第32回 擬態する虫を見る。
対談 海野和男×糸井重里〜その3

本日は、対談の第3回目。
擬態する虫たちの、
不思議な世界をお送りいたします。

自分の姿を見たこともないのに、
苔になったり、枯れ葉になったり、
枝になったりしてしまう虫たち。
見れば見るほどその不思議さに、
引き込まれてしまいます。

今日ばかりは、
虫が苦手な人にも
画像を見ていただけると嬉しいです。
では、どうぞご覧ください〜。

※ご覧いただく前に。
 この「虫博士たち。」のページでは、
 海野さんの撮影による動画ページへのリンクをしています。
 動画再生時には、音声が流れますので、
 パソコンの音量にはご注意くださいね。




対談:海野和男さん×糸井重里 その3


海野さんのプロフィールは、こちら

●枝? 苔? 花?
糸井 あ、コノハムシですね。
海野 そうですね。
昆虫っていうのは、敵が多いので、
隠れるのが一番だということで、
擬態して身を隠します。
糸井 ふざけてるよなあ(笑)。
海野 これは、コノハチョウですね。
翅の表、派手な模様は自分の仲間向け、
裏の枯れ葉模様は、敵向けです。

枯れ葉があれば枯れ葉になる。
コケがあればコケになる。
これは、苔にそっくりなキリギリス

*ほかにも苔をまとったような
 「サルオガセギス」もご覧ください!
ほぼ日 え! これがキリギリスですか?!
海野 (動画の擬態するキリギリスを見ながら)
苔のある木に留まって、完全に苔になりました。
もっと苔になるためには
どうしたらいいか、考えます。
後ろ足がちょっと目立ちますよね?
そうすると、後ろ足を翅の中に隠して、
完全に苔になりきりました。
ほぼ日 うわ、隠した!
わからない〜〜!!
糸井 くっくっくっくっ。
海野 するともう、どこにいるかわからないですね。
ほぼ日 なんだこれは‥‥。
糸井 くっくっくっくっ。


海野 これは、ハナカマキリ
チョウなんかは、花と間違えて、
勝手に寄っていっちゃうんですよね。
だからこれは、だまし絵というか、
偽物の花なんですけれども、
偽物のほうが本物より本物っぽく見えるんです。
これも実は、紫外線がからんでます
ほぼ日 あ、またでかいチョウが寄ってきた!
花かと思ったら‥‥、
ああぁ! やられた。
これはすごいなあ‥‥(ざわざわざわ)。

*チョウを捕らえるハナカマキリの動画を、
 こちらからご覧ください。
 (「海野和男のデジタル昆虫記」
  「高速度撮影カメラの世界」より)
海野 こわいでしょ?
ぼったくりの店みたいでしょ?(笑)
ほぼ日 きれいだと思ってちょっと寄ったら、
しまった! みたいな感じですね(笑)。
海野 カモフラージュ(擬態)している虫って、
みんな、ゆっくり歩くのが特徴です。
そうなっちゃうんですね。
虫の世界はうまくできているので、
これで早く歩けば、ばれちゃう。
でもこれで普通に早く歩けたら、
もっと繁栄するじゃないですか。
繁栄しないんですよ、こいつら、全然(笑)。
一見、映像がスローに見えると思いますけど、
こういう歩き方なんで、
普通は歩いてても気付かないんですよ。

●虫にとって、「見える」とは?
海野 次のカマキリは、
普通のカマキリに見えるんですけども‥‥。
糸井 関根勤。
ほぼ日 ‥‥関根勤さん、
確かに昔、カマキリ拳法という、
素晴らしい芸を披露されておりましたが‥‥。
海野 このカマキリ、小枝になるんです。
ほぼ日 ‥‥わ! 枝になった。
枝でしかない‥‥、すごい。

*枝になりきるカマキリは、こちらをご覧ください。

 「昆虫の擬態」海野和男(平凡社)より

オオカレエダカマキリというのもいますよ。
海野 次は、触ると、
パッと目玉を出すガですね。
糸井 これは威嚇ですか?
海野 威嚇です。
触ると前の翅を広げて、
後ろ翅の目玉を見せて脅かすんです。
海野 次のトビナナフシは、
触ると大きくなるんですよ。
糸井 トカゲみたい。エリマキトカゲ。
海野 そう、これはトカゲのマネをしているんですね。
エリマキトカゲではないんですが、
トビトカゲっていうのがいて、
それがこんな翅の模様をしているんです。
糸井 肉食のマネをしているんですね。
すごいね〜。
睥睨(へいげい)しているんですかね?
海野 うん、とりあえず怒ってる。
糸井 とりあえず、怒ってるんですか(笑)
海野 次は、センストビナナフシ。
結構大きい虫です。

 「昆虫の擬態」海野和男(平凡社)より
ほぼ日 確かに、艶やかな扇子みたいですね。
海野 「センストビナナフシ」って、
僕が勝手に名付けたんですが、
トビナナフシのグループです。
そういうところだけは科学的にしておいて、
その上につく形容詞は、
勝手につけちゃえばいいんです。
学名は勝手に付けてはいけませんよ。
でも和名は、いいんです。
昔、私が付けた名前の虫に、
ヒョウモンカマキリ」というのが
いるんです。
豹みたいな柄だから、
そういう名前をつけたんですけど、
もっと後ろ翅のことを、
名前につけりゃ良かったな、と思ってます。

糸井 そういえば、ユカタンビワハゴロモって
いるじゃないですか?
顔がワニなんだよ、
あれは本物見てみたいな〜。
海野 セミの一種で、頭が出っ張ってて、
そこにワニの模様があります。
糸井 大きさもなにもかも全部違うのに、
「俺はワニだから。」って顔してんの。
海野 そう、「俺ワニだから」って顔してる。
ほぼ日 どこに行ったら見られるんですか?
糸井 ユカタン半島あたり。
海野 あとね、ほんとの蛇に見える
ガの幼虫ってのもいる。
(と、写真を見せてくださる海野さん)
一同 ええ????
海野 ちょっとかわいいでしょ?
ビロウドスズメです。
でも毒ヘビのマネですよ。
糸井 その、虫にとって、
「見える」って何のことなんでしょうね?
自分(虫)の視線からは、
その他の景色が見えるわけだから、
自分の姿を確認しようがないじゃないですか。
見たことがないわけですよね、自分の姿形を。
それは、他者からの視線を基にして、
自分の姿をつくる、ということですよね。
自分を見ている誰かが、
インプットされているわけでしょ?
前々からそのことについては、
不思議で不思議でしょうがない。
海野 ほんとうに、擬態はとくに面白いですよ。
糸井 モニターのないことを、
生物がしていることがほんとうに素敵ですね。

来週に続きます。
日曜日をお楽しみに〜。



今回登場した虫たちをご覧になりたい場合は、
こちらをクリックしてどうぞ。

(検索エンジンgoogleの
 イメージ検索を利用しています。)


コノハムシ
コノハチョウ
ハナカマキリ
トビナナフシ
ヒョウモンカマキリ
ユカタンビワハゴロモ
ビロウドスズメ



※掲載している写真、動画は
 全て海野さんに許可を得て、
 以下のサイトよりリンクしております。
 ありがとうございました。

東京電力「海野和男先生の昆虫教室」

海野和男のデジタル昆虫記

BROBA コミュニティ「Nature & Image」
*「Nature & Image コミュニティ」は、
 2004年3月末日で終了致しました。


イラストレーターのはらだゆきこさんから、
3月、4月のカレンダーが届きました。
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2006-03-12-SUN



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