怪・その65

「今年は許してね」

私の実家は
今年の西日本豪雨の被災地になったところです。

両親は助かったのですが
家は被災してしまい、
私は関東にいてすぐに駆けつけられなかったので、
両親や主人と相談して
お盆になってから帰って
片付けの手伝いをすることにしました。

実家に戻ると、
一階は悲惨な状態でしたが、
二階は使えたので、
二階で両親と私が一緒に寝ることにしました。

一階もボランティアさんや身内親戚のおかげで
片付けは大体終わっていて、
あとは残っている床板の埃を拭いたりといった
作業くらいでした。

夕方にお墓参りを済ませて、
暑い中床を拭いていると、
どこからか大きなオニヤンマがやってきました。

そばの窓を開けて追い払いましたが、戻ってきます。

2,3回、追い払っては戻ってきて‥‥を繰り返してから
(もしかしておじいちゃん?)と思い、

「おじいちゃん、家がこんなになってしまったんよー。
今年は(水没して)仏壇がないけど許してねぇ。」

と言いながら他の窓を開けると
オニヤンマはそこから出て行って
今度は戻りませんでした。

その日の夜に両親と晩ご飯を食べなら話をしていると、
少し離れたところにある、
人が通ると反応するセンサー付きのライトが、

誰もいないのにピカッと光りました。

3人とも「?」と思いましたが
「あれはおばあちゃんかなぁ?」と言うと
「きっとそうかもしれない」と3人とも納得し、
食事が終わってから迎え火を焚いたのでした。

祖父は20年以上前に、
祖母も6年くらい前に亡くなっているのですが、
祖父母はお盆で帰ってきたら
あまりにも実家や近所が変わっているので
ビックリして、私たちにわかる形で
様子を見に来たのかもしれない‥‥と思いました。

(まゆぽん)

こわいね!
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