怪・その1

「階段を上がってくる」

わたしは子供のころから
不思議な体験をすることがありました。

それが霊感であるかはわかりません。
霊を呼び出したり、祓ったり、
友達になったり・・・
なんて大層なものではないからです。

「あぁこれは生きてる人じゃないんだろうな」と、
なんとなく生死を感じる程度のもので、
大概は熱が出たり、
騒音に悩まされたりと
被害を被ることの方が多いのです。

先日、姉の紹介で
霊媒師さんと交流がある女性と
お会いしました。(仮にAさんとします。)
はじめまして、とご挨拶をして握手をした時、
Aさんは言いました。

「あなた、とっても霊感が強いのね!」

やっぱりわかるんだ、と思う反面、
失礼ながらあまり長居はしたくないな
と思いました。

Aさんのすぐ傍に黒い塊が見えるのです。

言葉にするのは難しいのですが、
淀んでいる、近づきたくない、
というように空気が違うのです。
黒い塊を気にしつつ、
しばらくAさんと雑談をしているうちに、
気がついた時にはその塊は消えていました。

その日の夜のことです。

ベットに横になりながらスマホをいじっていると、


ギシッ、ギシッ、カタン


1階から、階段を上がってくる足音がします。

けれど変なんです。
一歩進んでは休み、一歩進んでは休み・・・
というように、長すぎる間があるのです。

家の階段です。
そんなに長いものではありません。
けれど上り方があまりにも遅いんです。


ギシッ、ギシッ、ガタン

ミシッ、ギシッ、ミシッ


両親は隣の部屋で、
姉は2段ベットの下で熟睡しています。
音は何分もかけてゆっくりと登ってきます。

もう嫌な予感しかしません。
恐怖で寝るに寝れず、心中は大騒ぎです。

(怖い、怖い、怖い!
 絶対あの黒いやつだ!
 なんで家に来てんの!?)

(帰れー! こっち来るなー!)

気にしたらダメ! と意気込んで
階段に繋がっている部屋のドアに
背を向けて寝返りをうった時です。


「 だ ま れ !!!!」


目の前でわたしを覗き込んで怒鳴ったのは
黒い顔の男性でした。


夜中に突撃訪問をかましておいて、理不尽な話です。

(純)

こわいね!
2015-08-05-WED