9月13日行われたイベント
「智慧の実を食べよう。 300歳で300分」の
翌々日にdarlingは

「一日おいたのだけれど、
 いまだに、『智慧の実を食べよう』というイベントが、
 どういうものだったのか、整理しきれていません。
 「知」を「明るさ」と結びつけられたということ。
 「明るさ」と、「軽さ」かなぁ。
 それが、とても大事なことだったと思うんです。
 明るく、軽く、5人の方々に触れられたということが、
 たぶん、とてもとてもいいことでした。
 次に何をするにしても、明るさ、軽さを
 忘れないようにするつもりです。
 とにかく、ここ数日は、頭がいっぱいで、
 ぐるぐるしちゃったままになりそうです。
 そのくらいぼくにとっても大きな一日でした。」


と書いていました。

合計年齢378歳の長老たちが語ってくれた「智慧」を
自分のものとして消化して、
身に付けることはそうそう簡単なことでは
ないかもしれません。
少しでも理解を深めるためのヒントとして、
長老の方々の本を
読んでみるのはいかがでしょうか。

今週、そして来週の2週にわたって、
雑誌ダ・ヴィンチでとりあげられた
長老たちの著書を、永江朗氏の解説で
あらためてご紹介させていただきます。

まず、講演では「共感性の経験」をテーマに
スタートを切ってくださった
心理学者詫摩武俊(たくまたけとし)氏です。

【本】 2003/09/17

好きと嫌いの心理学

著者 詫摩武俊
定価 660円
ページ数 203ページ
出版社 講談社現代新書
ISBN 4-0614-5609-1
●関連するほぼ日のコンテンツ
【人との結びつきを考える 詫摩武俊さん】


●本を買いたい方はこちらへ
【Amazon.co.jp】
夫婦や恋人、カップルは、好みが似た人が多い。
似ているから好きになるのか、
好きだから似てくるのか。
そもそも、私たちはなぜ特定のものが
好きだったり嫌いだったりするのだろう。
赤ん坊のときに刷り込まれるから? 
それとも自分に欠けているものを補おうとするから? 
好き/嫌いの根源を考えていくと、
人間のいろんなところが見えてくる。
詫摩さんはたくさんの心理実験や調査をベースに
考えていて、机上で考えただけのこととは
ひと味違う。
(協力:ダ・ヴィンチ編集部/永江朗)

【本】 2003/09/17

 

伸びてゆく子どもたち

著者 詫摩武俊
定価 660円
ページ数 203ページ
出版社 中央公論新社
ISBN 4-1210-0773-5
●関連するほぼ日のコンテンツ
【人との結びつきを考える 詫摩武俊さん】

●本を買いたい方はこちらへ
【Amazon.co.jp】
親はなくても子は育つ。
とはいえ、親や周囲にいる大人たちがつくる環境は、
子どもが育っていくのにとても大きな影響を及ぼす。
厳しく育てればいいというものでもないし、
優しいからすくすく育つというわけでもない。
もちろん学力や偏差値ではない。
でも、大人たちのちょっとした関心や振る舞い、
あるいは年齢の近いきょうだいたちの存在が
子どもの育ち方を変えていく。
それに子どもたちの育ち方によって、
親や大人たちも変わっていく。
(協力:ダ・ヴィンチ編集部/永江朗)


つづいて、力強い動きとともに、
「普通に生きること」について語ってくださった
吉本隆明さんの著書です。

【本】 2003/09/17

今に生きる親鸞

著者 吉本隆明
定価 740円
ページ数 195ページ
出版社 講談社
ISBN 4-0627-2089-2
●関連するほぼ日のコンテンツ
【ケモノ道をゆく思想家 吉本隆明さん】

●本を買いたい方はこちらへ
【Amazon.co.jp】
親鸞について多くの本を書いてきた吉本さんが、
わかりやすく語り下ろす親鸞の全体像。
じつは親鸞以前の日本の仏教は、
貴族や武士など限られた人々のものだった。
なにしろ動物を食べたり、
結婚することは禁じられていた。
厳しい修行もしなければいけない。
そんなことは普通の人には不可能だ。
では普通の人は永遠に救われないのか。
そんなはずはない、と親鸞は考えた。
親鸞は普通の人が普通に生きることに救いを見出す。
(協力:ダ・ヴィンチ編集部/永江朗)

【本】 2003/09/17
悪人正機

著者 吉本 隆明
定価 1,200円
ページ数 282ページ
出版社 朝日出版社
ISBN 4-25500091-3
●関連するほぼ日のコンテンツ
【吉本隆明・まかないめし番外。
 老いのこととか、人類の言語の獲得とか。】

