怪・その30

「従兄弟の青春」

25年ほど前の話になるでしょうか。
私が小学生の頃です。

従兄弟が24歳の時に亡くなりました。
大好きなアーティストのライブ中、
体調を崩して
お手洗いで倒れていたそうです。

元々病気などせず、健康そのものの従兄弟でしたし
友人も多くいて、小学生時分の私から見ると
その頃の従兄弟は青春そのもので、
まぶしかったことを覚えています。

従兄弟が亡くなった直後は、
やはり色んなことが起きたそうなのです。

まず、棺桶から大きな音がする、
まるで生きているかのように。

あとは、従兄弟の自室から、
ものすごい勢いで階段を降りてくる音がする。
生前そうしていたように。

その他にも多くの普通ではないことがあったのですが、
クラブ活動が忙しくなり始めた私は
段々とそれどころじゃなくなっていきました。

今となってはもう遠い昔の話です。
ただ、若い人がそのパワーそのままで亡くなるというのは、
ただならぬことなんだというのを、実感したのです。


大人になった私は、
音楽が好きでライブやフェスに行くことが多くあります。
初めて大好きなアーティストのライブに
出掛けた時から、毎回、
ライブ中に亡くなった従兄弟のことを思い出します。

あの高揚感、一体感、感じるたびに思い出します。

数年前に出掛けた夏フェスで、
私の好きなアーティストと、
従兄弟が亡くなった時に出掛けていたライブのアーティストが
セッションする場面がありました。

ちょうど夕暮れ時で
きれいな夕日が見え見えました。

おもしろおかしい掛け合いを重ねながらのセッションでしたが、
私は涙が溢れて止まりませんでした。

従兄弟も一緒に聴いていたのでしょうか。

気のせいかもしれないし、
勝手に私がそう思っているだけかもしれない。
けど、忘れていないよ、
という想いを贈りたいなと思って投稿します。

(h)

こわいね!
2017-09-05-TUE