怪・その46

「道路の真ん中の猫」

夜の11時過ぎに、最寄りの駅まで
娘を迎えに車で家を出ました。

駅まで行く道は
舗装されたカーブの多い1本道なのですが、
途中1か所だけ、Y字路があります。

いつもはY字路の右の舗装道路を進むのですが、
その日はなぜか、
ふと、左の砂利道を行ってみようと思い、
初めて通ることにしました。

砂利道を500メートル程進むと、
交差点に出ました。

一旦停止して、交差点を曲がらずに、
行けるところまで進んでみようと、
ゆっくりと車を前進させました。

ほんの数メートル進んだところで、
1匹の猫が
道路の真ん中に、こちらを向いて座っていました。

私は驚いて、車を停車させました。

辺りは田んぼと森だけで
民家もないので、灯りもなく真っ暗です。

ヘッドライトで照らしているのに、
猫は一向に動く気配がありません。

私はどうしようかなと思いましたが、
これは進んでは行けない道なんだと感じ、
車をバックさせ、交差点を曲がって、
いつもの道路に出ました。

それからずっと、あの夜の猫のことが気になって、
後日、昼間の明るい時に、
同じ道を通ってみることにしました。

あの猫が座っていた道の先は、すぐに森の中に入り、
車1台がやっと通れる細い山道で、
昼間でも薄暗い気味の悪い道路でした。

なぜ私はあの時、この道を通ろうと思ったのか、
自分でもわからないのですが、
もし無理に通っていたら
どうなっていたのかと思うと、ゾッとします。

不思議な猫に感謝です。

(S)

こわいね!
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2019-09-05-THU