【吉本隆明・まかないめし。
 居間でしゃべったまんまのインタビュー。】 

【吉本隆明・まかないめし二膳目。
 こんどは日本近代文学の話が中心です。】

●本を買いたい方はこちらへ
 【Amazon.co.jp】
約1年間、毎週、吉本さんのことばをまとめて
徹夜で原稿作っていたもんな。
しんどかったけれど、どんな質問にも、
それこそ快刀乱麻って感じで答えてくれる吉本さんは、
なべぶた持った武芸者のようだったし、
同時にそのへんのおじさんみたいだった。

この本のなかで吉本さんは、
「どんなことでも、10年間、毎日続けたらものになると、
断言しています。
小説を書くことでも、靴をつくることでも、
とにかく毎日、どんなちょっとでもいいから続けること。
それを10年間積み重ねていったら、
一流になれるかどうかは別にして、
それで食えるようになる。というような話でした。
これを聞くと、「ほんとうかな?」と思う人と、
「そんなに簡単なものなのか?」と思う人がいるようです。
ぼくは、その場では「ほんとうかな?」と
感じたような気もします。
そのことを見越したように
「俺の首をかけてもいいよ」と、笑いながら
吉本さんはあえて断言したのでした。
しかし、いま、あらためて「あれはほんとうだ」と、
かなりの深度で感じられるようになりました。
それは、4年半、毎日「ほぼ日」をやってきたせいです。
「毎日」のおかげで、ぼくも、ぼくらも、
目に見えない力や、自信をつけつつあると思います。
意地でも絶対に休まない、
休むときには休むための何かをする。
つまり、一日たりとも、
頭から離れてないというつきあいを、
「ほぼ日」としてきているわけです。
(darling)

とにかく何でも質問する糸井重里さんに、
どんな球でも必ず捕ってしまう吉本隆明さん。
「本当に困ったんだったら、
 泥棒して食ったっていいんだぜ」という言葉から
生きることについて考え、
「そんなに『正義』がすばらしいか」といってしまう。
親鸞は善人よりも悪人のほうが救われるんだ、
といったけど、
それと同じくらい衝撃的というか逆説的というか。
常識なんてあまり信用しない方がいいかもしれない。
頭が柔らかくなる。
(協力:ダ・ヴィンチ編集部/永江朗)

そして、今週の最後は、
犠打世界記録を達成した川相選手や
巨人軍の原監督を育て、今回の講演で、
野球に興味がない人も引き込んだリーダー、
藤田元司氏の著書をご紹介します。

【本】 2003/09/17
「情」のリーダー論

著者 藤田元司
定価 800円
ページ数 210ページ
出版社 ネコパブリッシング
ISBN 4-8736-6231-1
●関連するほぼ日のコンテンツ
【体温のある指導者。藤田元司。
 悪ガキから、慕われるリーダーに。】

【体温のある指導者・番外篇。
 藤田元司さんと、チーム論や石の話など。】
 
●本を買いたい方はこちらへ
【Amazon.co.jp】
ぼくは藤田元司巨人軍元監督を、
無条件で尊敬しています。
いちばんひどい年には、
ぼくは年間70試合を観戦しました。
藤田さんのやること、なすこと、考え方を、
和尚さんの後ろをついて歩く小坊主のように
全部吸収したいという気持があったのです。
たくさんの企業や組織のリーダーに
お会いしてきましたが、
根元のところでぼくに大きな影響を与えてくれた方は、
この方だったとも言えます。
(darling)

名選手が名監督になるとは限らないし、
名監督がみんな名コーチだったわけでもない。
組織には組織の人材のありかたがある。
リーダーは「オレがなる」といって
手をあげるものではなく、
むしろ人から「ぜひやってください」と
頼まれてなるもの。
リーダーにとって大切なのは、状況を正確につかむこと。
悪いこともいいことも、冷静につかむ。
そして冷酷な判断を下すこと。
情に流されてはいけないし、情を無視してもやれない。
(協力:ダ・ヴィンチ編集部/永江朗)

長老の「智慧の実」は
彼らの書いてきた本にもこぼれています。
三省堂書店東京大丸店と有楽町店で開催されている
「智慧の実フェア」でも
今回ご紹介させていただいた本は
取り扱っています。
講演直後は売り切れ続出だったみたいですよ!
国際フォーラムの帰りにそのまま寄った方が
多かったのでしょうか。

来週は小野田寛郎さんと谷川俊太郎さんの
著書をご紹介させていただきます!

2003-09-17