ITOI

頭出し:電波少年的放送局の62時間。
いくつになっても、馬鹿は馬鹿。

臨時更新で、その時その時の会話をお届け!
数時間ずつ更新で、水曜深夜の対談をテキストでご紹介!!
(※一日目を総括した対談・T部長篇です)

第1回 (1日をふりかえって)

第2回 (事業としてのCS放送)

第3回 (テレビのひずみ)

第4回 (大量生産主義を超えて)

[電波少年的放送局、1日目の総括]
<第5回(24日1時37分更新!)>


しばらくテレビの中で
やらせ問題が騒がれたり、
最近もNHKのドキュメンタリーに関して
いろいろ言われていますけれども、
「テレビがものすごく疑われている」とか、
「人は騙されたくないと感じている」とか
そういうことを思うんです。
そんななかで生放送をする時に、
誠実っていうことを考えるんですよ。
とりあえずのキーワードが「誠実」だと思うんです。
糸井 誠実って、具体的な言葉に直すと、
「情報開示」ってことになりますよね。
それをせざるをえないところまではきていて、
誠実を表現として、
胸をぐっとはりだしてしまうと、
うそくさくなってしまうわけで・・・。

テレビで育った人が
誠実になるための訓練は
できていないだろうから、
毎日、エイエイオー、じゃないけど、
やっていく積み重ねを踏むことが
必要になるんでしょうねぇ。
いまの地上波の中では難しい話で、
いまなら、ぼくが一生懸命はなしているって、
見ている人はわかるじゃないですか。
「そうとう一杯一杯でしゃべってる」って。

4111人のCS加入者の中の
何人かは知らないけど、誰かが見ている。
それで、次の日に、
「昨日テレビで
 Tがイトイさんと話していたんだけれども
 一杯一杯だったけど、
 でもあいつ、がんばっていたぜ」
とお客さんが言ってくれていたとしたら
それなんじゃないかと思うんですよ。
糸井 それですよねぇ。
なんか、光りの方向が見えたみたいよ、
っていうところに、やっぱり興味を感じますね。
一杯一杯っていうのは、
ぼくもやってきたと思うんですよ。
ぼくも一杯一杯でやってきて、
でたらめな方向に一杯一杯というのと、
あっちににおいがあるよね、っていう方に
一杯一杯なのとは、全然違うから。

ぼくは他人を見ている時にそう思うけど、
そっちに行くとまちがうから二度としないとか、
そういうことで、ぜんぜん違うじゃないですか。
はずれてもいいという
やけっぱちじゃない一杯一杯さが・・・。
「いつでも退けるよ」
という感じではない一杯一杯感とでも言うか。
ぼくも一杯一杯です。
わかんないことばっかりですよ。

ふつうに知らない人として見ると
こうですよ、という姿勢が、
何度も考えを揺り戻しますよね。

批判するためにものを見ている人っていうのは、
あんまり意味がないと思うので、
なるべく「要らないんじゃないか」とか
「お前がやってることって、何なわけ?」
とか、言おうとするんです。そのほうが、
「・・・でも、要るんだ!」
と言うふんばりが効くと思うんですよ。
イトイさんは、この「ほぼ日」を
もう4年やられてきていますが、
それは、何なんですか?
糸井 なんかその向こうが
みんなの行く方向だ、っていうことが
俺のほうが
ちょっとわかるような気がした、っていう。
そっちに行かないと、
「せーの」で溺れる人になるのは、
生き物としてつまんないですよね。

どっちの岸に辿り着くの?っていうとこでも、
泳ぐ方向を知った上で泳ぎたいですよね。
それが、ちょっと違ったと言いながらも
「ほらね、ここまでは来た」と、
うしろを向きながら泳ぎ途中で息をついてみたり。
そうやって、泳ぐこと自体を楽しみながら
どこかに辿り着きたい、という。
ネガティブでやっていく時代は終わって、
「見えるぞ!」と言いたいんです。

実はそういう仲間があちこちに
ぽかぽかぽかぽかいるっていうか。
体感できる感じがあるっていうか。
糸井 ありますね。
泳いでる方向が。
糸井 少なくとも、
いまぼくが話しているようなことって
5年前に言うと、なんか
ホラ吹いているように思えたんですよ。
Tさんが、さっき、使いにくそうに
誠実という言葉を使ったけども、
いまは、使えるところまでは来ている。

これを更に、ユーモアを入れながら
はなせるようになったとしたら、いいですよね。
その遊びをしていること自体によろこべる。
冒険自体によろこべるというのは、
やっていて、実感できるんじゃないでしょうか。
なんか違う、っていう時には、
かならず、ツケがまわってきますからねぇ。
いま電波少年的放送局は
3か月弱なんですが、これが将来、
ほんとうに、どうなるんだろうなぁ、と。
CS今日は45人増えたというリターンの中で
やっているリズムは、とりあえずはおもしろいです。
二十何年やってきた地上波のリズムとは
ぜんぜん違うものですから。

とにかく一年やってみて、
勝手に手をあげてやっているから
手をさげるというのも勝手だと
会社には言っているんですが。
糸井 一年っていうサイクルって、
何かをやる時には、そうとう短いですよ。
何にもできなかったぐらい思えるぐらいに、短い。
ぼくはほぼ日をやる時に、
3年後に3万人の人がいる、
っていうイメージに、自信を持てたんですよね。
社員もアルバイト程度しかいない頃から
はじめたけれど。

「根拠ないけど、なるんだよ」
と思ってやっていたんですけど、やっぱり、
確かにどこかで「ほんとかよ?」はあった。
根拠をしめせていないから。
でもわかるみたいなの、あるよね。

今のCSが4000人。
はじめて数か月って、ゼロなんですよ。
道ができたぐらいなものだと思う。
3年我慢させるほど、会社は
この事業をやらせてくれないですよね?
いや、たぶんこのペースでいくと、
だいじょうぶですよね。
でも、できるかどうか、
自分の体力には自信がないですよね。
糸井 それは、するんだったら、
しなきゃだめなんじゃないですかね。
案外、1年後に、
「いま2万まできたんだから」
とか言ってるかもしれないですが。
糸井 この放送局と何かを足して
なんかになってるかもしれないし、
足したものが大きくなるかもしれないし。
いまTさんがこれを
「投げにくくなってる」
感じは、わかりますよ。
まぁ、当面はやってみますので、
また見て下さい、ということで。
糸井 はい。
じゃ、次のゲストのかたが
もういらっしゃってるんじゃないかと。
糸井 うん、そうだね。


(※T部長とdarlingの対談は、ここまでです!)

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2002-05-23-THU

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