糸井

おたくの犬は甘がみしますか。

松本

全然しないんです。
猫とケンカしてるときも、
絶対にかまないように
寸止めしてるのがわかります。

糸井

その加減って、
犬はけっこう上手ですよね。

松本

もうほんとに上手。
私がおやつをあげるときも、
絶対に私の手をかまないように、
すんごく気をつかいながら食べてます。
それがちょっとたのしくて、
わざとおやつを小さくしたりして（笑）。

糸井

かみそうなくらい小さく（笑）。

松本

それでもすっごく上手に食べますね。

糸井

先代犬のブイヨンが家にいたとき、
ブイヨンの歯が強く当たったことがあって、
本当に痛かったから「あいたたた！」って言ったら、
ものすごくしょげちゃってね。

松本

あー。

糸井

あんまりかわいそうだから、
すぐに許したんだけど、
でも、しばらく元気なかったですね。

松本

犬はそうなりますよね。
痛そうなフリでも本気にするって。

糸井

そうそう。

松本

私、犬にはないんですけど、
猫にはそういうフリを何度かしたことがあって。

糸井

猫に？

松本

猫がなにか悪さをしたとき、
ものすごく大げさにふるまうんです。
サッカー選手が審判にアピールするみたいに
「うわぁーっ！」って倒れこんで、
「いまのはダメだー！」って言うんですけど、
猫はすぐにその場からいなくなっちゃう。

一同

（笑）

糸井

そんな話に関わりたくないんだ（笑）。

松本

気づいたらどこにもいないんです。

糸井

猫って「好きなものはかむ」って
聞いたことがあるんだけど、
それ、みんなそうなんですか？

松本

うーん、どうなんだろう。
でも、猫のほうが犬よりも
感情のスイッチが突然入るみたいで。

糸井

へぇーー。

松本

たぶん、好きなものを見ると、
「かわいい、かわいい‥‥おいしい！」
みたいになるのかも。

糸井

「食べてしまいたい！」みたいな。

松本

ライオンとか見てると、
そんな感じがしますよね。

糸井

（猫を飼ってる乗組員Ｓに）
おたくの猫は？　かみますか？

乗組員Ｓ

人によって変えてるようです。
主人はかまれるけど、私はかまれないです。

糸井

へぇー。

乗組員Ｓ

家にやってきた最初の２～３日間は、
思いっきりかまれてました。
「ギャーッ！」って叫んだら、
それ以来かまれなくなりました。
それまでは顔以外、
だいたい全部かまれた気がします。

松本

あ、顔はかまないんですね。

糸井

小説家の町田康さんも
同じようなことを言ってました。
猫は「人間の首から下は台で、
アタマの部分が人間だと思ってる」って。

松本

「首から下は、台」（笑）。

糸井

「台ならいくらかんでも平気だろう」って。

松本

あはははは。

糸井

ぼくの娘のところには
赤ん坊と猫が一緒にいるんだけど、
ちょっとだけ心配なんですよね。
猫は悪気がないとしても、
引っかいたり叩いたりがあるんじゃないかって。

松本

猫ちゃんと赤ちゃんは
仲良しなんですか。

糸井

くっついたりはしてるみたいです。
猫もなんとなく家の人間が、
この小さな人を大事にしてるのがわかるから、
まったく無遠慮じゃないんだけど、
やっぱり無遠慮（笑）。

松本

ブイコちゃんと赤ちゃんはどうですか。

糸井

うちの犬はすぐに
「遊びたい！遊びたい！」ってなっちゃうから、
まだいまは出会ってないんです。

松本

ああ、そっか。
ブイコちゃん、まだ若いんですよね。

糸井

まだ１歳ちょっとかな。

松本

じゃあ、まだまだわんぱく盛りですね。

糸井

４歳くらいになったら、
すこしは落ち着くのかなぁって思ってます。

松本

落ち着かないパターンもありますよ。
うちはもう９歳ですが、
時々「うそでしょ？」って思ってます。

糸井

９歳でもそうなんですね。
ブイコはどうなるんだろう。
おたくのコ、他の犬とは遊びます？

松本

それが遊ばないんです。
他の犬が嫌いとか好きとかじゃなくて、
なんとも思ってない感じで。

糸井

へぇーー。

松本

この前も近所のワンちゃんたちに、
「どこのコ？」みたいな感じで
すり寄られていたんですけど、
「いや、ぼくはもういいんで」って感じで。

糸井

「ぼくはもういい」（笑）。
ほんとそういうのって、
犬の性格によってちがうよね。

松本

ほんとそう思います。
先代犬はすごく社交的で、
性格もまじめでした。
いまのコは全然まじめじゃないんです。
同じ犬でなんでこんなにちがうのって思います。

糸井

このコはなんかやらかしても、
すぐに忘れちゃうしね。

松本

ほんとすぐに忘れます。
さっき食べたごはんのことも、
すぐに忘れてますね（笑）。