ITOI

頭出し:電波少年的放送局の62時間。
いくつになっても、馬鹿は馬鹿。

臨時更新で、その時その時の会話をお届け!
数時間ずつ更新で、水曜深夜の対談をご紹介!!

[電波少年的放送局、1日目の総括]
<第2回(23日23時更新!)>


CS放送には、ふたつ山があるんですよね。
チューナーという大きな山を超えたあとに、
「電波少年的放送局」の
セットなり毎月800円の値段を
払ってもらうというもうひとつの山。

極端に言うと、1か月の中に
5秒、見たい場面があるかなというのが
あれば、契約は継続してくれるのかなぁ、と。
だから、ずっとおもしろいヘンな話は、必要ない。
糸井 その5秒って、理念としてはわかるんだけど、
そんな5秒がどこにあるのかなぁという話で。
すっごい阪神ファンの人が、
檜山のホームランを見たいといっても、
テレビがやってくれますよね。
ただ、あり得ない話ですけど、
その檜山が家に帰って、
「今日、打ったぞ」と奥さんに言う瞬間が
もし流れる可能性があるとしたら、
そしてそれを放送が狙っていると思えるとしたら、
ありうるわけですよね。
糸井 それは「if」がものすごく多い話ですよね。
檜山に関しては無理なんですけど、
地上波が基本的にやらないと
言っていることに関して、
ある程度考えられうる媒体ということは、
あるのかなぁ。
糸井 ほんとうに10万人でいいんですか。
10万人でも採算あわないですよね?
・・・これはね、
どのくらいここにかけていくか、なんですよね。
当然のことながら。
糸井 うん。
たとえば、スカパーが、いま
300万人を突破しようとしている。
最初は100万人でペイラインに
達すると言われていたんですけど、
しかし今もまだペイしていないんですよね。

それはなぜかと言うと、
ワールドカップの放映権を買うからなんですね。
糸井 そうですね。
この電波少年的放送局は、
かなりシンプルな状態でやっているから、
どこまで投資するかによるんですけども。
まぁ、そこの判断でしょうね。
糸井 例えば、ムードの問題もあるんですけど、
機械買うのに7万円として月額800円って。
ものすごく弱気に見えますよね。
そこのところで、タダに近いところで
やりますよというのは、
「あぁ、やる気ないな」
っていう感じがありますよね。

これが5000円で、とんでもないことを
やりますよというところを800円に下げたのと
かなり違いがあって、まだこう、全体の
戦いをしていないような気がしているんですよ。

少年の知恵と勇気だけで
どこまでいけるのかという電波少年的発想って
非常におもしろいんだけど、
実は、バックに電波少年だったら電波少年の
その時間をぜんぶ使えるということって、
ものすごく大きいですからね。
こちら側に、正力松太郎が作った
地上波の広告媒体という
非常に大きなビジネスモデルがあるから、
電波少年というのが成立しているんですよね。
それとまったく違うビジネスモデルに、
CSというのは、なるんですよね。

それに関してはぼくも感じているんですけど、
少年のやんちゃな心だけでやっていくのは違う。
どこかで、毎日増えていく加入者数が
どこかでブレイクする日があるんじゃないか。
いまはおなじような波が続いているけど。

ぼくはサラリーマンだから、
ここに関してのリスクはまったくないんですよね。
50年来のビジネスモデルではないかたちで
やっていることがとても刺激的だし、
個人的にリスクを負っていないということは、
おもしろいことをやらせていただいているなぁと。
糸井 ゲームとしてのおもしろさであって、
事業としてのおもしろさと
両立させるのは、非常に難しいでしょうね。
これを事業部にして、
「Tさん、お金をかすぞ、やってみろ」
と言われた時の真剣さと、
実験場としての動機とは、違うと思うので。
ただ、ぼくは電波少年を
10年ぐらいやってきましたけれども、
サラリーマンだからできたと思うんですよ。

いわゆるプロダクションの時代と
言われていますけれども、リスクの限界を
「クビになればいいや」
というところにおいているからこそ
できたということがあると思うんです。
その癖がついているんです。

何十億もらって、
「お前のリスクでやれ」
と言われたとしても、いまそれだけの
リスクでやれるかと言うと、45歳まで
ぼくはできていないですよね。
糸井 そうですね。
そんな練習をできている人は、
そんなにはいないですよね。
仮にうまくいったとしても
ぼくはもうからない、リスクもない、
という癖でやるしかないかなぁと。
それを、毎日の伸びの数字で、
いままでの番組をキープしてきたようにやる。
今まで、CD売ってきたり本を売ったりしましたよね。
それは何かなということをやってみたい。
糸井 正力松太郎以来の、という大店が
稼ぎだしてきた面積がそうとう大きいわけで、
電波少年が広告媒体として使うところを
ものを売ったりして独立採算でやれと
言われたとしても、厳密にやってったら
そうとうおそろしいものですよね。
ええ。
糸井 だから、そういう冒険じゃない方向なのは
わかるんですけど、Tさんが
「おまえ、命かけろよ」に似たことをやらせて、
追い込めば追い込むほど出てきたものが、
おもしろいですよね。
じゃあ、Tさんは、自分の生命力を
ガーッと出すやりかたを、できるのでしょうか。
Tさんの年収ぶんしか負えないんじゃないか。

サラリーマンなのに負債を負ったとか、
そういうふうになれば、
逆に見たくなりますよね。
ぼくはどこかで、
社員という線をひいたからこそやってこれた、
思いきり振りまわせた、当てにいかずにすんだ、
というのがあります。
リスクを負わないことによって、自分が
正力松太郎とは違うビジネスモデルを
かたちにしたというのは、死んだ時に
「おっしゃあ!」って言えるかなぁ、と。
そこでがんばることができるのかなぁと、
そういうイメージですよね。

ひとつの反面教師として、
先行したBSというのがあるわけです。
商社とかが資本力を出そうとしたけれども、
限りがあった・・・。
そこでCSがあるけれども、
どこもノーアイデアなんですよね。
でも、やらなければいけないということで、
どこもがスタートしていった。

「ボールを持ってくれ」と言われた時に
ぼくが持って、走り出したというのが
いまの状態なんでしょうねぇ。
糸井 まったくぼくが
Tさんとかを知らないでいたとしたら、
「そんなCSなら、
 なくなればいいんじゃないか」
と言うのが、ごく健康な感想だと思うんですよ。


(※つづきは、数時間後に更新いたします。
  かなり踏み込んだ話をしていきますので、
  おたのしみに!!)

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2002-05-23-THU
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