その「水没林」事件のとき喧嘩して、
中村が、「猫、飼う‥‥」って泣いたんです。
糸井重里も、ブイヨンを飼いたくて、
でも家の都合であきらめなきゃいけないって
なったとき、泣いた
、といいます。
それにそもそもたかしまさんの
「水没林」発言があって、
「これじゃ無理だろう」って思ったから、
泣いちゃったんですよ?
そうですよねえ。
「この男じゃ無理だろう」と(笑)。
一同 (笑)
それで、どう思ったんですか?
そこまでって思いましたか?
泣くなんて、って?
中村は涙もろいんで、
涙に驚いたわけではないんですけれども、
「そこまで言うなら仕方がないな」って、
またキャリーの色塗りを再開した感じですね。
ちょっとかっこよく言ってませんか。
わりとぶっきらぼうに
「じゃあ、飼えばー」みたいな。
でもまぁ、やっぱり僕もそんなふうに言いつつも、
猫と暮らしたいなっていうイメージが、
お世話のことはさておき、
もちろんあったので、
「じゃあ、そこまで言うなら、
 頑張ってみようか」と。
それで、1週間して、
仔猫に会いに行ったんですね?
はい。
キャリー持って、
電車に乗って行きました。
最初の会ったときの印象っていうのは
覚えてるもんですか?
いや、もう本当に衝撃的だったんですよ。
その保護してくれた
シヨリさんっていう方が、
もう1匹猫を飼ってらっしゃって、
それはちょうど1年ぐらいの猫ちゃんなんですけど、
その子を抱いて、ガラガラって出てきて
「あ、いらっしゃい」、
「はい、こんなに大きくなりました」
って見せたんですよ。
え(笑)?
で、僕らは仔猫のこと知らなかったんで、
この間見せてもらった猫が、
1週間でこんなに早くでっかくなるんだと思って(笑)
びっくりしちゃって。
一同 (笑)
そしたら「ウソ、ウソ。ウソですよ」って言われて、
「こっちです」って紹介されたソファの上に、
本当にやっぱりこんな(両手にすっぽり収まる)
ちっちゃいナロがいたんですね。
掌に乗る。
はい。もう本当にちっちゃくて。
生後3週間ぐらいだったみたいで。
ナロは生後5日ぐらいで拾われて、
その、まだ2週間ちょっとぐらいは、
そのシヨリさんっていう方が
育ててくれてたんですけど、
自分は忙しくて
ずっとは見ていられないので、
在宅でずっと見ていてもらえる方に
お願いしたいということでした。
ほんとうにちっちゃかった。
もう目を奪われるとはこのことですよ。
もう、ただ、あまりの小ささに
どう触っていいかもわからなくて。
で、そのシヨリさんの仲のいいお友達が、
「今日でナロちゃんは他の方に引き取られていくよ」
っていう話を聞いて、見に来たんですよ。
まだ、ナロじゃなくて、
チビちゃんって呼ばれてたのかな。
その人が抱いてらっしゃったのを、
手渡ししてくださったんですが、
「はい」って言われても、
「どう、どうすれば?!」みたいな感じで、
おっかなびっくり触ってたんです。
それが、びっくりするぐらい、
懐(なつ)っこかったんですよね。
へぇ。
恐る恐る手に乗せたら、
チュパチュパチュパって、
手を吸い始めちゃったりして。
おっぱい吸うみたいに。
そうしたら、なんかもう
「じわー」ってこう、
たまんなくなってきちゃって。
その「じわー」は、
よく絵にも描いてらっしゃいますよね。
はい。「ドバー」とか。
もう、離せなくなっちゃいましたね。
中村さんは、ちょっとやきもちに似た
気持ちにはならないんですか、それは?
やきもちというか、
たかしまはもうすっかり心を奪われていて。
「しめしめ」(笑)?
はい、その「しめしめ」もありつつ、
私たちが初めて猫を飼うっていうことで、
すごく細やかに説明をしてくださっていたので、
それを頑張って聞くのにせいいっぱい。
なのにたかしまは、もう全然。
もううっとり(笑)?
「心ここに在らず」みたいな、
ナロと2人の世界に入ってしまっていたので、
まぁ、じゃあ、あそこは放っておこう、
私はお世話のことをちゃんと聞いておかなくちゃ、と。
いざというとき冷静なのは、女性の強さですね。
そうですよねえ。
そして、いざというとき、だめっていうのが、
たかしまさんの男らしいところですね。
そうですね、はい。
当時はまだ、固形物、フードを食べてなくて、
ミルクをあげなきゃいけないんですが、
「じゃあ、ちょっとあげてみますか?」って、
もう、たかしまは、できあがったミルクを
「わーい」ってあげるので満足じゃないですか。
でも、こっちは、そのミルクを
どうやってその状態にするのかっていうのも
知らないので、
「何度くらいのお湯で
 このくらいを1回に作って」みたいな説明を
いろいろしてもらって。その間、たかしまは
「わーい」ってあげていて。
「上手に飲ませなきゃ」みたいなね。
(笑)でも、わたしはまだ疑ってて。
それも、シヨリさんの手前、
やってるだけだろうな、ぐらいに。
「家ではやらないんだ、きっと」?
家に帰ったら、私が全部やるんだなと。
でも、この仕事は
俺の仕事だってそのときはもう思ってました。
思ってた? 実際は?
やりましたよ。
中村さんは意外でしたか?
そう。帰ってきたらもう
「ミルクは俺の仕事」みたいになっちゃてて。
作り方を聞いてないから、
中村から習って、改めて。はい。
へえ!
だって、いないときね、
僕があげなきゃいけないから。
夜起きてるので、助かりました。
夜の間も、2時間、3時間置きにあげないと、
本当はいけないって言われて。。
人間のあかちゃんもそうですよね。
そもそも猫は夜行性だし‥‥。
夜行性ですね。ちょうど、その辺でも
フィーリングがばっちりで。
それも運命だなっていう気がね、
ちょっとしますね(笑)。
結構皆さん、人間の生活に合わせるように、
猫に慣れていってもらっているみたいなんですけど、
うちはもうその本能のまま、
昼は寝て、夜は起きるみたいなことで。
自然な形でね。
自然な感じで(笑)。
そこで「あすナロにっき」という
ブログが始まるわけですよね。
   


(つづきます)


2010-12-21-TUE