おさるアイコン ほぼ日の怪談2005

怪・その25
「写真の中の」

私が高校生のときの話です。
部活の夏合宿の最後の夜、
部員みんなで花火をしていました。

花火をしていた場所からすぐ坂を下ると
川が流れています。
そこから後輩の2人が
ぎゃーぎゃー言いながら走って戻ってきました。

どうしたのか聞いてみると、
2人はみんなから離れて
河原でおしゃべりをしていたそうです。

すると後ろから
「何してるの?」
と、女の人の声が聞こえたといいます。

2人共、同時に振り向きましたが誰もいません。
そんなこんなで恐ろしくなって
走って逃げてきたそうです。

花火も終わり、部屋へ戻りゆっくりしていると、
また別の後輩が「先輩、一緒に写真撮ってください」と
やってきました。
「もちろん」、と一枚パチリ。

合宿も終わり、学校が始まったある日、
一緒に写真を撮った後輩が
突然私の教室にやってきました。

「どうしたの?」
「先輩‥‥合宿で撮った写真なんですけど‥‥
 ‥‥先輩の顔が先輩じゃないんです‥‥」

‥‥‥‥!!

ホントに私の顔ではありませんでした。

知らない女の人の顔。

満面の笑みでした。

その時は何だか気持ちが悪かったけど、
あとあと考えると、
その女性は本当に楽しそうに笑っていたし、
その後、特に悪いことが起こったりしなかったので、
きっとその人は仲間に入れてほしかったんだなって
思います。

(しゃほり)


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2006-08-23-WED