仕事をされているので、
奄美大島にいらっしゃるときと、
そうじゃないときとがあると思いますが、
それはどれくらいのバランスなんでしょう。
ミロコ
どんどん島が楽しくなっているので、
本当は全然出たくないんです(笑)。
──
その感覚、うらやましいです。
そもそも移住されたのは何年前ですか?
ミロコ
2017年くらいから奄美に通いはじめて、
2019年6月に引っ越しました。
そこから1年足らずで
コロナ下になったんですけど、
その間に一生懸命、家を建てました。
パンデミックが明けると
徐々に行事などが復活して、
島でやりたいことがありすぎて、
「明日からの出張、嫌だなあ」
なんて思うんですけど(笑)、
島から出てしまえば、行った先でも
楽しいことがたくさんあるし、
ふだん会えない人や久しぶりの友人たちにも
会えるから、楽しく過ごせてますね。
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──
奄美で過ごす1日って、
どんな感じなんでしょう。
ミロコ
島での1日は、季節によるんですけど、
夏は、朝8時以降は
暑くて何もできないから、
できれば早起きして、
6時7時までに草刈りなどの庭の仕事をして、
そこから絵を描いたり、仕事したり‥‥
というふうにしていきたいんですけど、
朝が弱くてなかなかできない(笑)。
他の季節だったら、晴れていたら、
すぐ外に飛び出したくなるんですよ。
──
へえーっ。
写真
ミロコ
植物を触るのも大好きですし、
育っているのを見るのが喜びなんです。
うちにはヤギが2匹いて、
雑草や剪定した植物などを食べてもらいながら、
草刈りの役割もしてもらってます。
絵の仕事もあるんですけど、
晴れてるとどうしても
今しかできないと思ってしまって、
外での仕事ばっかり優先してしまいます。
でも雨が降ったら、
外に出られないから絵が進む。
だから、最近、雨の絵ばっかりです(笑)。
──
雨の絵。
ミロコ
東京に住んでいたころは、
動物や植物のように
実在するものを描いていたんですけど、
それはたぶん不安を解消するために
野生のものを描いていたんですね。
でも今は、
自然の動きを見る感覚を身につけることが、
生きるうえで大切な力になっていくと
わかったんです。
だから、今は自然から受け取る印象を
絵にするようになりました。
写真
──
実在するものではなく、
自然から受け取る印象を描いている。
ミロコ
はい。自然のうごめきが、
「目に見えない生きもの」に見えるので、
精霊のようなものとか、妖怪みたいなものを
絵にしています。
家で描いていても、
「今、何がいるかな」って窓の外を見ながら
目を凝らしていると
雨の日は、やっぱり雨っぽい絵になっちゃう。
そんなふうに天気に合わせた1日ですね。
夏は夕方になったら舟をこぐ練習があるので、
海へ行って、その後は必ずみんなで
ごはん食べて、お酒飲んで、爆睡!
だいたい、そんな日々です。
──
爆睡! いいですね。
そんなふうに、晴れている日に
外に飛び出すような暮らしも、
作品につながってるんでしょうね。
ミロコ
はい。同じ場所に居続けると、
変化がわかりますよね。
毎日、家の前の海に出ると、
「大潮だからすごく満ちてる」
「こういう冷たい風が来たら、雨が降るんだ」とか。
秋になったら、サシバという
渡り鳥が来て、そしてシイラという魚が
入ってくるんですけど、
「あ、本当にサシバが鳴いた日にシイラが来た」
とか、同じ場所に立ち続けるからこそ
知れる感覚があって、
そういうことが、日々外に出ることで
どんどん身についていく感じがあります。
写真
──
「生活がしたい」と思って
奄美に行かれたというお話が
印象的だったんですけど、
まさにそういう環境に身をおくことで、
ご自身の生きるスキルが
どんどん上がっているような感覚ですか?
ミロコ
そうですね。生活が主体で、
その周りで自然に必要なことで動いている、
という感じがあるのかも。
それが、異常に楽しいんですよね。
昔の人は海が交通手段だから
舟を漕ぐことは当たり前に必要だった。
今は舟が漕げなくても生活はできるんだけど、
漕げるようになったら、
本能が喜んでる感じがあります。
食べて、寝て、体を動かして、
みんなでワイワイして、
「これが全てでいいじゃない?」
みたいな感じです(笑)。
──
ミロコさんの本を拝読して、
食べることもすごく楽しまれている様子が
伝わってきました。
もともとお料理はお好きだったんですか?
ミロコ
まあ、好きは好きですけど、
都会にいたころは何も考えていなかったです。
都会のスーパーには年中なんでも揃っているし。
島だと、ないものも多いし、
季節によっては、一つのものが
そればっかり大量にあって(笑)。
自然とひとつの野菜をいろんな食べ方に
できるよう工夫するようになりましたね。
でも「この季節だから、これを食べる」
という暮らしって、元気になるんですよね。
奄美に引っ越してからは、
それまでずっとできていた
口内炎もなくなりました。
風邪をひいたり、病気しちゃったりするのって、
だいたい出張中なんです。
奄美にいて、そこでとれたものを食べていると、
本当に元気になるんだなって感じています。
写真
▲月下美人の花
(つづきます)
2026-11-06-FRI
「第一回 前橋国際芸術祭 2026」で、
ミロコマチコさんの
アートイルミネーション・
インスタレーション作品を展示中です。
写真
「空気に根をおろす」
芸術祭のテーマである「めぶく。」に合わせ、
白井屋ホテルの「グリーンタワー」全体に
ミロコマチコさんのつくる
色とりどりの「空想の種」が根をおろしています。
<展示期間>
2026年9月19日(土)~ 2027年1月12日(火)
<展示場所>
白井屋ホテル 屋外 
グリーンタワー

(住所:群馬県前橋市本町2-2-15)
<点灯時間>
毎日 17:00 ~ 23:00
※昼夜共にお楽しみいただけます。
期間限定企画として、白井屋ホテルの客室内に
ミロコマチコさんの作品が飾られた
「ミロコマチコルーム」が登場するほか、
限定コラボクッキー缶の販売も!
くわしくは白井屋ホテルさんの
Webサイトをご確認ください。