怪・その47

「夏の思い出」

50年前、私は小学4年生。

夏の学校、校庭、夕方。
さぁ、帰ろうかなぁと
ランドセルを肩にかけた時、

「楽しかったね。
お勉強、家に来てやらない?
教えてあげるよ。」

一つか二つ上の女の子が、
声をかけて来ました。
びっくりもせずに、
女の子の存在も不思議がらずに、私は、

「うん、行く行く。」
そのまま、歩いて
女の子の家へ向かいました。

遊んで、宿題も教えてもらいました。

女の子の両親から、
「ご飯も、食べていかんね。」
と言われて、夕食もいただきました。

夜8時頃か9時近くか、
定かではありませんが、お野菜も頂いて、
軽トラックで女の子のお父さんに送ってもらいました。

その後、1〜2回、同じ体験して、帰宅。

それからしばらくは、
女の子のことを忘れていたのか、
学校で見かけなかったから、忘れていたのか‥‥。

次の夏が近づいて来たある日、
友達の家に遊びに行った時に、
子供の足で1〜2分先にある家を見て、

「前に来たことがある家だ。」

と思い出し、友達のおばあちゃんに
「あの、お家の女の子は?」
とききました。

聞いた理由は、家の雨戸が全部、
閉まっていたからです。

おばあちゃんは、

「あ〜、あそこの家の女の子が
病気で亡くなってねー。
お父さんもお母さんも、
あの家には住みたくない、と。
だから誰もいないよ。」


「えー、
私、女の子と遊んで勉強も、ご飯も食べたよ。」

おばあちゃん
「そんなことはないよ。
だいぶん前に、亡くなっているからね!」

あれから50年の年月が経ちました。
パラレルワールドに行っていたのよ、
とか言う方もいましたが、
私には、普通の女の子との、楽しい夏の思い出です。

おまけです。
その後、わたしが6年生のときに引っ越しました。
大人になった今でも女の子のことが思い出の片隅にあり、
昔住んでいたところへ行って見ました。

しかしすでに家は無く、景色も変わっていました。

(A)

こわいね!
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2019-09-05-THU