怪・その18

「中古の一軒家」

私が小学生のとき、家族と祖母で
古い中古の一軒家に引っ越してきました。

この家には今でも家族が住んでいるのですが、
いろいろなことがありました。

引っ越した当日からしばらく、犬が、
誰もいないところにずっと吠えていました。

夜中、階段を走って登り下りする
子供の足音が鳴り止まないこともよくありました。

廊下のすりガラスから
子供の足首だけが見えたり、
背の高い男性がただ廊下を行き来する
影が見えたという家族もいました。

寝たきりの祖母が夜中
「もうやめて!」と叫んだので駆けつけると、
子供が祖母のベッドを囲むように
ぐるぐると走り回っていたそうです。

それを聞いた兄は、
自分も同じことがあった、と言っていました。

弟は、経験してもいないリアルな戦争の夢に
連日うなされたようです。

父は寝ているところに足元から
女が這い上がってきたと怯えていました。

住んでから数年経ったころ、
母が知り合いから
八方除けのお札が有名な神社を
紹介してもらい、
それを貼ることになりました。

すると、
それまで起こっていた不気味な現象が
パタリと止みました。


しかし、それから程なくして、
私が1人で留守番していたときのこと。

「おーい! ○○! 開けてー!」

と、バンバン戸を叩く音と父と母の声がしました
(その頃うちのチャイムは壊れていました)。

鍵を持っているのに開けて欲しくて
わざと人を呼ぶことがよくあるので、
いつもめんどくさいなと思っていたのです。

この日は私の機嫌が悪く、

「自分で開けてよー!!」

と突き放しました。

そしてずっと無視していたら声がしなくなって、
あれ? と思って玄関の擦りガラスの扉を確認したら
誰もいないようでした。

なんだったんだろうと思っていたら

母が二階から降りてきてびっくりしました。

両親とも出かけておらず、
寝室で寝ていたそうです。

私がバイトから帰ってきて二階に上がらず、
そのままリビングでゆっくりしていたので
2人がいることに気づきませんでした。

外から両親の声を真似て戸を叩いて
家に入りたがってたあれは
なんだったんでしょう‥‥。

あの時開けなくて良かったと思う出来事でした。

(ビーグルかわいいちゃん)

こわいね!
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2020-08-15-SAT