怪・その54

「夢の中ででも」

18年前に父が亡くなりました。
不思議なお話です。

父が亡くなった次の年の夏休みに
実家に帰省しました。

私の地元は海が近く、魚がよく捕れるので
母と、
「今日はお魚買って手巻き寿司でもしようか」
なんて話してました。

買い物が終わり、帰り道に
突然私の胃が強烈に痛み、
ご飯なんて食べられる状態ではなくなりました。

普段はある程度具合が悪くても
食欲はあるのですが、
その日は痛みに耐えられず、
どうしようもなかったので、寝ました。

「あーあ。楽しみにしてたのになー。」

と残念に思いながら、寝に入り、
そして夢をみました。

亡くなった父が何も言わずに
ただニコニコして
私のお腹に手を当ててくれてました。

父の最期に立ち会えなかった私は
夢の中ででも父に会えた事がとても嬉しくて
大泣きしました。

その時泣いた勢いで目が覚め、
はっ! としました。

あんなに痛かった胃が治ってたんです。

きっと楽しみにしてた夕飯を
食べられなくなることを
かわいそうに思った父が
治してくれたんだなと思いました。

思い返すと色々な事がありました。
父が亡くなった日、
泣き疲れて寝転がりながらぼーっとしていると、
足元から冷たい風が
フワーっと吹いてきたかと思うと、
暖かい何かが私を包んでくれました。

それは誰かに
抱きしめられているような心地よさでした。

父が亡くなったのは10月中旬。
その頃実家はそこそこ寒いので
窓を開けていることはありませんでした。

留学して外国にいた時も、
毎日不安で仕方なかった時、
突然夢に出てきてくれて、
ニコニコしながら私を見てました。

次の日から不安は全く無くなり、
その日を境に全てが楽しくなりました。

その時着てた父の服装を
細かく姉に伝えたところ、
それは父が大好きで
外出する時は必ず身につけていた服装一式なので
姉が棺に入れた物らしいです。

今まで色々あっても
毎日幸せに楽しく過ごせているのは
きっと父が近くにいて
守ってくれてるからなんだと思います。

(n)

こわいね!
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