これまでのこと、ブタフィーヌさんのこと。

第5回 たかしまさん、編集部に勤める。

── システムエンジニアをやっているときに
イラストを仕事にしたいと思い立って
Macを買って有休で東京に部屋を探しに来て、
「イラストレーター募集」とあった
雑誌MacFanに面接を受けに行く。
でも作品がないから、
コドモ向けのソフトでしまうまを描いて
持っていくことにしたと。
‥‥無鉄砲ですね。
たかしま 無鉄砲ですね。
とりあえず、翌日の面接では
「作品をお願いします」って言われて、
「あ、これ昨日描きました」
ってフロッピーを渡したら、
読みこめない、って言われて。
そのソフトが編集部になかったんです。
── はははは。
家庭向けソフトだから
プロの使うMacには
入ってなかったんでしょう。
たかしま はい、イラストレーターとか、
フォトショップという
プロが使うソフトしかなくて。
「作品、見れないんだけど、
 どういう経歴ですか?」
っていうことで、
いままでの経歴を話したんですよ。で、
「‥‥なんでイラストレーターになりたいの」
って話にやっぱりなって。
そうしたら、イラストレーターとして
実績がないと雇うことはできないと。
── それはそうでしょうね。
たかしま ただ、コンピュータ詳しそうだし、
好きだっていうのは、わかったから、
編集者としてだったら雇ってあげるから、
編集の仕事をしながら、
イラストレーターの勉強もしてみたら、と。
── いい面接官に会いましたね。
たかしま それが当時の編集長だったんですよ。
そう言ってくださって、
「それは、もうぜひお願いします」
ということで、
大阪に戻って辞表を書くわけです。
「すぐ来てください」って言われたんで。
── 身辺整理して、すぐ来ますと。
たかしま はい。
── でも、編集者。
たかしま はい、編集者になりました。
MacFanって、
毎日コミュニケーションズなんですけど、
社内でも、新しいジャンルの雑誌ということで、
けっこう売れ始めて勢いのあるときだったんですね。
それで、編集部員もどんどん増やしたい、
っていうちょうど、いい時期だったんですよ。
そういうのもあって、
入れてもらえたと思うんですけどね。
── どんな仕事をしたんですか?
たかしま 初仕事は、スージー甘金さんの取材でした。
イラストレーターさん取材するからってことで、
連れて行ってくれたと思うんですけど。
── また、いい先輩に巡り合いますね。
たかしま くっついて行っただけで、
雑用をやってたんですけど、それが初仕事で、
そのあと、いきなり担当を
持たせてくれたんですよ。
ぼくが、担当持ったのは、
女性のライターさんの連載と、
電脳奥様(ハイパーおくさま)っていう
当時連載されてたマンガなんですよ。
そのふたつを連載の担当として
仕事をしていくわけですけど、
それがイラストレーターになる
転機になるんです。
あるときに、先輩の編集者が
第2特集の扉と中の絵を
ぼくの担当してた
電脳奥様(ハイパーおくさま)の
後藤ユタカ先生に描いてもらいたいってことで、
きみちょっと担当だから、帰りに先生のとこ寄って、
お願いしてきてって言われて、
わかりましたって言って、
だいたいの概要を聞いて、帰るんですけど、
ぼくは、寄らずに家に帰ってしまうんですね。
── ‥‥なぜ?
たかしま 家で徹夜して、ぼくが描いてみたんですよ。
── ‥‥え?
たかしま はははは。
── また思い切ったことを‥‥。
たかしま いま思うとほんとに、
なんか、もう‥‥。
── 突き動かされたんですか。
たかしま はい‥‥。
いましかない! みたいな感じで。
── で、描いたんですか?
たかしま 描いて、つぎの日に、
「先生のところ行ってきてくれた?」
って言われて、
「すいません、行ってません」
「わすれちゃったの?」
「いや、忘れてないんですけど、
 ちょっとこれ見てください」
って、その描いてきた絵を。
── そこで見せたら。
たかしま 激怒されて。
── 編集長?
たかしま いや、先輩の編集者です。
「そんなこと頼んでないよ、きみに」
って言われました。
2008-12-12-FRI
(つづきます!)
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