ITOI

頭出し:電波少年的放送局の62時間。
いくつになっても、馬鹿は馬鹿。

臨時更新で、その時その時の会話をお届け!
数時間ずつ更新で、水曜深夜の座談をテキストでご紹介!!
(※大貫・沼澤・零士対談です)

第1回 (矢野顕子さんの電話篇)

第2回 (零士さんの単行本篇)

第3回 (沼澤さんの友達篇)

第4回 (「商売敵」について篇)

<第5回 大貫さんの農業篇>
 (23日19時50分更新!)

糸井 音楽の場合って、あんまりにも
うれしがられすぎてしまうと、作り手は、
「わたしはあんたの神じゃない」
というところまで来るとは思うんです。
沼澤 そういうつもりじゃないところで
評価されることはどうでもよくて、
「この曲は、こういう意味ですよね!!」
って言われたところで、違う時もある。
ジョン・レノンなんかは、そういうことが
ものすごく多かったと思うんですけど。
糸井 つらかったろうね。
沼澤 ただ、それが伝わらなかったからといって、
「理解してないな、おまえは」
と言うべきものでも、ないじゃないですか。
人に受け入れられていることは、
自分の本意ではなくても、
その人には成立しているから、
それはそれで、ありがたいことで。
糸井 さっきの
遠く広くきかせたい、っていうことは、
お金をつかみたいということと重なるよね。
遠く広くきかせるための
媒介になるものがお金だから、
お金というかたちで貯蔵しておこうという
ことって、あるじゃないですか。

誰でも、
最初から小さく小さく伝えたいなんて、
高度すぎて、求められないことだと思うんです。
「わぁ、ひとりだけに通じることって、
 こんなに、すごいことなんだ・・・」
っていうのは、年とってからわかることで、
このことを伝えるのはひとりでいい、
と最初から思うのは、きついよね。
沼澤 表現するということに
いっぱいになっている時もあるから、
たとえば大貫さんと一緒に演奏する時には、
「大貫さんの音楽のクオリティまで
 持っていくにはどうするか」
「大貫さんがぼくの演奏に何を求めているか」
まず最初は、それをみたすことで
精一杯になってしまうんですよ。
それ以外のことを考える余裕はないんです。
糸井 絵を描いてる最中みたいな集中なんだ。
沼澤 ほんとにそうですよ。
今日のベストを尽くすためには、
それだけを考えるというのでないと・・・。
糸井 そのセリフって、すごくいいわ。
こないだ、トマトの農家の人と話したけど、
その人がやっぱり、
「トマトは飽きないね。毎年一本一本苗が違うから」
って言うんです。
これでいいということもないし、
自然も違うから、同じにやっていいことなんて
ひとつもないから、って。
大貫 ね、台風も吹いたり、すごいものね。
糸井 レコードもおなじだよ。
大貫 うん。
ものを作る状態は変わる。
でも、台風が吹いちゃったような時に
やめちゃいけないのよね。
その時に畑を捨てないで、もういちど
掘っていくと、更にいい畑になるのよね。
わたしも、ずうっとやってきたから。
糸井 「だめかもしれない」と
「だめ」の違いって、すごく大きいよね。
大貫 うん。
糸井 それで、ダメっていうことを
自分に決めさせる権限を持たせる必要はないよね。
「目の前にカベがあります。
 あなたはどうやって通り抜けますか」
っていう心理テストがあるじゃないですか。
大貫 うん、ある。壊したりいろいろ、ってやつでしょ?
糸井 それ、やったことある?
零士さんは、どうするんですか?
カベはどういうものか、決めていいんですよ。
零士 ぼくは、ぶちぬくんですけど、
どうやったら、きれいに抜けるかな、
っていうのを考えるんですね。
着ていた服がよごれたりするの、やなんです。
糸井 大貫さんはどう?
大貫 とりあえずハンマーで、
ベルリンのカベみたいに。
沼澤 ぼくは、ひだりがわからまわって抜ける感じ。
こわごわ様子を見るというか。
糸井 俺は、答えがわかるまで考える、ってやつ。
つまり、いちばんいい答えがあるというのを、
信じていると思うんですよ。
零士 道をきれいにつくった、っていうことを
継承していきたいですね。
大貫 美意識があるね。
糸井 いや、この組みあわせで話をきくって、
なんか、おもしろいね。
零士 なんか、知らなかった世界の話だから、
おもしろかったです。
大貫 さすがにナンバーワンのかた、という感じがある。
きれいだもの。
お顔を見ればわかりますよ。
風通しが、すばらしいもん。
沼澤 うん。


(※4人の会話は、ここでおわりますっ)

このページへの感想などは、メールの表題に、
「電波少年的放送局」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2002-05-23-THU

HOME
ホーム