ほぼ日刊イトイ新聞 - カッパとウサギのコーヒーさがし

	福田さん、おかえりなさい！
	どうも、帰ってきました。

	やー、久しぶりの更新ですね。
	そうですねえ‥‥。前の更新は去年の１２月です。
	‥‥すみません、更新できずに。取材はいくつかしてるのに。ＫＯＮＯ式への取材とか‥‥。
	待ってますので、よろしくお願いします
	はい、ちゃんとやります。 ‥‥それはともかく！取材済みのものもございますけれども、今回はなにをおいても「福田・イン・フィンランド」のお話をお届けしたいと。
	はい。
	すごいですね、やりましたよ、ほんとに。フィンランドで個展って。
	今回は「ほぼ日」でもお馴染みの森下ヒルトゥネン圭子さんにコーディネートしていただいたので。もう、そのおかげです、ほんとうに。
	武井さんもいっしょに行ったし。
	同行していただいて心強かったです。
	で、いかがでしたか、ざっくりと。
	はい、ざっくりと。すごいよかったです。ちょっといま、フィンランドかぶれになっています。

	あー、かぶれてる。「フィンランドではさあ」とか言っちゃいますか。
	言っちゃいますねぇ。「日本はだめだよ」とか。
	うっとうしいですねえ（笑）。そんなにいいのは‥‥やっぱり水が？皿をしめらす水がいいんですか？
	あー、久しぶりですね。その、むりやりカッパの話にもっていく‥‥ あぁっ！　でもそうだ！水が、すごいよかったんですよ！
	うそ（笑）、ほんとですか？
	よかった。あのね、水道水がすでにムネラルウォーターみたいで。
	なんですか？
	ミネルアル‥‥ええと、あのね。
	ミネラルウォーターですね。興奮のあまり言えてないですね。
	そう。フィンランドっていうのはですね、 ‥‥っていう言い方がもう、かぶれてるんですが。
	大丈夫です、続けてください。
	岩の上にできてる場所なんですよ。
	ほお～。
	で、「なんちゃら湖」ってところから、水を引いてきて、岩盤をとおって、ヘルシンキにやってくる。自然に濾過されてるから水がおいしいとフィンランド在住の日本の方からメールで教えていただきました。
	へえ～。あとあれですよね、たしかフィンランドは、コーヒーの消費量が世界一なんですよね。
	そうそう、そうなんです。
	ちなみに、きょう持ってきてくださったそのコーヒー豆は？

	これは「アアルトコーヒー（aalto coffee）」というところの豆です。
	はい、徳島で焙煎された豆ですね。おいしいです。
	これを淹れながらお話ししますけど、山下さん、「アアルトコーヒー」の「アアルト」ってどういう意味かしってました？
	や、しらないです。
	アアルト。アルヴァ・アアルトっていう人がいたんです。いわゆるフィンランドを代表する、フィンランドのデザインの基礎を築いたすばらしいデザイナーで、建築家の人の名前なんです。

	へえー。
	その名前にちなんだコーヒーが、徳島で焙煎されてる。で、またおもしろいのは、徳島っていうのがじつは、日本でいちばんコーヒーが飲まれているところなんです。
	へえーー！　おおーー！
	だから、えー、アアルトというものと、フィンランドと徳島と日本一と世界一と‥‥。ええと、あの、なんだ。
	「いろいろつながった」ということが言いたいわけですね。
	それです。ふぉふぉふぉ。

	なんで笑うんですか。
	わかんないです。とにかく、これはもう、フィンランドの個展のオープニングで淹れる豆はこれしかないだろうと。
	あー、なるほど、じゃあ、この豆を持っていったんですか。
	はい。
	やるなあ～、いろいろ考えてますねえ～。そういう、いきなはからいで、個展の初日にギャラリーでコーヒーを淹れたと。
	ほんとはカッパとウサギで淹れたかったんですけど。
	そりゃぼくだって行きたかったですよ‥‥。
	山下さんのかわりに、これを持っていきました。

	え、え、なんですかこれ？！すごいすごい！カッパとウサギの指人形だ。
	広島の編み物作家さんが送ってきてくれたんです。保里尚美さんというかたが。
	これを一緒に持っていってくれた！
	あと、そうだ、おみやげがあります。（がさごそ）はい。

	‥‥おおー！
	これも。

	うーん、すばらしい。これは、「アラビア」のものじゃないですか。
	そうですね、同じ作家さんのものです。そういううさぎを描いている。
	いや、ありがとうございます。うれしいな、これは‥‥。あの、じゃあ、ぼちぼち、福田さんがコーヒーを淹れた、個展初日の写真をみせていただきますね。福田さんはコーヒーを淹れててください。
	わかりました。（ゴリゴリゴリ‥‥）
	よいしょ（パソコンを操作）、個展はこんなギャラリーで。

