怪・その13

「真っ暗な夜道を」



今から15年程前の話です。
中学の同級生の結婚式に招待されました。

会場のホテルは
自分が住んでいる市の郊外にあり、
中心部からは車で30分くらいのところにありました。
夕方から披露宴があり、
2次会もそのホテルのバーであったんですが、
久しぶりに会った同級生もいて、
自分も悪酔いして同級生に悪態をついたりして、
途中で我に返り、
なぜか歩いて帰ろうと思いました。

時間は20時くらいでした。
ホテルの前にある国道の歩道を歩いていると、
いわゆる農村地帯に入りました。
街灯も無く、本当に真っ暗闇です。

たまに車が通るときだけ
ライトで周りの状況が確認出来ます。
それ以外は全く足元さえも見えません。

1時間30分程歩いたんですが、
当然他に歩いている人はいません。
ようやく先の方に明かりが見えてきたんですが、
まだ目の前は真っ暗で、
両手を前に出して手探りで
ゆっくりと歩いていました。

その時、車が2台ほど連続で通り、
ライトに自分が通る方と
反対側の歩道が照らされたんですが、

明らかに50代以上のおじさんが、
農村地帯の方向に
泣きながら歩いているのが見えました。

ひじを90度に曲げて、
それを目の前にもってきて腕で涙を拭きながら、
肩を小さく震わせながら歩いていました。

しかも真っ暗闇の中、
普通のスピードで歩いていました。
ものすごく怖かったんですが、
静かに通り過ぎました。

何とか家に帰り着いたんですが、
あとで考えると、
もし同じ歩道ですれ違ってたらと思うと、
ゾッとしました。

(k)

こわいね!
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2023-08-11-FRI