怪・その6

「ノックの仕方」

私(中年女性、アメリカ在住)が、
体験した話です。

去年のある秋の週末の夜、
リビングにいたところ、
ドアをノックするような

「コン‥‥コン‥‥コン」

という音が聞こえました。

こちらのノックの仕方は大きな音を出すもので、
それとはくらべものにならないくらい
小さな音でした。

そして、こちらには、
私のうちに訪ねてくる
日本人の知人はいないので、
不審に思いつつも、
すぐに玄関に行きましたが、誰もいません。

リビングに近い他のドアや
窓もすべて見て回りましたが、誰もいません。

「コン‥‥コン‥‥コン」という
それぞれのノックの合間が等間隔で長く、
しかも控えめな音で3回だけというのは、
どう考えても、
こちらアメリカの一般的なノックの仕方とは、
かなり違います。

こちらは大きな音で、数回立て続けに
「ダ、ダ、ダ、ダ、ダ」とたたくのが
一般的です。

たまに、カナブンのような虫が
窓にぶつかることがありますが、
それとも音が違います。

そんなことを考えているうちに、
はたと気づきました。
あれは、祖母が私に会いにきてくれたんだと。

実は数か月前、日本の弟からメールで

「秋になったら私以外の孫がそろって、
亡き祖父と祖母のお墓を開け、
お骨を共同墓地にうつす」
と聞いてはいたんですが、
それが実際におこなわれたのが、
その週末だったんです。

私の母は40年近く前に若くしてなくなったため、
祖母が私たちを育ててくれました。
また私のおばもその後、早くに他界し、
叔父や他の孫たち(私以外全員男)は
あまり祖母の話し相手になってあげなかったので、
私が一番の話相手でした。

お墓が開けられたので、
祖母が空を飛んで
アメリカまで来ることができたのかな?
なんて思いました。
(梅干しーず)

こわいね!
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2020-08-04-TUE