	はい。
	あー、いいですねー。並んでる。

	ここで淹れました。
	心配だったんですよ。ちゃんと向うでコーヒーは淹れられたのか、よろこんでいただけたのか。
	こんな具合で。

	ああ、人がたくさん。
	ほら。

	あ、やってるねえ！やってるやってる！！
	なにしろアウェーだったので、道具がつかいこなせなくて。

	おお！　でもいい感じじゃないですか。緊張しましたか？

	緊張というより、大ざっぱになっちゃって。
	え？　大ガッパ？
	‥‥スルーします。

	ああ、いい感じだなあ。
	初日から絵も売れて。なんかそういうことってあんまりないみたいで。このかたも買ってくれた人です。

	すばらしいじゃないですか。
	みんなにえらいホメられました。あれだけホメられると、だれでもフィンランドかぶれになりますよ。

	そうかぁ‥‥ん？この写真はまた、かなりカッパ感が。

	ほんまや（笑）。
	皿の部分が写ってないけど。
	ふぉふぉふぉふぉふぉ（←笑い声）。
	あ、こっちは写ってる、皿の部分。

	プレゼントもらって。この箱の中には「しりこだま」が？
	ふぉふぉふぉふぉふぉ。

	おお、淹れてる淹れてる。「がんばれ福田ー」

	ふぉふぉふぉふぉふぉ。
	淹れてますねえ。 ‥‥あれ？　この人は？

	いや、あの、武井さんです。
	しってます。なぜこの人が？
	初日はやっぱり挨拶とかせなあかんので、実際コーヒーを淹れられたのは最初の１回だけで‥‥。
	あとはこの人が‥‥？

	はい。助けてもらいました。
	ま、まあ、仕方ないですね、それは。よしとしましょう。フィンランドの人は、どうでした？コーヒー淹れてると見にきました？
	きました。珍しいみたいで。向うの人はなんか、ヤカンに豆をばーっと入れてそれで飲んでるみたいなんです。

	へえー。ああ、そうか、たくさん飲むから。
	だから、こんなにていねいに淹れることはないって。
	よろこんでくれましたか。
	はい、たぶん。
	たぶん？
	あの、外国の人って、押しが強いとかアピールがすごいとかそういうイメージありますけど、フィンランドの人にそういう先入観で接すると肩すかしをくらうというか。みんなシャイなんです。心優しくて親切で。
	なるほど、シャイなんですね。じゃあ、シャイな人たちの感想はどんな感じなんですか？「グレート！」とかじゃないですよね。おいしいってのはどう表現するんですか？フィンランドのおいしい顔をお願いします。
	んとね‥‥こう‥‥こう飲んで‥‥。

	こうですね。

	わははははは！それくらい？　それくらい微妙なんだ？！
	ほんとにこれくらい小さな変化なんですけど、森下さんによると、あれはすごいよろこんでると。
	最大の。
	最大の。
	へーーー。そういう人たちって、福田さんに合ってますよね。
	そうなんです。だから山下さんも合うと思います。ストレスがなかったんです。外国に行ってストレス感じないっていうのは、ほんとにそこはいい国だということです。
	‥‥どこかでひどい目にあったんですか？
	‥‥パリに行ったときに、お酒が飲めないので水をくださいと言ったら、「こいつ水だって、ははははぁ～」
	お（笑）、いいですね、今の顔も。「こいつ水だって、ははははぁ～」の顔、もう一度お願いします、撮るので。
	「こいつ水だって、ははははぁ～」

	はい（笑）、撮りました。しかし、つらぬいてますねえ福田さんは。世界中で、水。世界中で、からかわれる。
	はい。
	なにしろ、展覧会はおおむね好調で。
	はい、びっくりするくらい。
	絵が売れたんですからねえ。
	あ、それと、こういう、（がさごそ）コーヒーの缶をつくったんですけど。

	あ、かわいい。
	これも大好評で。持っていったのが足りなくなって、注文だけ受けて、いまは待ってもらってます。
	フィンランドで、待っている。
	待っている。
	すごいなー。 ‥‥あ、もしかしてこれ、３つそろえるとマトリョーシカみたいに。
	そうそう。
	お、お、お（入れる）、ほんとだ。

	ありがとうございます。
	‥‥やりますねえ。
	すみません。これ、日本でも発売しますので。
	日本でも！言い方がかっこいい。
	すみません（笑）。５月１日の東京での発売イベントでは、また山下さんに手伝ってもらうことになって。
	そんなの、行きますよ、ぼくでよければ。（くわしくは下のおしらせを）
	よろしくお願いします。
	こちらこそです。いやあ、ほんと、ぜんぶひっくるめて、よかったですね。
	はい、しあわせでした。
	どのくらいしあわせでした？
	どのくらいって‥‥。ええと‥‥あの‥‥。あ、昨日ですね、じつは、足をもつらせて転んで後頭部を打ったんです。
	‥‥なにやってるんですか。
	テニスをやってました。
	ツペラツペラと？
	そう、ツペラとテニスしてて、こけて、一瞬記憶がないんですよ。

	あぶないなあ。
	ほんとうに後頭部からコーンって打って、その打った瞬間に、あのー、なんかね、ぼくは、いろんなことが、ほんとうに、あの、ほら、言うじゃないですか。
	走馬燈？
	それです。それの軽いやつ。ヘルシンキがすごいよかったことが、この、頭を打ったことでわあっと、こう、よみがえったんです。 ‥‥それくらいしあわせでした。
	そうですか。
	いまもすこし首が痛いです。
	病院にいってください。
	‥‥コーヒーがはいりました。

	いただきましょう。
	いただきましょう。
	ぼくは、おみやげのカップで‥‥。

	（のむ）
	‥‥ああ、おいし。
	うん‥‥。おかえりなさい、福田さん。
おつかれさまでした、よくがんばったね。
	（フィンランドのおみやげ話はおしまい。　またお会いしましょー）