怪・その16

黄色い景色の中

私が高校生のときの話です。

まだ夏の季節だったと思うんですが、
夕方大雨が降ったあと、
景色が真っ黄色にそまるような夕方、
文具を買いに、近所の文具店に行きました。

辺りは何を見ても黄色で、
夕日でこんなに景色が変わってみえるんだなあ〜と、
感心しながら自転車で文具店に向かいました。

文具店は、普段使用している通学路の途中、
緩やかな坂の途中にあり、
車道を挟んで反対側に
こちらとおなじように歩道がありました。

目当てのものを買い、
店の外に出て自転車にまたがった瞬間、
反対側の歩道に、
誰かが佇んでいるのが見えました。

「?」と思ったのは、
周りの景色が黄色いのに、
その人だけが白っぽくみえたからです。

それはワンピースのようなものを着た
女性らしき人で、
髪は肩より少し長めで下ろしてあり、
道の向こうにいたその顔は、
ハッキリとは見えなかったのですが、
どうも般若のようなお面を付けているように見えました。
白い、お面でした。

咄嗟に、「変な人?」
と思ったんですが、
瞬間、その人は歩道の端の茂みを超えて
こちらに向かってきたのです。

目は、私の方だけ見据えていました。

慌てて自転車を漕いで、その場を去りましたが、
振り返ると、
彼女は方向転換し、
小走りでこちらに向かってきているのが
見えました。

あとは自転車を立ち漕ぎして、
一度も振り返ることなく自宅に戻りました。

今思い出すと、
なんだったんだろう?
という出来事でした。

(AN)

こわいね!
2013-08-19-MON